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第3章
157. 別れ
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それから黙々と歩き、僕達はやっと目的地であるアンバーに到着した。
僕は思わず「やったー!」と叫び手を挙げた。それを見てベイローレルさんが「お疲れさん。」と頭をポンッとしてくる。
これでやっと叔父様の話を聞ける!と思ったが、現在は既に日が沈みそうな時刻。叔父様の家に行くには迷惑な時間だ。よって訪問は明日に回し、とりあえず宿屋を探すことにした。
夕食の時間帯ということもあり飲食店が賑わっている。そこで声を掛けた人に宿屋と場所を聞き、オススメのところを教えてもらった。
生憎、それぞれ個室というのは空いてなかったので今回はベイローレルさんと同室だ。
僕達はお互いベッドにボフッと突っ伏すと暫く身体が動かなかった。5分ほどゴロゴロしていたところでベイローレルさんが声を発する。
「フェンネル、よく頑張ったな。大人でも相当疲れるのにお前はよくやったよ。これならきっとお前の両親も褒めてくれるだろうさ。」
「…ありがとうございます。喜んでくれるといいんですけどね…我ながらこのひ弱な身体もよく頑張ったと思います…。」
と僕は自分の脚をポンポンと叩きマッサージをした。
「明日はいよいよ、叔父さんのところに行くんだろ?聞きたいこと聞いてこいよ?」
「はい、それが旅の目的ですからね。色んな話を聞いてきたいと思います。」
「…よし、それじゃあ軽く飯にしてシャワー浴びたら寝るか!」
僕はベイローレルさんの言葉に「はい。」と頷くとリュックの中から軽食を取り出しベイローレルさんに差し出した。
「(でも、叔父様の家に着いたってことはこれでベイローレルさんとはお別れか…帰りは流石に馬車を使いたいし…。とりあえず母様の言いつけを守って馬車は使わなかったしね。あっ、ミモザ様のは例外として。なんかここまで来ると寂しくなっちゃうな…。)」
僕はそう思いつつもベイローレルさんに「明日は宜しくお願いします。」とお願いをした。
次の日、僕は母様から預かってきた叔父様の住所が書かれたメモを取り出した。住所は分かっているが、とりあえずこの辺りの人に聞いてみる。
「すみません、この辺りにキャラウェイ様のお屋敷はありませんか?」
「ああ、キャラウェイ様のお屋敷ならこの道を真っ直ぐ行って突き当たったところを左に曲がる、そのまま真っ直ぐ行くと右手に大きな屋敷が見えてくるからそれがキャラウェイ様のお屋敷だよ。」
「ありがとうございます。助かりました。」
僕はそうお礼を言うと歩き出す。いちいち住所を見ながら確認しなくても名前で分かるならこの方が手っ取り早い。
僕とベイローレルさんは教えられた道を歩き目的のお屋敷を発見した。
「おい、フェンネル、あれじゃないか?」とベイローレルさんは指を差した。たしかに大きなお屋敷がそびえ立っている。
「…あれでしょうね…。母様の話だと12人家族にお手伝いさんが何人もいるみたいです…。」
「えっ!?そんな大家族なのか!?凄いな…。」
そう驚いているベイローレルさんには叔父様に会いに行って話を聞くということしか伝えていない。なので僕に婚約者がいるだとかましてや重婚しようとしてるだなんて教えていない。
やっと辿り着いた門の前で警備の人に声を掛ける。
「すみません、私はフェンネル・ローランドと申します。叔父のタイン・キャラウェイ様にお会いしたいのですが…。」
僕がそう伝えると「恐れ入ります。フードを脱いで頂けますか?」と言われた。
よく分からなかったが顔確認みたいなものだろう。僕はフードを脱いで警備の人をジッと見つめた。すると警備の人は驚きで目を見開き「しっ…失礼致しました!フードを被り直し下さい!」と慌てて言ってくる。またもや疑問に思ったが言われた通りにした。
「…それでは中にご案内致します。どうぞ。」
僕は言われた通り中に入ると警備の人に着いていこうとした。
しかし後ろから
「フェンネル、俺の仕事はここまでた。名残惜しいが目的地まで送り届け、護衛をする役割は終わりだ。」
とベイローレルさんは中に入って来ない。
僕はてっきり僕が叔父様と話している時まで一緒だと思っていたのでショックだった。
「えっ…でも僕はまだ…。
(一緒にいて欲しいのに。)」
「フェンネル、弱音を吐くなよ。あれだけ長旅をしたんだ、十分強くなってる。俺がいなくてもお前は大丈夫だ。」
ベイローレルさんの顔を見ると「これ以上言わすな」と言ってるようだった。
「(なんで急に…?)」という思いが拭えなかったが、そのままベイローレルさんにお金を支払い僕達は別れた。
「(なんか凄い呆気ない…僕、ベイローレルさんと仲良くなれたと思ってたのに…。)」
