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10話
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その日の部活終わりも、いつものように滴る汗をスポーツタオルでカシカシと拭っていた。友人らと話しながら、自分たちのラケットバッグと通学用のカバンがある体育館の隅へのんびりと向かう。
本来であれば、その荷物を持って更衣室へ向かうか、その場でさっさと着替えを済まさなくてはならない。しかし一年生の多くは、上級生でミチミチになっている狭い更衣室へは気が引けてしまって行けないので、体育館の隅でそそくさと身支度を整え始めるわけだ。
ある程度汗を押さえたり制汗剤をふりかけたりしている友人らの傍らで、オレはスポーツタオルを頭に引っ掛けたまま通学用のカバンからスマートフォンを取り出した。
これはもはやひとつのルーティン。母さんへ帰宅を告げておかないと夕飯が出てこないことがあるからだ。こういった瀬尾家のマイナールールは、兄貴たちのズボラによって決定づけられたところがあるので、実はちょーっとだけ迷惑している。その無自覚な反発心がオレの私立高校受験に拍車をかけたのかもしれない、と今になって思う。
流れるようにスマートフォンの画面を点けると、なんと高城先輩からメッセージが入っていた。しかも八分前。まだ『間もない』で通用する範囲内。
『部活お疲れさま。そろそろ終わった頃かと思って連絡してみました。もし今日誰かと帰る予定がなければ途中まで一緒に帰りませんか?』
両目が飛び出るかと思うほど驚いたオレは、スポーツタオルをラケットバッグへと放り投げ慌てて高城先輩のメッセージへ返信を打ち込む。
『お疲れ様デスもちろん帰りましょ! 今から着替えるんで迎えに行きますどこいますか?!』
うっ。送ってしまってから読み返して即反省。めちゃめちゃがっついているし余裕がなさそうだ。こんなことでは菅平と変わらないじゃあないか。
羞恥に俯いていると、ポコンと小さな音とともにメッセージが返ってきた。
『ともだちとデンにいるの。だから急がなくてもいいからね』
そしてすぐに付与される、サムズアップしたうさぎのスタンプ。ゆるふわでかわいいデザインに気持ちがヘニャヘニャになる。醜態がすべて許されたように思えて、深呼吸を挟んでからスマートフォンに向き直った。
『五分くらいしたら行きますね』
了解のスタンプと共にそう返信して、超高速で着替えを済ます。途中で友人から借りた制汗スプレーをバシャバシャふりかけていたら、「体臭気にしすぎじゃね」と笑われてしまった。もうこの際なんでもいい、高城先輩に嫌われさえしなければ問題ない。
雑談をさっさと切り上げて、「お疲れっした!」の一声を張りながら体育館を飛び出す。デンまで全力疾走だ。遅くまで先輩を待たせるわけにはいかない。
デンの扉の前に立つと、どうしても前日の昼間に感じた怖気を思い出す。しかし払拭しなければ始まらない。呼吸を整えつつ左拳でコンコンコンと打つ。
「瀬尾です。高城先輩、います?」
「はーい、待ってねぇ」
よかった、普段どおりの高城先輩の声だ。透き通っていて落ち着きがあって、ちょっと知的な色味の声。
安堵に胸を撫で下ろしていると、キイと扉が引き開けられた。
「お疲れさま、タケルくん。急に呼び出したのに、来てくれてありがとう」
「いえ、むしろ呼んでくれてむっちゃ嬉しかったっス」
つい先輩の姿を上から下まで舐め回すように見てしまった。衣服が不自然に乱れていないか、表情に恐怖や嫌悪はないか。そして、アイツの気配がないか。
「……一人っスか?」
