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第五章 皇帝の寵姫として
第36話 どうしていいのかわからない
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「それでサリオン。今日は俺は何をすればいい?」
ミハエルはレナに関しては一応の道筋ができたといして、明るく無邪気な彼らしく訊ねてkた。
「俺も何をしたらいいのかがわからない」
「何だ、それは」
「あの前庭の施工を任されたんだが、他にも川泳ぎや釣りをしたり、温泉で身体の疲れを取ってくれとも言われたんだが。どうしていいのかわからない」
「まあ、昨日までは奴隷として公娼を駆けずりまわっていたんだからな。当惑するのも無理はない」
ミハエルは苦笑した。
「だったら、前庭の施工をどうするか、一緒に考えてくれないか?」
「前庭の?」
ミハエルはサリオンが顔を向けた前庭に顔を向けた。
「お前は花が好きだからな。最初から施工を任せるなんて粋なご主人だ」
「俺が木や花が好きだってこと。みんな知っているのか?」
「それりゃあ、泣きたくなったらいつも庭に紛れて泣いている。豊かな木々や花壇の花、噴水が散らす水しぶきをじっと眺めているんだから、言われなくてもわかるさ。それは」
「それは……」
言われたことが図星すぎて気恥ずかしくなる。
「あれほどの広さを好きにしていいっていうんだから、贈り物好きなのかもな」
ミハエルに冷やかされながらも、目下の課題は前庭だ。
部屋の壁際には天井まで届くほどの棚があり、本がびっしり並んでいる。
すると、その前の腰高テーブルには古典的な造りから最新の施工まで書かれた数種の本が並んでいた。
これは、アルベルトが選択した庭造りの参考書だ。
この膨大な書棚から庭に関する本だけを探すのは時間の無駄だと言いたいのだろう。
読むべき本まで用意されていたと知ると、ミハエルは両の掌を上向けた。
「お前の恋人は、お前が何を必要とするかについては何から何までお見通しという訳か」
「……そんなこと」
実際にそうなのだが、照れの方が前に出る。
「とりあえず、この本を手分けして読み込もう。花壇に花を植えるんじゃなくて、こんな大きな庭の施工なんだから」
ミハエルも興味はありそうだ。
二人して本を抱え、肘掛け椅子がふたつ用意されたテーブルに移動させた。
好きにしたらいいと言われると、人はかえって何をすべきか見失う。
ミハエルと額を突き合わせ、全体像から練っていると、両開扉がノックされた。
開かれると同時に、サリオンは目を丸くする。
「それは庭の本だな。俺の手助けも少しは役に立ってくれているのか」
「アルベルト」
「ようこそ陛下。サリオン様は陛下がお選びになられた本を隈なく読んでいらっしゃいます」
ミハエルはレナに関しては一応の道筋ができたといして、明るく無邪気な彼らしく訊ねてkた。
「俺も何をしたらいいのかがわからない」
「何だ、それは」
「あの前庭の施工を任されたんだが、他にも川泳ぎや釣りをしたり、温泉で身体の疲れを取ってくれとも言われたんだが。どうしていいのかわからない」
「まあ、昨日までは奴隷として公娼を駆けずりまわっていたんだからな。当惑するのも無理はない」
ミハエルは苦笑した。
「だったら、前庭の施工をどうするか、一緒に考えてくれないか?」
「前庭の?」
ミハエルはサリオンが顔を向けた前庭に顔を向けた。
「お前は花が好きだからな。最初から施工を任せるなんて粋なご主人だ」
「俺が木や花が好きだってこと。みんな知っているのか?」
「それりゃあ、泣きたくなったらいつも庭に紛れて泣いている。豊かな木々や花壇の花、噴水が散らす水しぶきをじっと眺めているんだから、言われなくてもわかるさ。それは」
「それは……」
言われたことが図星すぎて気恥ずかしくなる。
「あれほどの広さを好きにしていいっていうんだから、贈り物好きなのかもな」
ミハエルに冷やかされながらも、目下の課題は前庭だ。
部屋の壁際には天井まで届くほどの棚があり、本がびっしり並んでいる。
すると、その前の腰高テーブルには古典的な造りから最新の施工まで書かれた数種の本が並んでいた。
これは、アルベルトが選択した庭造りの参考書だ。
この膨大な書棚から庭に関する本だけを探すのは時間の無駄だと言いたいのだろう。
読むべき本まで用意されていたと知ると、ミハエルは両の掌を上向けた。
「お前の恋人は、お前が何を必要とするかについては何から何までお見通しという訳か」
「……そんなこと」
実際にそうなのだが、照れの方が前に出る。
「とりあえず、この本を手分けして読み込もう。花壇に花を植えるんじゃなくて、こんな大きな庭の施工なんだから」
ミハエルも興味はありそうだ。
二人して本を抱え、肘掛け椅子がふたつ用意されたテーブルに移動させた。
好きにしたらいいと言われると、人はかえって何をすべきか見失う。
ミハエルと額を突き合わせ、全体像から練っていると、両開扉がノックされた。
開かれると同時に、サリオンは目を丸くする。
「それは庭の本だな。俺の手助けも少しは役に立ってくれているのか」
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