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第3章

165. 激痛

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「ハァ…ハァ…。」とカラマス君は吐息を零すと自分のモノをズボンに収め「ちょっと待っててくれ、タオルを取ってくる。」と言い僕の上から退いた。

僕は暫く放心状態だったが慌ててズボンだけは履き直した。カラマス君は戻ってくると僕の身体に広がったものを濡れタオルで拭いていく。「悪いな。」と言いつつ、表情は嬉しそうだ。全部拭き終えると僕の衣服を着せ直し、身体を起こしてくれる。

そのまま僕をギュッと抱き締めると

「最高の気分だ…。フェルが俺のお嫁さんか…5年の片想いが実ったんだな。それで俺達の婚姻はいつにする?」

と気の早い質問をしてきた。

「…うん、兄様とも話し合わないとね。あの…それでもう1つカラマス君に言わないといけないことがあるんだ。」

「ん?」とカラマス君は不思議そうな顔をする。正直、かなり気が進まない。しかし、どうしても言わないといけないことである。

「あのね…僕、兄様とカラマス君の他にもう一人、夫にしたい人がいるんだ。」

僕は思い切ってストレートに伝えた。きっとまた哀しい顔をさせていることだろう。僕はカラマス君の顔を見ることが出来ず暫くの間、反応を待つように下を向いていた。すると「フェル。」と思いの外、元気そうな声に顔を上げた。

「気にならないと言ったら嘘になるけど…フェルが俺の嫁であることには変わりないから他に旦那が1人、2人増えようが我慢できる…フェルを嫁にするって決めた時からある程度覚悟はしてるさ、でも…俺といる時は思う存分、堪能させてもらうからな。フェルも覚悟しといてくれ。」

カラマス君はそう言って僕に腰を擦り付けてくる。僕は先程までは申し訳なさで下を向いていたが次は違う意味で下を向くことになった。




その後、カラマス君は3人目の旦那さん、サックルさんのことについてはあまり詳しく聞いてこなかった。別れる時も「また3人目の旦那とどうなったか教えてくれ。」と言われ、僕は呆気なく馬車に乗り込むことになる。てっきり哀しそうに見送られると思いきやカラマス君の表情は存分晴れやかだった。

僕は馬車に揺られながら考える。

「(なんか思ってたのと違う…けど、カラマス君も重婚のこと了承してくれたし良かったのかな?サックルさんのことが決まったらまた手紙を書こう。)」

僕はそう決め、サックルさんのいる森へと向かった。







それから丸一日近く馬車に揺られ、僕のお尻は限界だった。馬車の運転手にお願いし、近くの街で1泊することにした。

運良く空いていた宿屋に入り、僕はお尻を庇いながら部屋を目指す。受付の叔父さんに不審な目で見られたが仕方ない。もしかしたら変な意味で取られたかもしれないが、いちいち訂正もしてられないので放置していた。

なんとか部屋まで辿り着くとうつ伏せにベッドに突っ伏す。お尻を自分でやわやわと揉みながらマッサージをした。

「う"~!お尻痛い~!いつまで経っても慣れないよー。」

と思わず本音を零した。

それから暫く休憩したが、マッサージしただけじゃ一向に僕のお尻の痛みは和らがない。仕方がないのでお尻に貼る湿布みたいなものはないか受付で聞くことにした。

僕は手すりを持ちながら恐る恐る階段を降りる。細心の注意を払って移動するのだ。なんとか受付に辿り着き、奥にいるであろう受付の叔父さんに声を掛ける。

「すみません。」

しかし、叔父さんは現れない。

もう一度「すみません!」と叫ぶ。それでも叔父さんは現れず、僕は「(職務怠慢だ…!)」と珍しく怒っていた。普段なら怒ることなんて滅多にないが今は何せ、お尻が痛い。そのお尻の痛みを堪えながら移動してきたのに居ないなんてあり得ない!と怒っていた。

僕は暫く苛立ちでその場に立ち尽くしていたが、どうしようもない。悔しいが元来た道を戻ろうと歩き出したところで「どうかしましたか?」と声を掛けられた。その声の主は受付の叔父さんではなく、受付に1番近い部屋の客だった。相手は部屋の中だというのにローブを被っている。僕も同じ格好なので人のことは言えないが不思議に思っていると「あの…?」と声を掛けられる。

僕は「あっ…すみません。受付に用があったんですが、返事が無くて…。」と謝った。

「受付の叔父さんは多分、寝てると思いますよ。僕、ここ数日泊まってますが23時以降は叔父さん、奥に引っこんじゃうみたいだし…。」

「そうなんですか…分かりました…。また明日、伺ってみます。ありがとうございました。」

とお礼を言うと「いえ…。それにしても腰…?お尻?大丈夫ですか?」と心配された。僕は受付に上半身の体重を乗せお尻をスリスリと摩るなんとも間抜けな格好をしていたからだ。

「あぁ…大丈夫、と言いたいところですが馬車移動に慣れていなくて長時間乗るとこの様です。お尻に塗る塗り薬などあったら貰おうと受付に来たのですが…。」

と受付を睨む。

「…それはもう慣れですね。私も暫くかかりましたし。」

と少し楽しい会話を交わした。
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