「うん。さっきまで三人でいたんだけど、タケルくんが来てくれること言ったら『じゃあ帰るね』って」
「そうだったんスね。あーえと、一緒にいたのって……」
「英会話部の副部長と後輩ちゃんだよ。部活終わりのまま待っててくれたの」
なんだそうか、と気が抜けた。平和を保証された空間で過ごせていてよかった半分、これからしばらくは二人きりでいられることが確定だとわかりお祭り騒ぎ半分だ。
カバンを持ち、室内の明かりを消す高城先輩。扉を閉めて「帰ろっか」と首を傾がれると、部活の疲れが八割飛んだ。高城先輩によるヒーリング効果が強すぎる。
「聞きましたよ。先輩がアイツに断り入れたって話」
「アイツ?」
「あーえと。す、菅平……先輩」
「そっ、そっかぁ」
高城先輩の笑みが凍ったような気がした。やはり名前を出すのはまずかっただろうか。
「み、耳早いなぁタケルくん。あーあ、せっかくその話、自分でしようと思ってたのにぃ」
「あは、そ、そうだったんスねっ。すんません!」
「誰から聞いたの? それ」
「ひっ、昼にアイツがこっちの教室まで来て、鈴先輩に誘い断られたって、わ、わざわざ報告してきたんで、それで」
「そそ、そう、だったんだ」
会話ごとにぎこちなさが増していく。菅平の名前を出したせいだ、と顔を背けて髪をカシカシとかいた。
それから結局無言のまま生徒玄関まで来てしまった。靴を履き替えるために一度離れ、ふと晩飯のことを連絡し忘れていることに気が付き、母さんにメッセージ送付を済ます。ひとまずこれで今日の晩飯は心配ない。
スマートフォンを制服ズボンの尻ポケットへスルリと滑り込ませ、改めて横並びになったところで高城先輩と目が合う。
「先どーぞ」
「わぁ、あ、ありがとう」
引き戸を開けてやり、高城先輩を先に出す。自分も外へ出たところでその横顔を窺っていると、どうやら言葉を考えているらしかった。「えっと、うーん」などと小さく幾度も漏らしながら眉間をわずかに詰めている。
邪魔をしたくなくて、見て見ぬふりをしながらつられて口を閉ざす。カラカラと引き戸を閉めていると、高城先輩は「あのね」と声を張った。
「あのね私、菅平くんの『いいよね?』に、初めて首振ったの」
おお、と感嘆が漏れて高城先輩を振り返る。三歩で左隣に並び立つ。
「ちょっと、勇気出せたと思うんだ」
「ちょっとどころじゃねーですよ、スゲー出ましたよ」
「や、『出せた』んじゃないか。『出さなくちゃ』って思ったの」
首を振った高城先輩とオレの間をふわりと晩春の風が抜けた。彼女の長い黒髪を柔く散らしていく。
「あのとき、自分を変えるチャンスは今なんだって急に思えてね、そしたら『ごめんなさい、もう付き合えません』って言葉がはっきりと頭に浮かんだの。言わなくちゃって思った。『言葉にしなきゃ』、『声に乗せなくちゃ』って」
五月中頃の長くなってきた夕暮れが、向き合った高城先輩のまっすぐな視線を朱くする。
「こんなふうに言えたのは、間違いなくタケルくんのおかげ。タケルくんが昨日、身を挺して私の前に立ってくれたから、私、ようやく自分を変えなくちゃって思えた」
「鈴、先輩……」
「ありがとうタケルくん。私、やっと片脚が動かせる所まで来られたよ」
深まる笑み。それはオレが一目惚れしたあのポスターに収められた表情。それにずぎゅんと胸をひと突きにされる。
菅平から好き勝手にされていた状況から、みずから脱しようとしている。菅平だけではない、あらゆる他人にイエスばかり言ってきたひとが、ノーと言うことで自己主張することができたのだ。
そんな高城先輩の『今』を感じて、喜びやら感動やらで苦しくなった。みずからの胸をわし掴むと、肩から背中にかけて鳥肌がぶわりとかけ抜けた。
「すげーっス、マジで。先ぱ――」
「だからこれからは、私独りで頑張るね」
「え」
紅潮して緩んでいた頬は、一気に熱が消えて硬直する。言われた言葉が、正しく理解できていない気がする。
「感謝してるの、タケルくんが私に活路をくれたこと。でもね、いつまでも後輩くんに甘え続けることは、私にはできない」
笑みを崩さない高城先輩は踵を返し、一歩二歩と離れていく。
「いや、何言ってんスか。甘えるとかそういう話じゃ……つーかそもそも、先輩は誰にも甘えてねぇし」
「これは私と菅平くんの問題だもの。キミを巻き込んだところで私は得をしないし、キミが介入することでむしろ彼に捌け口が増えるだけ。問題解決が早まるわけじゃない」
高城先輩の遅い歩みを追い抜く。目の前に立ち塞がって、震える唇で否定を弱く紡ぐ。
「一人より二人で解決に向かったほうが、早期解決に繋がりますっ」
「たしかにそうだねぇ。今回だって、そうだもんね」
「でしょ? だからやっぱオレ」
「ううん、ダメ。ここからは、私が独りでやらなくちゃ」
立ち塞がったオレと視線を合わせたまま、そして彼女特有の柔い笑みを向けられて何も言えなくなる。
高城先輩は、オレにも簡単に「ダメ」と言った。震えるでなく、怖がるでもなく、とても自然に……そうまるで『普通』のことのように。
「だからね、タケルくんに直接ありがとうって言いたかったの。私が私の意見を言えるように尽力してくれて、本当に感謝してます」
「いや、先輩」
「帰ろう、タケルくん。この話はもうおわりっ」
オレを迂回するようにして避けて、高城先輩は颯爽と歩いていく。頬に滲んだ鳥肌がピリピリして、瞼を一度きつく閉じた。
はたしてオレは、先輩から拒絶されてしまったのだろうか。
どうしてオレは、先輩の力になることを拒まれたのだろう。
どこかでオレは、やり方を間違えたのだろうか。
夕暮れの朱が濃紫へ変わったことに気が付いた頃には、オレは一人きりになっていた。
高城先輩は、その場からすっかりいなくなっていた。
本来であれば、その荷物を持って更衣室へ向かうか、その場でさっさと着替えを済まさなくてはならない。しかし一年生の多くは、上級生でミチミチになっている狭い更衣室へは気が引けてしまって行けないので、体育館の隅でそそくさと身支度を整え始めるわけだ。
ある程度汗を押さえたり制汗剤をふりかけたりしている友人らの傍らで、オレはスポーツタオルを頭に引っ掛けたまま通学用のカバンからスマートフォンを取り出した。
これはもはやひとつのルーティン。母さんへ帰宅を告げておかないと夕飯が出てこないことがあるからだ。こういった瀬尾家のマイナールールは、兄貴たちのズボラによって決定づけられたところがあるので、実はちょーっとだけ迷惑している。その無自覚な反発心がオレの私立高校受験に拍車をかけたのかもしれない、と今になって思う。
流れるようにスマートフォンの画面を点けると、なんと高城先輩からメッセージが入っていた。しかも八分前。まだ『間もない』で通用する範囲内。
『部活お疲れさま。そろそろ終わった頃かと思って連絡してみました。もし今日誰かと帰る予定がなければ途中まで一緒に帰りませんか?』
両目が飛び出るかと思うほど驚いたオレは、スポーツタオルをラケットバッグへと放り投げ慌てて高城先輩のメッセージへ返信を打ち込む。
『お疲れ様デスもちろん帰りましょ! 今から着替えるんで迎えに行きますどこいますか?!』
うっ。送ってしまってから読み返して即反省。めちゃめちゃがっついているし余裕がなさそうだ。こんなことでは菅平と変わらないじゃあないか。
羞恥に俯いていると、ポコンと小さな音とともにメッセージが返ってきた。
