173 / 215
第3章
172. ディル兄様婚約式
しおりを挟む
「そっ…そうなんだ…。
(ディル兄様…殿下と仲良くやってるかな…?前に話した時、なんだかんだ惚気てたから大丈夫だと思うけど…。)」
それからあっという間に2ヶ月が経った。
その間に僕はカラマス君やサックルさんの家に挨拶に行ったり、旦那様同士の顔合わせを行なった。
プレス様からは改めて謝られたり、アニスには「俺達、親戚になるんだな。」と喜ばれた。母様に至ってはサックルさんを見て「まぁまぁ~!」と興奮し、獣化をお願いしていた。
そしてディル兄様とファー・グランド殿下の婚約式が差し迫ったある日、僕は父様に呼ばれた。
「フェル、もうすぐディルと殿下の婚約式だがその後すぐにお前の10歳の誕生パーティーがある、覚えているな?」
「うん、それは勿論。タジェット兄様と挨拶の練習もしているし。」
「そうか、それならいいんだが…。それで今回呼んだのはそのパーティーについてだ。この際だからその誕生パーティーでお前の婚約式も行おうと思う。」
「えっ…?」
僕は余りの急展開に反応できずにいた。
「お前もわかっている通り、正式な婚約は15歳になってからだ。しかし、お前に婚約者がいることを他の方々に知らせておくのもいいだろうと思ってな。今回はお披露目という形をとる、構わないか?」
「…うっ…うん、他の人が良ければだけど…。」
僕はドギマギしながら答えた。
「わかった、この話は私が3人に伝えておこう。とりあえずフェルはディルの婚約式のことを考えていてくれ…フェル、急に話を進めて悪いな。」
と父様は謝った。
それからとうとう、ディル兄様の婚約式当日を迎えた。
この国の殿下…それも将来陛下になる人の婚約式ということで街中がお祭り騒ぎだ。
僕は今更ながら「(ディル兄様、凄い人と結婚するんだなぁ…。)」と思っていた。僕も割りと凄い人と婚約するけど兄様の比ではない。僕は朝からエリーにおめかしされ、薄く化粧も施される。出発するときにはカラマス君が側にいてくれた。
父様や母様は主役の親なので先に会場入りし、お客様の出迎えを、タジェット兄様は親族ではあるが殿下の護衛の為、側に配置されているそうだ。僕の隣にはカラマス君が立ち、エスコートしてくれる。気恥ずかしさはあるものの、これから慣れていかなくては。
僕達は主役2人が現れるまでの間、知り合いの人に挨拶をしたり食事を楽しんだ。するとある1箇所で一際、人が集まっている場所がある。僕達はそこに興味本位で近付くと輪の中心にはあの規制のかかっていた街で出会ったオレガノ様ともう1人見覚えのある人がいた。
きっと今回の主役のご兄弟だから皆んなからお祝いの言葉を言われているのだろう。それに優雅に返答する姿を眺めていると見覚えのある男性の人が「あっ!」という表情を見せ、こちらに近付いてきた。
「やぁ、カラマス。」と親しげにカラマス君に話掛ける。
「タンジー殿下、本日は誠におめでとうございます。本来は私がそちらに出向かなければいけないのに申し訳ございません。」
「いや、あの人数だ。仕方ない、気にするな。」
とタンジー殿下はカラマス君の肩をたたく。
「(この人…この前僕が光魔法で助けた…。)」
僕は思わず殿下に「ご体調は大丈夫でしょうか?」と聞いてしまった。だが殿下は気にせず「?…ああ、特に問題ない。」と答える。僕は少しその答えに不安を持ちつつも改めて挨拶をした。
「…タンジー殿下、初めまして私はフェンネル・ローランドです。この度は誠におめでとうございます。」
「ああ…君がフェンネルか、ディル様から話は聞いているよ、天使のような弟がいると。」
「えっ…いや、そんな…!
