皇帝にプロポーズされても断り続ける最強オメガ

手塚エマ

文字の大きさ
上 下
267 / 297
第五章 皇帝の寵姫として

第53話 どうしよう

しおりを挟む
 翌朝、サリオンはいつもの羽枕とは真逆の硬い腕枕で目覚めた瞬間、胸にじわりと湧いたのは焦燥感が先だった。
 この男を自分の男にした歓喜より、どうしようという切迫感で紡ぐ言葉をなくしていた。
 どうしよう。
 どうしよう。

 サリオンが半身を起こすと、アルベルトもまた身じろいだ。

「サリオン?」

 寝起きのかすれ声が男の色香を放っている。
 サリオンはアルベルトに腕を掴まれ、引き寄せられて倒れ込む。

「昨夜のお前は美しかった。みだらで野蛮で濃艶で。あんなお前を抱くことができて嬉しかった……」

 抱きしめられると、アルベルトのそれがみるみるうちに硬化する。
 腹につくほどの強直が、したいしたいと喚いている。

「あんた、公務が……」
「まだ早い。時間はあるぞ。充分に」

 反論されつつうなじを噛まれ、「あっ」という艶めいた声音をあげると直後に両膝を掴まれ、左右に大きく開かれた。

「お前の方が余裕がない」

 アルベルトの眼差しは、同じように上向いた性器がひくつく様を堪能するかのようだった。
 そのままアルベルトに押し入れられられると顎が天を突きあげて、官能的な嬌声がほとばしる。

「愛している」

 行為の最中、アルベルトから何度言われたかわからない。
 けれども返す言葉がない。

 激しく前後に揺さぶられ、のたうつように愛撫に惑い、最奥で放たれた熱い放埓を受け入れながら、自身も達したサリオンは、ダメだと頭の中では叫んでいた。
 こんなの、ダメだ。
 ダメだとわかっていながらも、まるで暗闇へと引きずり込まれていくかのような激しさに逆らいきれない。
 あらがいきれない。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。
BL
 セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。  オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。  それは……重度の被虐趣味だ。  虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。  だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?  そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。  ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

お世話したいαしか勝たん!

沙耶
BL
神崎斗真はオメガである。総合病院でオメガ科の医師として働くうちに、ヒートが悪化。次のヒートは抑制剤無しで迎えなさいと言われてしまった。 悩んでいるときに相談に乗ってくれたα、立花優翔が、「俺と一緒にヒートを過ごさない?」と言ってくれた…? 優しい彼に乗せられて一緒に過ごすことになったけど、彼はΩをお世話したい系αだった?! ※完結設定にしていますが、番外編を突如として投稿することがございます。ご了承ください。

国王の嫁って意外と面倒ですね。

榎本 ぬこ
BL
 一国の王であり、最愛のリヴィウスと結婚したΩのレイ。  愛しい人のためなら例え側妃の方から疎まれようと頑張ると決めていたのですが、そろそろ我慢の限界です。  他に自分だけを愛してくれる人を見つけようと思います。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

処理中です...