『ともだちとデンにいるの。だから急がなくてもいいからね』
そしてすぐに付与される、サムズアップしたうさぎのスタンプ。ゆるふわでかわいいデザインに気持ちがヘニャヘニャになる。醜態がすべて許されたように思えて、深呼吸を挟んでからスマートフォンに向き直った。
『五分くらいしたら行きますね』
了解のスタンプと共にそう返信して、超高速で着替えを済ます。途中で友人から借りた制汗スプレーをバシャバシャふりかけていたら、「体臭気にしすぎじゃね」と笑われてしまった。もうこの際なんでもいい、高城先輩に嫌われさえしなければ問題ない。
雑談をさっさと切り上げて、「お疲れっした!」の一声を張りながら体育館を飛び出す。デンまで全力疾走だ。遅くまで先輩を待たせるわけにはいかない。
デンの扉の前に立つと、どうしても前日の昼間に感じた怖気を思い出す。しかし払拭しなければ始まらない。呼吸を整えつつ左拳でコンコンコンと打つ。
「瀬尾です。高城先輩、います?」
「はーい、待ってねぇ」
よかった、普段どおりの高城先輩の声だ。透き通っていて落ち着きがあって、ちょっと知的な色味の声。
安堵に胸を撫で下ろしていると、キイと扉が引き開けられた。
「お疲れさま、タケルくん。急に呼び出したのに、来てくれてありがとう」
「いえ、むしろ呼んでくれてむっちゃ嬉しかったっス」
つい先輩の姿を上から下まで舐め回すように見てしまった。衣服が不自然に乱れていないか、表情に恐怖や嫌悪はないか。そして、アイツの気配がないか。
「……一人っスか?」
「うん。さっきまで三人でいたんだけど、タケルくんが来てくれること言ったら『じゃあ帰るね』って」
「そうだったんスね。あーえと、一緒にいたのって……」
「英会話部の副部長と後輩ちゃんだよ。部活終わりのまま待っててくれたの」
なんだそうか、と気が抜けた。平和を保証された空間で過ごせていてよかった半分、これからしばらくは二人きりでいられることが確定だとわかりお祭り騒ぎ半分だ。
カバンを持ち、室内の明かりを消す高城先輩。扉を閉めて「帰ろっか」と首を傾がれると、部活の疲れが八割飛んだ。高城先輩によるヒーリング効果が強すぎる。
「聞きましたよ。先輩がアイツに断り入れたって話」
「アイツ?」
「あーえと。す、菅平……先輩」
「そっ、そっかぁ」
高城先輩の笑みが凍ったような気がした。やはり名前を出すのはまずかっただろうか。
「み、耳早いなぁタケルくん。あーあ、せっかくその話、自分でしようと思ってたのにぃ」
「あは、そ、そうだったんスねっ。すんません!」
「誰から聞いたの? それ」
「ひっ、昼にアイツがこっちの教室まで来て、鈴先輩に誘い断られたって、わ、わざわざ報告してきたんで、それで」
「そそ、そう、だったんだ」
会話ごとにぎこちなさが増していく。菅平の名前を出したせいだ、と顔を背けて髪をカシカシとかいた。
それから結局無言のまま生徒玄関まで来てしまった。靴を履き替えるために一度離れ、ふと晩飯のことを連絡し忘れていることに気が付き、母さんにメッセージ送付を済ます。ひとまずこれで今日の晩飯は心配ない。
スマートフォンを制服ズボンの尻ポケットへスルリと滑り込ませ、改めて横並びになったところで高城先輩と目が合う。
「先どーぞ」
「わぁ、あ、ありがとう」
引き戸を開けてやり、高城先輩を先に出す。自分も外へ出たところでその横顔を窺っていると、どうやら言葉を考えているらしかった。「えっと、うーん」などと小さく幾度も漏らしながら眉間をわずかに詰めている。
邪魔をしたくなくて、見て見ぬふりをしながらつられて口を閉ざす。カラカラと引き戸を閉めていると、高城先輩は「あのね」と声を張った。
