皇帝にプロポーズされても断り続ける最強オメガ

第五章 皇帝の寵姫として

第27話 賭けに出る

　どれほど二人で考え込んでも、導き出される答えはひとつだけ。

　アルベルトにすべてを話し、レナに避妊薬を秘密裡《ひみつり》に渡すこと。

「アルベルトに嘘はつきたくない。ミハエルを道具のように使うのも俺は嫌だ」
「だとしたら、お前」
「今日の公務が終わったら、夕食は共にすると言っていた。その時に全部話す」
「話すだと？　そんなことしたらめちゃくちゃになるぞ」
「レナが自分との閨でだけ薬を飲まずにいたなんて知ったら、国家への反逆罪だ。だけど、どれほどアルベルトの怒りが激しくても、責められても、俺は本当のことを話してアルベルトにも協力してくれるように頼む」
「協力？」
「レナの所へ定期的に避妊薬を届けるには、どうしたらいいのかを相談する」
「サリオン……」
「もちろん共犯者の俺も同罪だ。だからって、レナに求めてもいない妊娠をさせたり、アルベルトの目を盗むような真似は、もうしたくない」

　アルベルトがまっすぐであるほど、自分もそうあらねばならないはず。
　仮にも妃として迎え入れられ、遇されているのなら。