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第3章

144. 腐女子達

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「フェル、よく来てくれたわね。」

ロザリーナ姉様が手を広げて出迎えてくれた。僕はそっと近付くと姉様の腰に手を回し抱きついた。

「お久しぶりです、姉様。元気にしてた?」とニコニコしながら尋ねる。

「もちろんよ!フェルが来るのを今か今かと待っていたんだから!」

「そうなの?待たせちゃってゴメンね。それでこちらのご令嬢様達は姉様のお友達?」

「そう。"あの"お友達よ!」

そう言われて僕はピンッと来た。"あの"ということは腐的なことだということだ。しかし、ベイローレルさんの手前、その話をベラベラ喋るのは恥ずかしい…どうにかベイローレルさんには席を外してもらわなければ…。

僕はご令嬢達の方を向くと「初めまして、私はフェンネル・ローランドと申します。いつも姉がお世話になっております。今後ともどうぞ、宜しくお願い致します。」と頭を下げた。

すると1人のご令嬢が
「こちらこそ、初めまして。私はジャスミン・ゲッキツです。ロザリーナ様からフェンネル様のことは色々と伺っております。」

「(色々…?)」と疑問には思ったがニコッと笑うと隣のご令嬢が「私はイモーテル・ヘリクリサムです。宜しくお願い致します。」と言ってきた。そしてその隣のご令嬢も「私はアンブレット・ムスクシードよ、宜しくね。」と続いた。

「これで自己紹介は終わりね、フェルの後ろにいる方を紹介してもらってもいいかしら?」

「うん、この人はベイローレルさん。目的地まで行く僕の護衛をしてくれることになったんだ。冒険者ランクも上位の人だから凄く心強いよ。僕は魔法は使えるけど、こういう旅は初めてだから旅慣れしてる人が側にいてくれると安心だしね。ねぇ、ベイローレルさん。」

「ああ…初めまして、ベイローレルです。短い間ですがフェンネルの護衛をすることになりました。俺が責任を持ってフェンネルを目的地まで案内するのでご安心下さい。」

「まぁ…ありがとうございます、ベイローレル様。フェルのこと宜しくお願いしますね。」と姉様は頭を下げた。

「やめて下さい!そういうのは慣れてないのでされると困ります。」

「フフッ。では、畏まったのはこれで終わりにしますね。」

ふと姉様がこちらを向いた。そしてコソコソと僕に耳打ちをしてくる。

「フェルの婚約者ってこの人?」

僕は驚いて目を見開いた。

「ちっ…違うよ!そんなんじゃないから!」と少し声を荒げてしまった。僕は慌てて「ベイローレルさん、悪いんだけど姉様に話があるから違う部屋で待っててもらってもいい?」と交渉して別室へ移ってもらう。

ベイローレルさんが執事さんに案内されていくのを見送ると僕は姉様に向き直り
説明を始めた。

「姉様、ベイローレルさんはあくまで護衛だから、特に何もないからね。あと婚約者はタジェット兄様だよ。」

そう告白した途端、姉様とご令嬢達が「キャー!」と叫ぶ。

「えっ、えっ?」となっていると、

「やっぱりそうだと思ったわ!さすがタジェット兄様ね!昔からフェルのことばっかり可愛がってたし!」
「私はディル様だと思ってましたわ、残念です…。」
「フェンネル様とタジェット様、お似合いだわ。」
「やっぱりタジェット様が押し続けてこの恋を実らせたのよね!?」

と興奮しだした。

「姉様…どうしたの?」

と恐る恐る聞くと、

「実は私達、フェルが誰とくっつくか予想してたの。やっぱりイチ押しはタジェット兄様だったけどカラマス君っていうのも1票入ってたわ。あとはディルね。それにしてもタジェット兄様、永年の片想いが実ったのよね…凄いわ…。で、どういう経緯でそうなったか教えてくれるわよね?」

と黒い笑顔で凄まれる。

「もっ…もちろんだよ!こちらのご令嬢様達にも聞かれても大丈夫なのかな?」

「大丈夫です、それを聞きに来たのですから。」とジャスミン様。

「そうですわ、なかなか男性にこんな話を聞かせてもらえるなんて滅多にないんですもの。」とイモーテル様。

「そうそう、男性の割合が多いから男性のカップルは多いのに誰1人どうやって付き合ったとか教えてくれないんだもの…やっぱりプライドかしら?」とアンブレット様。

「(なるほど…前からおかしいと思ってたんだよね、なんで姉様がこんなに僕の話を聞きたがるのかなって。だってこんなに男性の割合が多いなら普通にカップルがいてもおかしくないのに街中で手を繋いでる人もいないし、誰と誰が付き合ってるっていう話も滅多に聞かなかったし…だから、余計女性は聞きたがるんだ。けど、話したがらないのってやっぱり男性のプライドなのかな?どっちが攻め、受けとか、ましてや情事のことなんて聞かれたくないのかな?)」

「ねぇフェル、そういうことなの。私達、男性が教えてくれないから本とかでしか分からないし、想像ばっかり膨らむのよね、だから色々と教えてほしいの!」と熱心なお願いをされる。

「わかった。まず何処から話そうかな…?」

僕は同じ腐仲間として話せることは話そうと考えていた。
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