と僕はかなり気持ちが沈んだ状態になりながら警備の人に着いて行った。
僕は思わず「やったー!」と叫び手を挙げた。それを見てベイローレルさんが「お疲れさん。」と頭をポンッとしてくる。
これでやっと叔父様の話を聞ける!と思ったが、現在は既に日が沈みそうな時刻。叔父様の家に行くには迷惑な時間だ。よって訪問は明日に回し、とりあえず宿屋を探すことにした。
夕食の時間帯ということもあり飲食店が賑わっている。そこで声を掛けた人に宿屋と場所を聞き、オススメのところを教えてもらった。
生憎、それぞれ個室というのは空いてなかったので今回はベイローレルさんと同室だ。
僕達はお互いベッドにボフッと突っ伏すと暫く身体が動かなかった。5分ほどゴロゴロしていたところでベイローレルさんが声を発する。
「フェンネル、よく頑張ったな。大人でも相当疲れるのにお前はよくやったよ。これならきっとお前の両親も褒めてくれるだろうさ。」
「…ありがとうございます。喜んでくれるといいんですけどね…我ながらこのひ弱な身体もよく頑張ったと思います…。」
と僕は自分の脚をポンポンと叩きマッサージをした。
「明日はいよいよ、叔父さんのところに行くんだろ?聞きたいこと聞いてこいよ?」
「はい、それが旅の目的ですからね。色んな話を聞いてきたいと思います。」
「…よし、それじゃあ軽く飯にしてシャワー浴びたら寝るか!」
僕はベイローレルさんの言葉に「はい。」と頷くとリュックの中から軽食を取り出しベイローレルさんに差し出した。
「(でも、叔父様の家に着いたってことはこれでベイローレルさんとはお別れか…帰りは流石に馬車を使いたいし…。とりあえず母様の言いつけを守って馬車は使わなかったしね。あっ、ミモザ様のは例外として。なんかここまで来ると寂しくなっちゃうな…。)」
僕はそう思いつつもベイローレルさんに「明日は宜しくお願いします。」とお願いをした。
次の日、僕は母様から預かってきた叔父様の住所が書かれたメモを取り出した。住所は分かっているが、とりあえずこの辺りの人に聞いてみる。
「すみません、この辺りにキャラウェイ様のお屋敷はありませんか?」
「ああ、キャラウェイ様のお屋敷ならこの道を真っ直ぐ行って突き当たったところを左に曲がる、そのまま真っ直ぐ行くと右手に大きな屋敷が見えてくるからそれがキャラウェイ様のお屋敷だよ。」
「ありがとうございます。助かりました。」
僕はそうお礼を言うと歩き出す。いちいち住所を見ながら確認しなくても名前で分かるならこの方が手っ取り早い。
僕とベイローレルさんは教えられた道を歩き目的のお屋敷を発見した。
「おい、フェンネル、あれじゃないか?」とベイローレルさんは指を差した。たしかに大きなお屋敷がそびえ立っている。
「…あれでしょうね…。母様の話だと12人家族にお手伝いさんが何人もいるみたいです…。」
「えっ!?そんな大家族なのか!?凄いな…。」
そう驚いているベイローレルさんには叔父様に会いに行って話を聞くということしか伝えていない。なので僕に婚約者がいるだとかましてや重婚しようとしてるだなんて教えていない。
やっと辿り着いた門の前で警備の人に声を掛ける。
「すみません、私はフェンネル・ローランドと申します。叔父のタイン・キャラウェイ様にお会いしたいのですが…。」
僕がそう伝えると「恐れ入ります。フードを脱いで頂けますか?」と言われた。
よく分からなかったが顔確認みたいなものだろう。僕はフードを脱いで警備の人をジッと見つめた。すると警備の人は驚きで目を見開き「しっ…失礼致しました!フードを被り直し下さい!」と慌てて言ってくる。またもや疑問に思ったが言われた通りにした。
「…それでは中にご案内致します。どうぞ。」
僕は言われた通り中に入ると警備の人に着いていこうとした。
しかし後ろから
「フェンネル、俺の仕事はここまでた。名残惜しいが目的地まで送り届け、護衛をする役割は終わりだ。」
とベイローレルさんは中に入って来ない。
僕はてっきり僕が叔父様と話している時まで一緒だと思っていたのでショックだった。
「えっ…でも僕はまだ…。
(一緒にいて欲しいのに。)」
「フェンネル、弱音を吐くなよ。あれだけ長旅をしたんだ、十分強くなってる。俺がいなくてもお前は大丈夫だ。」
ベイローレルさんの顔を見ると「これ以上言わすな」と言ってるようだった。
「(なんで急に…?)」という思いが拭えなかったが、そのままベイローレルさんにお金を支払い僕達は別れた。
「(なんか凄い呆気ない…僕、ベイローレルさんと仲良くなれたと思ってたのに…。)」
と僕はかなり気持ちが沈んだ状態になりながら警備の人に着いて行った。
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