皇帝にプロポーズされても断り続ける最強オメガ

手塚エマ

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第五章 皇帝の寵姫として

第55話 罪の意識

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 程よい熱さの湯に身を沈め、目を閉じる。
 眉間には険しい皺が寄っている。
 アルベルトに愛された身体に湯をかけ、長く重い息を吐く。

 猶予は半年から三か月に変えさせられた今、アルベルトが逸る気持ちもよくわかる。

 レナとであればヒートの期間に性交すれば子供はできる。
 クルム国のオメガは心から愛し合わなければ子供はできないが、もしレナが身ごもれば、アルベルトの心はレナに傾いた証になる。

 皇太子をもうけるための行為だったという言い訳は通じない。
 それが一番恐かった。
 
 ふとそう思ったサリオンは、アルベルトへの執着が日ごとに勝ってきていることに気がついた。

 サリオンは両手で湯を救い、自分の顔を束の間眺める。
 壺を肩に負った女神の彫像が、壺から湯を流し続けている。
 飛沫が軽やかな音を立てている。

 つがいのユーリスに操を立てたはずなのに。
 レナに挑発されただけでもろくも崩れ落ちた貞操に、罪の意識がぬぐえない。
 知らず知らずにこんなにも男の身体に飢えていた。みだらな自分に気づかされ、胸が苦しくなってくる。

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