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第五章 皇帝の寵姫として
第53話 どうしよう
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翌朝、サリオンはいつもの羽枕とは真逆の硬い腕枕で目覚めた瞬間、胸にじわりと湧いたのは焦燥感が先だった。
この男を自分の男にした歓喜より、どうしようという切迫感で紡ぐ言葉をなくしていた。
どうしよう。
どうしよう。
サリオンが半身を起こすと、アルベルトもまた身じろいだ。
「サリオン?」
寝起きのかすれ声が男の色香を放っている。
サリオンはアルベルトに腕を掴まれ、引き寄せられて倒れ込む。
「昨夜のお前は美しかった。みだらで野蛮で濃艶で。あんなお前を抱くことができて嬉しかった……」
抱きしめられると、アルベルトのそれがみるみるうちに硬化する。
腹につくほどの強直が、したいしたいと喚いている。
「あんた、公務が……」
「まだ早い。時間はあるぞ。充分に」
反論されつつうなじを噛まれ、「あっ」という艶めいた声音をあげると直後に両膝を掴まれ、左右に大きく開かれた。
「お前の方が余裕がない」
アルベルトの眼差しは、同じように上向いた性器がひくつく様を堪能するかのようだった。
そのままアルベルトに押し入れられられると顎が天を突きあげて、官能的な嬌声がほとばしる。
「愛している」
行為の最中、アルベルトから何度言われたかわからない。
けれども返す言葉がない。
激しく前後に揺さぶられ、のたうつように愛撫に惑い、最奥で放たれた熱い放埓を受け入れながら、自身も達したサリオンは、ダメだと頭の中では叫んでいた。
こんなの、ダメだ。
ダメだとわかっていながらも、まるで暗闇へと引きずり込まれていくかのような激しさに逆らいきれない。
抗いきれない。
この男を自分の男にした歓喜より、どうしようという切迫感で紡ぐ言葉をなくしていた。
どうしよう。
どうしよう。
サリオンが半身を起こすと、アルベルトもまた身じろいだ。
「サリオン?」
寝起きのかすれ声が男の色香を放っている。
サリオンはアルベルトに腕を掴まれ、引き寄せられて倒れ込む。
「昨夜のお前は美しかった。みだらで野蛮で濃艶で。あんなお前を抱くことができて嬉しかった……」
抱きしめられると、アルベルトのそれがみるみるうちに硬化する。
腹につくほどの強直が、したいしたいと喚いている。
「あんた、公務が……」
「まだ早い。時間はあるぞ。充分に」
反論されつつうなじを噛まれ、「あっ」という艶めいた声音をあげると直後に両膝を掴まれ、左右に大きく開かれた。
「お前の方が余裕がない」
アルベルトの眼差しは、同じように上向いた性器がひくつく様を堪能するかのようだった。
そのままアルベルトに押し入れられられると顎が天を突きあげて、官能的な嬌声がほとばしる。
「愛している」
行為の最中、アルベルトから何度言われたかわからない。
けれども返す言葉がない。
激しく前後に揺さぶられ、のたうつように愛撫に惑い、最奥で放たれた熱い放埓を受け入れながら、自身も達したサリオンは、ダメだと頭の中では叫んでいた。
こんなの、ダメだ。
ダメだとわかっていながらも、まるで暗闇へと引きずり込まれていくかのような激しさに逆らいきれない。
抗いきれない。
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