たましいの救済を求めて

手塚エマ

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第十二章 告白 

第十八話 紘と柚希と彰と日菜子

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「柚季のお陰で、羽藤君は何をされても痛くならなくなったから。教祖って詐欺師が、つまらなくなったみたいでした。その頃には僕も羽藤君の中にいて、儀式の時だけ表に引っ張り出されていました。……柚季に、ですけど。……俺が痛い思いをしてやってるんだから、お前だって気持ちが悪い思いをしろとか。……そんな風に脅されて……」

 それでは紘も知っているはず。
 父親を、亡くした後の母と子を。

「全然反応しないから。あいつらは、僕達が慣れちゃったんだと思っていました。あいつも……。あいつは羽藤君に取り憑いた色情狂は除霊できたとか言い出して。……他の子で……。やっぱり十歳ぐらいで、見た目が可愛い感じの男の子を……、儀式でするようになっちゃって。あの人。……母親だとか言ってた人が、お前のせいで教祖様に捨てられたとかで、羽藤君を一時間でも二時間でも、殴ったり蹴ったりしてました……」

 宗教からは逃れられても、実母からの虐待は収まらなかった。むしろ生死に直結するような、痛切な虐待になっていた。

「その頃ぐらいに、彰さんが出てきてくれて。殴り返してくれてたんです。僕達だって、十三歳になってたし……」

 止まる気配を感じさせない独白に、麻子の胸は不穏に波立つ。罪の告白。自白を予感させていた。

「そうしたら誰にも八つ当たりできなくなっちゃって。今度は自分が幽霊みたいになってましたよ。全然何にも食べないし……。柚季君があの人の財布から、キャッシュカードを盗んできたから、それでお金を引き出して、僕らは生活してました。日菜子ちゃんは、そのぐらいから出てました。学校でイジメに合わないようにって。僕達、あんまりそういうことが得意じゃないから。友達とは日菜ちゃんが上手く付き合ってくれていて……」

「でも、柚季君は羽藤君を憎んでるように見えました。最初の頃は、私には」

「柚季君は、代わりに自分があれほど痛い目に合ってやっていたからなのに。羽藤君だけ記憶がないとか。叔母さんや先生に、泣きついたりして甘えているのが腹立つみたいに、言ってました」


 話の筋を壊すことなく、また辻褄つじつまが合わないようなこともなく、理論整然とした語り口に、麻子は圧倒されていた。
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