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第3章

175. 旦那様

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それから僕は別館で待機していたカラマス君と合流し、帰宅することが出来た。

帰る際の馬車の中で僕は殿下に専属の医官にならないかと誘われ、それを成人まで待ってもらうようにお願いしたことを伝えた。

カラマス君は当然、驚いていたが僕の力が認められたと喜び、応援すると約束してくれた。

しかし、勉学に励みすぎるのは駄目だと釘を刺される。1番は僕の体調、2番は家庭、3番は仕事、という風に順番を決められた。

「えっ…でも殿下の体調も大事だよ?」と言ったが「何言ってるんだ!殿下よりもフェルの方が大事に決まってるだろ!他の何よりもフェルが1番だ!」と宣言される。そのカラマス君の迫力に驚きはしたが愛されているという嬉しさもあり「ありがとう。」と共にキスを贈った。




家まで送ってくれたカラマス君は玄関で出迎えたタジェット兄様にバトンタッチする。

「フェル…次会うときはフェルの10歳の誕生パーティー…と婚約式だな。アトラス様に聞いているぞ、タジェット様、婚約式楽しみですね。」

とカラマス君はタジェット兄様に親しげに話し掛ける。

「そうだな…フェルのいつも以上に可愛い姿を見れると思うと待ち遠しいよ。カラマスも帰路は気をつけるようにな。」

と言う。

「(あれ…?いつの間にこんなに仲良くなったんだろ…?)」

僕は不思議に思い2人を見比べた。

2人は笑みを浮かべたまま会話している。

「じゃあなフェル、また1カ月後に。」とカラマス君は僕の頰に口付けると馬車に乗り込み帰って行った。

家に入った僕はタジェット兄様に「カラマス君といつの間に仲良くなったの?」と聞いたが兄様は笑顔で「内緒。」と言い、教えてくれなかった。






それから1カ月の間、僕は兄様の指導の元、誕生パーティーの挨拶をしたり、どの順番で挨拶回りをするかなどを教えてもらった。その際は兄様がつきっきりで僕に構うのでまぁ…それだけで済まなかったのだが。

「夜も勉強しようか。」という怪しさ満点のお誘いに僕は嫌とは言えず、兄様の部屋に入り浸ることになった。予想通り、2人でベッドに横になると寝るだけでは済まされず兄様に隅々まで触られたりキスされたりする。僕は快感に弱いので始めは嫌な態度を示すが、すぐに兄様のテクニックによって流されていた。

ただ兄様は前に約束した通り、触りはするものの最後まではせず、僕との約束を守ろうとしていることに嬉しさを感じた。






そして僕の誕生パーティー、婚約式を明日に控えた今日、カラマス君とサックルさんが前乗りで屋敷を訪れた。衣装合わせも兼ねているらしい。寸法に間違いはないので衣装の心配はないのだが、こんな素晴らしい正装で並ぶイケメンを見れるなんて僕はなんて恵まれているんだろう、と改めて3人を眺める。

焦げ茶色の短髪に緑目、甘いマスクのタジェット兄様。
茶色のショートボブに碧目、身長は2人に比べると低いが快活そうなカラマス君。
茶色の短髪に目は切れ長で1番長身、色気のある雰囲気のサックルさん。

「(なっ…なんだコレは…!)」

と僕は1人身悶えてるとサックルさんが「フェル…?」と心配そうにこちらに近づいて来た。

「フェル、久しぶりだな、嬉しい…。」と呟くと僕の首元をクンクンと嗅いでくる。僕は他の2人の反応が気になりチラッと見るが2人はさほど気にした様子もなく、2人で衣装について意見し合っていた。

「(あれ…皆どうしたんだろ…?)」

前と同じで僕は若干の違和感を感じながらサックルさんに抱き込まれていた。

「フェル…フェルは衣装に着替えないのか?」とサックルさん。

「はい、僕は皆が来る前に確かめました。明日は楽しみにしてて下さいね!」と元気良く答える。その声が聞こえたのかタジェット兄様もカラマス君も「楽しみだ。」と言ってくれた。

そして衣装合わせも終わり、4人で寛いでいるとタジェット兄様が口を開く。

「もう聞いているとは思うが、明日はフェルの誕生パーティーだけではなく婚約式も行う。私にとっても皆にとっても重要な式典であることには変わりない。よって、今日は事前にフェルに私達からお祝いをしようと思う。」

「(えっ?何それ?何も聞いてないけど…。)」

僕はえっ?という表情のまま兄様を見つめた。すると僕以外の3人が立ち上がり僕に近づいてくる。

「えっ…どうしたの、皆?」と声を掛けると3人が僕の前に跪いた。

真ん中にいるのはタジェット兄様。

「フェル、左手を出してくれ。」

僕は言われた通りに左手を差し出す。

タジェット兄様は僕の手をそっと手に取るとポケットから取り出した指輪にキスをし、僕の薬指にはめる。次にカラマス君が立ち上がると僕の瞳の色と同じ色のネックレスを付け、そして最後にサックルさんは碧色のピアスを僕に付けてくれた。

「フェル…明日はこれを付けてパーティーに出てくれないか?」

僕は突然の出来事に固まってしまい、一瞬返答が遅れた。

「あっ…えっ…もっ…勿論!こんな素敵なプレゼント…ありがとう。でも僕、お返し何も用意してない…。」

と言うと、兄様はニコッと笑い「今から貰うから大丈夫だ。」と僕を抱き上げた。
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