「あのね私、菅平くんの『いいよね?』に、初めて首振ったの」
おお、と感嘆が漏れて高城先輩を振り返る。三歩で左隣に並び立つ。
「ちょっと、勇気出せたと思うんだ」
「ちょっとどころじゃねーですよ、スゲー出ましたよ」
「や、『出せた』んじゃないか。『出さなくちゃ』って思ったの」
首を振った高城先輩とオレの間をふわりと晩春の風が抜けた。彼女の長い黒髪を柔く散らしていく。
「あのとき、自分を変えるチャンスは今なんだって急に思えてね、そしたら『ごめんなさい、もう付き合えません』って言葉がはっきりと頭に浮かんだの。言わなくちゃって思った。『言葉にしなきゃ』、『声に乗せなくちゃ』って」
五月中頃の長くなってきた夕暮れが、向き合った高城先輩のまっすぐな視線を朱くする。
「こんなふうに言えたのは、間違いなくタケルくんのおかげ。タケルくんが昨日、身を挺して私の前に立ってくれたから、私、ようやく自分を変えなくちゃって思えた」
「鈴、先輩……」
「ありがとうタケルくん。私、やっと片脚が動かせる所まで来られたよ」
深まる笑み。それはオレが一目惚れしたあのポスターに収められた表情。それにずぎゅんと胸をひと突きにされる。
菅平から好き勝手にされていた状況から、みずから脱しようとしている。菅平だけではない、あらゆる他人にイエスばかり言ってきたひとが、ノーと言うことで自己主張することができたのだ。
そんな高城先輩の『今』を感じて、喜びやら感動やらで苦しくなった。みずからの胸をわし掴むと、肩から背中にかけて鳥肌がぶわりとかけ抜けた。
「すげーっス、マジで。先ぱ――」
「だからこれからは、私独りで頑張るね」
「え」
紅潮して緩んでいた頬は、一気に熱が消えて硬直する。言われた言葉が、正しく理解できていない気がする。
「感謝してるの、タケルくんが私に活路をくれたこと。でもね、いつまでも後輩くんに甘え続けることは、私にはできない」
笑みを崩さない高城先輩は踵を返し、一歩二歩と離れていく。
「いや、何言ってんスか。甘えるとかそういう話じゃ……つーかそもそも、先輩は誰にも甘えてねぇし」
「これは私と菅平くんの問題だもの。キミを巻き込んだところで私は得をしないし、キミが介入することでむしろ彼に捌け口が増えるだけ。問題解決が早まるわけじゃない」
高城先輩の遅い歩みを追い抜く。目の前に立ち塞がって、震える唇で否定を弱く紡ぐ。
「一人より二人で解決に向かったほうが、早期解決に繋がりますっ」
「たしかにそうだねぇ。今回だって、そうだもんね」
「でしょ? だからやっぱオレ」
「ううん、ダメ。ここからは、私が独りでやらなくちゃ」
立ち塞がったオレと視線を合わせたまま、そして彼女特有の柔い笑みを向けられて何も言えなくなる。
高城先輩は、オレにも簡単に「ダメ」と言った。震えるでなく、怖がるでもなく、とても自然に……そうまるで『普通』のことのように。
「だからね、タケルくんに直接ありがとうって言いたかったの。私が私の意見を言えるように尽力してくれて、本当に感謝してます」
「いや、先輩」
「帰ろう、タケルくん。この話はもうおわりっ」
オレを迂回するようにして避けて、高城先輩は颯爽と歩いていく。頬に滲んだ鳥肌がピリピリして、瞼を一度きつく閉じた。
はたしてオレは、先輩から拒絶されてしまったのだろうか。
どうしてオレは、先輩の力になることを拒まれたのだろう。
どこかでオレは、やり方を間違えたのだろうか。
夕暮れの朱が濃紫へ変わったことに気が付いた頃には、オレは一人きりになっていた。
高城先輩は、その場からすっかりいなくなっていた。
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