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第3章

139. 脱出

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「(エェッ!?凄い!地下とかあったんだ!)」と普通に感動してしまった。こんなことで感動してる場合じゃない。

黒幕の案内の元、地下へと降りて行く。そこには上の部屋と変わらないくらい本が溢れていた。

「これは…?」

「これは今までやり取りをした"土地売買"の内容が書かれている資料の保管庫だ。日付けから金額まで事細かく書いてある。今は私がやらなくても部下がやっているからな、最近は確認だけしてここに保管してある。」

僕はとりあえず一番近くにある本を一冊取ってみた。

日付は約1年程前。何月何日、何処でどうやってお金を徴収したか書いてある。どれも"交渉の末"と書かれていた。

「(嘘ばっかり…!!!)」

他には!?と思い、違う本を取る。どれも交渉の末と書いている。

「(確実な証拠がない!)」と焦りが出てきた。

僕が色んなページをめくっていると、

「ああ、そっちにあるのはダミーだ。本物はコッチ。」と更に奥を指差してきた。

僕とベイローレルさんは奥へと歩き出し、本を手に取った。その瞬間、上からドンッと何かが落ちてきた。

「(エェッ!?何!?)」

と僕とベイローレルさんが振り返ると

「お前達、そんな簡単に交渉内容を私が見せると思っていたのか…。クククッ…笑わせる。ここはお前らみたいなやつを捕らえておく場所だ。せいぜいここで干からびるまで苦しむんだな。」

黒幕はそう言うと階段を上がり扉を閉めて出て行ってしまった。

真っ暗な中、ベイローレルさんと2人きり。とりあえず僕はベイローレルさんの服にしがみ付いた。

「どうしよう…!ベイローレルさん!」

「落ち着け、フェンネル。どうにかなる。」

「でも…!」

するとベイローレルさんが指先に炎を灯し、明かりを作ってくれた。

「これで見えるな?」

「うん…。」

僕達はその小さな明かりを頼りに出口がないか探したが、案の定、柵で覆われているこの場所では出口は見当たらない。

「どうしよう…柵を壊すしか方法がないですね…。」

「そうだな…どうやって壊すか…。俺は火魔法は得意だが、この柵を燃やすまでは相当時間がかかるぞ。まぁ生きているまでにはどうにか抜け出せるとは思うが…。」

と気が遠くなるようなことを呟いた。

「わかりました…僕がやります。ベイローレルさんは下がっていて下さい。」

「いや、でもフェンネルは光魔法だろ!?
攻撃型じゃないのにどうやって?」

「まぁ…なんとか大丈夫なので。見てて下さい。」

僕は中くらいの魔力で水魔法のレーザーカッターを放った。結果的には柵にヒビがいったくらいで壊れることはなかった。次は強くらいで放とうと構える。

「ちょっ!ちょっと待て!お前、水魔法も使えるのか!?」

「ああ…はい。」

「ああ…、じゃなくて!」

面白いぐらいにベイローレルさんが焦っている。僕はこんな状況だったがフフフッと笑って「僕は2属性持ちです。」と答えた。

「エェッ!?」とベイローレルさんが驚いている。そのお陰か、先程までの不安な気持ちが消え去り、落ち着いた気持ちで魔法を放つことができた。僕は強の力で柵を粉々にする。

「よかった。ベイローレルさん、脱出しましょう。あと、このことは内緒にして下さいね。」とベイローレルさんへ笑顔で伝える。

ベイローレルさんは「ハハッ!フェンネルは顔に似合わず、豪快なんだな。」と先程の焦りは嘘のように笑った。






柵を突破した僕達に残されているのは地上へ行くための階段の扉だ。

「これは鍵で閉められているからそれをどうにかできれば大丈夫だろう…。」

「そうですね、じゃあまた僕が。」と構えると「いや、次は俺にやらせてくれ!」と言う。

「えっ…でも水魔法ですぐ開けれますけど…?」

「フェンネル、俺だってお前にカッコいいところを見せたいんだ。お前にばっかりやらせたら俺がいる意味がないだろう…!?」

「…そんな、気にしなくても…。」

「いや、俺のプライドの問題だ!」

「…わかりました。お願いします…。」

あまりにもベイローレルさんが必死なのでお願いすることにした。

「(どうする気だろう…。まさか扉ごと燃やすんじゃ…?)」と心配していると、

「フェンネル、悪いが俺達を囲むバリアを張ってくれ。」

「…?わかりました。」

そう答えて、バリアを張るとベイローレルさんは扉に向かって手をかざし、炎の爆風と共に扉を吹っ飛ばした。バリアのおかげでこちらには何も被害がなかったが、実に派手な攻撃である。

「…スゴイですね…。」と思わず呟いてしまった。

「だろ?俺だってやるときはやるんだぜ?」

と得意げな顔をする。

「(でも、これだけ爆音がしたらバレるんじゃ…?)」と心配していると「フェンネル、急げ!この音であいつら戻ってくるから!」とやはり急かされた。
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