(ディル兄様、なんて説明してるの!)」
と僕が焦っていると「殿下。」とカラマス君が口を開く。
「殿下、こちらのフェンネルは私の婚約者でもあるのです。どうぞお見知り置き下さい。」
「おお、そうなのか。それはおめでたいな。カラマスもおめでとう。」
「ありがとうございます。」
そんな会話をしていると「タンジー兄様!」と先程の集団から1人の少年が現れた。
(ディル兄様…殿下と仲良くやってるかな…?前に話した時、なんだかんだ惚気てたから大丈夫だと思うけど…。)」
それからあっという間に2ヶ月が経った。
その間に僕はカラマス君やサックルさんの家に挨拶に行ったり、旦那様同士の顔合わせを行なった。
プレス様からは改めて謝られたり、アニスには「俺達、親戚になるんだな。」と喜ばれた。母様に至ってはサックルさんを見て「まぁまぁ~!」と興奮し、獣化をお願いしていた。
そしてディル兄様とファー・グランド殿下の婚約式が差し迫ったある日、僕は父様に呼ばれた。
「フェル、もうすぐディルと殿下の婚約式だがその後すぐにお前の10歳の誕生パーティーがある、覚えているな?」
「うん、それは勿論。タジェット兄様と挨拶の練習もしているし。」
「そうか、それならいいんだが…。それで今回呼んだのはそのパーティーについてだ。この際だからその誕生パーティーでお前の婚約式も行おうと思う。」
「えっ…?」
僕は余りの急展開に反応できずにいた。
「お前もわかっている通り、正式な婚約は15歳になってからだ。しかし、お前に婚約者がいることを他の方々に知らせておくのもいいだろうと思ってな。今回はお披露目という形をとる、構わないか?」
「…うっ…うん、他の人が良ければだけど…。」
僕はドギマギしながら答えた。
「わかった、この話は私が3人に伝えておこう。とりあえずフェルはディルの婚約式のことを考えていてくれ…フェル、急に話を進めて悪いな。」
と父様は謝った。
それからとうとう、ディル兄様の婚約式当日を迎えた。
この国の殿下…それも将来陛下になる人の婚約式ということで街中がお祭り騒ぎだ。
僕は今更ながら「(ディル兄様、凄い人と結婚するんだなぁ…。)」と思っていた。僕も割りと凄い人と婚約するけど兄様の比ではない。僕は朝からエリーにおめかしされ、薄く化粧も施される。出発するときにはカラマス君が側にいてくれた。
父様や母様は主役の親なので先に会場入りし、お客様の出迎えを、タジェット兄様は親族ではあるが殿下の護衛の為、側に配置されているそうだ。僕の隣にはカラマス君が立ち、エスコートしてくれる。気恥ずかしさはあるものの、これから慣れていかなくては。
僕達は主役2人が現れるまでの間、知り合いの人に挨拶をしたり食事を楽しんだ。するとある1箇所で一際、人が集まっている場所がある。僕達はそこに興味本位で近付くと輪の中心にはあの規制のかかっていた街で出会ったオレガノ様ともう1人見覚えのある人がいた。
きっと今回の主役のご兄弟だから皆んなからお祝いの言葉を言われているのだろう。それに優雅に返答する姿を眺めていると見覚えのある男性の人が「あっ!」という表情を見せ、こちらに近付いてきた。
「やぁ、カラマス。」と親しげにカラマス君に話掛ける。
「タンジー殿下、本日は誠におめでとうございます。本来は私がそちらに出向かなければいけないのに申し訳ございません。」
「いや、あの人数だ。仕方ない、気にするな。」
とタンジー殿下はカラマス君の肩をたたく。
「(この人…この前僕が光魔法で助けた…。)」
僕は思わず殿下に「ご体調は大丈夫でしょうか?」と聞いてしまった。だが殿下は気にせず「?…ああ、特に問題ない。」と答える。僕は少しその答えに不安を持ちつつも改めて挨拶をした。
「…タンジー殿下、初めまして私はフェンネル・ローランドです。この度は誠におめでとうございます。」
「ああ…君がフェンネルか、ディル様から話は聞いているよ、天使のような弟がいると。」
「えっ…いや、そんな…!
(ディル兄様、なんて説明してるの!)」
と僕が焦っていると「殿下。」とカラマス君が口を開く。
「殿下、こちらのフェンネルは私の婚約者でもあるのです。どうぞお見知り置き下さい。」
「おお、そうなのか。それはおめでたいな。カラマスもおめでとう。」
「ありがとうございます。」
そんな会話をしていると「タンジー兄様!」と先程の集団から1人の少年が現れた。
35
お気に入りに追加
4,593
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる