3 / 44
第一章 ここはどこ?
第三話 ここはどこ?
しおりを挟む
カーテン越しの日差しで目が覚めた漣は、手探りで携帯を探るため、枕元に手をやった。
しかし携帯ではなく、何かが床に落ちたようなガタンという重厚な音がした。
「えっ……?」
何が落ちたのかを確かめようと身体を起こすと、そこはベルサイユの宮殿にも似た一室だった。
自分は天蓋付きのキングサイズのベッドに寝かされ、半円型の連なる窓には濃い赤色のカーテンが引かれている。
「えっ? えっ?」
壁には白漆喰の彫刻がほどこされ、その上に金箔が貼られていた。
天井を見上げれば、神々や天使の壁画と雫型《しずくがた》のシャンデリア。
枕も薄手の掛布団も絹の光沢を放っている。
そして床を見ると、落とした物はクリスタルの時計であり、蓮は時間を確認した。
時計の針は七時四十分を指している。
ということは、丸一日近く寝入ってしまったことになる。
「どこだ? ここは」
森の中で意識が遠のいたことまでは覚えている。
それを助けてくれたのが、この宮殿のような建物の主人か何かかもしれない。
掛布団をはぐり、蓮はベッドを降り立った。
窓のカーテンを半分開けた漣は眼前の景色にも驚愕した。
西洋式の庭らしく、左右対称の庭木や散策路が視界の果てまで続いている。
庭の中心部には巨大な噴水が設《もう》けられ、高く飛沫をあげていた。
服は意識を失う前と同様の、チノパンに半袖のポロシャツだ。
「あっ……と、カメラは」
カメラはと、胸の中でひとりごちて見回すと、ベッドの枕元にある左右対称のサイドテーブルに置かれていた。
「ああ、よかった」
カメラには、空港に着いた時から自由気ままに写した写真がすべて収められている。これを失くせば、命をもぎ取られたも同然だ。
ひと通り部屋の中を見回した蓮はドアに目をやった。
とりあえず部屋を出て、ここはどこで誰に連れて来られたのかを確認しようとした時だ。
廊下側からドアがノックされ、ゆっくり扉が押し開けられた。
しかし携帯ではなく、何かが床に落ちたようなガタンという重厚な音がした。
「えっ……?」
何が落ちたのかを確かめようと身体を起こすと、そこはベルサイユの宮殿にも似た一室だった。
自分は天蓋付きのキングサイズのベッドに寝かされ、半円型の連なる窓には濃い赤色のカーテンが引かれている。
「えっ? えっ?」
壁には白漆喰の彫刻がほどこされ、その上に金箔が貼られていた。
天井を見上げれば、神々や天使の壁画と雫型《しずくがた》のシャンデリア。
枕も薄手の掛布団も絹の光沢を放っている。
そして床を見ると、落とした物はクリスタルの時計であり、蓮は時間を確認した。
時計の針は七時四十分を指している。
ということは、丸一日近く寝入ってしまったことになる。
「どこだ? ここは」
森の中で意識が遠のいたことまでは覚えている。
それを助けてくれたのが、この宮殿のような建物の主人か何かかもしれない。
掛布団をはぐり、蓮はベッドを降り立った。
窓のカーテンを半分開けた漣は眼前の景色にも驚愕した。
西洋式の庭らしく、左右対称の庭木や散策路が視界の果てまで続いている。
庭の中心部には巨大な噴水が設《もう》けられ、高く飛沫をあげていた。
服は意識を失う前と同様の、チノパンに半袖のポロシャツだ。
「あっ……と、カメラは」
カメラはと、胸の中でひとりごちて見回すと、ベッドの枕元にある左右対称のサイドテーブルに置かれていた。
「ああ、よかった」
カメラには、空港に着いた時から自由気ままに写した写真がすべて収められている。これを失くせば、命をもぎ取られたも同然だ。
ひと通り部屋の中を見回した蓮はドアに目をやった。
とりあえず部屋を出て、ここはどこで誰に連れて来られたのかを確認しようとした時だ。
廊下側からドアがノックされ、ゆっくり扉が押し開けられた。
33
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?
み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました!
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
俺は成人してるんだが!?~長命種たちが赤子扱いしてくるが本当に勘弁してほしい~
アイミノ
BL
ブラック企業に務める社畜である鹿野は、ある日突然異世界転移してしまう。転移した先は森のなか、食べる物もなく空腹で途方に暮れているところをエルフの青年に助けられる。
これは長命種ばかりの異世界で、主人公が行く先々「まだ赤子じゃないか!」と言われるのがお決まりになる、少し変わった異世界物語です。
※BLですがR指定のエッチなシーンはありません、ただ主人公が過剰なくらい可愛がられ、尚且つ主人公や他の登場人物にもカップリングが含まれるため、念の為R15としました。
初投稿ですので至らぬ点が多かったら申し訳ないです。
投稿頻度は亀並です。
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる