83 / 215
第1章
82. 結婚式
しおりを挟む
それから暫くして、ロザリーナ姉様とセイボリー様の結婚式が行われた。
セイボリー様のお屋敷で行われる為、正直、プレス様に会う可能性があることが気掛かりだった。
あの時、次にもう会うことはないだろうと思い、逃げるようにお屋敷を去ったのでまたこのお屋敷にいるのは居心地が悪い。
「(今日の主役は僕じゃないからプレス様に会うことはないかもしれないけど、挨拶とかはやっぱりしないといけないのかな…はぁ~…やだなぁ…。)」
僕はそう思いながら、エリーや母様の従者に着せ替え人形のように服を着せられる。
「エリー…僕もう疲れたよ…。僕が主役じゃないんだから、変じゃなければ何でもいいと思うんだけど…。」
「フェンネル様、いけません!本日はロザリーナ様の結婚式ではありますが、フェンネル様の出会いの場でもあるのです。勿論、お兄様方もです。ですから、それなりの格好をしなければいけません!いいですか?フェンネル様や他のお兄様方も侯爵家において婚約者がいないなんて前代未聞です。特にタジェット様なんて2~3人居てもおかしくないのです!フェンネル様もですよ!カラマス様の婚約が無くなり、更にラーチ様の婚約も保留にしているなんて勿体な…いや、どなたかと婚約していないと色んな方に言い寄られてしまいます…!特にフェンネル様は容姿が優れているのですから、自覚を持って下さい!」
といつもにも増して気合いの入ったエリーに注意された。
「(エリー…今、勿体無いって言ったよね…?心の声漏れてるよ…。)
そっか…たしかに婚約者がいれば変に言い寄ってくる人の牽制にはなるよね。でも僕まだ色んな人を見てみたいし、婚約とかじゃなくて恋愛をしてみたいんだけど…。」
「…そうだったんですね。それでは今後、声をかけてくる方と恋愛なさってみては如何ですか?」
僕はその言葉に驚き「えっ!?いいの?」と声を上げる。
「はい、フェンネル様は婚約者もいらっしゃいませんし、恋愛をしてはいけないということはありませんので。」
「(そうなの…!?それなら別に婚約に拘らなかったらよかった…!そっか…普通に考えたら別に好きな人作ってもいいんだよね!?なんか毎日、色んなことがありすぎて忘れてたよ…!それに皆すぐに"婚約"って言ってくるんだもん、てっきり婚約しないと恋愛出来ないと思ってた…!うわ~…色々と無駄にした~!)」
僕はガックリと項垂れた。
するとエリーが「フェンネル様!出来ましたよ!」と声を上げたので、僕は顔を上げる。
そして鏡に映った自分を見て驚いた。
「(えっ…?これ女の子じゃない…?)」
そこには銀髪を軽く結い上げた髪型に目の色と同じ緑の飾りを付け、薄っすらと化粧の施された僕がいた。慌てて服装を見ると、かろうじてパンツは履いているものの、その上からふんわりとした膝丈のノースリーブワンピースを着せられ腰紐で結ばれている。ワンピースの裾は花弁の様な形でシースルーのようになって何重か生地が重なっている。色はクリーム色で所々に金の刺繍とラインが入っていた。
「エッ…エリー…?これ女の子が着るやつじゃないの…?」
と僕は動揺しながら聞くと、
「いえ、これはフェンネル様用に特注で作らせたものです。私と奥様がデザインした力作です!」
と笑顔で言われた。
「え…でもなんか中性的じゃない…?僕もっとカッコいい服だと思ってたんだけど。」
「それも1つ考えましたが、やはりフェンネル様の良さを出すにはこれが1番!と奥様と相談して決めました。フェンネル様の容姿は可愛らしいのでカッコいい服装にすると逆に浮いてしまうかと思い、少し中性的ではありますがこの服装になりました。あとはこれに上着を羽織っていただいて完成です。他にアクセサリーなども考えましたが、それは流石にフェンネル様が嫌がるかと思い却下しました。」
「(…じゃあ、もうどうしようもないか…特注品だし、母様の意見が入ってたら今更、嫌だなんて言えないしね。それに生前の僕には似合わなくても今の僕の容姿にはピッタリだ!せっかくこんな優れた容姿に生まれてきたんだし、今日は楽しもうかな!)…そうなんだ。ちょっと残念だけど、せっかく作ってもらったし僕に似合ってるんだったらいいかな。」
と笑顔で答える。
「はい!とてもお似合いです。きっと良い方に声を掛けて頂けるはずです。それにフェンネル様も素敵な方がいらっしゃったらご自身で声を掛けるのですよ!いいですね!」
「うっ…うん。」
最後はエリーに凄まれる形で押し切られた。
それからエリーに上着を貰い、会場へと急ぐ。
先に他の皆は会場に行っているらしく、父様と母様は来てくれた方を出迎え、タジェット兄様とディル兄様は挨拶回りに行ったそうだ。
僕は受付を済ますと早速、会場内へ入る。
会場へ入るとまず目に飛び込んで来たのは吹き抜けの天井だ。天井には様々な絵画とシャンデリアがあり、とても高級感溢れる場所だった。
「(うわ~すご~い!きれ~い!キラキラしてる。このままここで舞踏会とかできそう~。)」
と僕は天井を見つめながら入り口近くで佇んでいたので、後ろから来た人にぶつかってしまった。
ドンッ
「あっ…申し訳ございません。」
振り返りながら謝ると「こちらこそ、失礼した。」と肩を支えられた。
セイボリー様のお屋敷で行われる為、正直、プレス様に会う可能性があることが気掛かりだった。
あの時、次にもう会うことはないだろうと思い、逃げるようにお屋敷を去ったのでまたこのお屋敷にいるのは居心地が悪い。
「(今日の主役は僕じゃないからプレス様に会うことはないかもしれないけど、挨拶とかはやっぱりしないといけないのかな…はぁ~…やだなぁ…。)」
僕はそう思いながら、エリーや母様の従者に着せ替え人形のように服を着せられる。
「エリー…僕もう疲れたよ…。僕が主役じゃないんだから、変じゃなければ何でもいいと思うんだけど…。」
「フェンネル様、いけません!本日はロザリーナ様の結婚式ではありますが、フェンネル様の出会いの場でもあるのです。勿論、お兄様方もです。ですから、それなりの格好をしなければいけません!いいですか?フェンネル様や他のお兄様方も侯爵家において婚約者がいないなんて前代未聞です。特にタジェット様なんて2~3人居てもおかしくないのです!フェンネル様もですよ!カラマス様の婚約が無くなり、更にラーチ様の婚約も保留にしているなんて勿体な…いや、どなたかと婚約していないと色んな方に言い寄られてしまいます…!特にフェンネル様は容姿が優れているのですから、自覚を持って下さい!」
といつもにも増して気合いの入ったエリーに注意された。
「(エリー…今、勿体無いって言ったよね…?心の声漏れてるよ…。)
そっか…たしかに婚約者がいれば変に言い寄ってくる人の牽制にはなるよね。でも僕まだ色んな人を見てみたいし、婚約とかじゃなくて恋愛をしてみたいんだけど…。」
「…そうだったんですね。それでは今後、声をかけてくる方と恋愛なさってみては如何ですか?」
僕はその言葉に驚き「えっ!?いいの?」と声を上げる。
「はい、フェンネル様は婚約者もいらっしゃいませんし、恋愛をしてはいけないということはありませんので。」
「(そうなの…!?それなら別に婚約に拘らなかったらよかった…!そっか…普通に考えたら別に好きな人作ってもいいんだよね!?なんか毎日、色んなことがありすぎて忘れてたよ…!それに皆すぐに"婚約"って言ってくるんだもん、てっきり婚約しないと恋愛出来ないと思ってた…!うわ~…色々と無駄にした~!)」
僕はガックリと項垂れた。
するとエリーが「フェンネル様!出来ましたよ!」と声を上げたので、僕は顔を上げる。
そして鏡に映った自分を見て驚いた。
「(えっ…?これ女の子じゃない…?)」
そこには銀髪を軽く結い上げた髪型に目の色と同じ緑の飾りを付け、薄っすらと化粧の施された僕がいた。慌てて服装を見ると、かろうじてパンツは履いているものの、その上からふんわりとした膝丈のノースリーブワンピースを着せられ腰紐で結ばれている。ワンピースの裾は花弁の様な形でシースルーのようになって何重か生地が重なっている。色はクリーム色で所々に金の刺繍とラインが入っていた。
「エッ…エリー…?これ女の子が着るやつじゃないの…?」
と僕は動揺しながら聞くと、
「いえ、これはフェンネル様用に特注で作らせたものです。私と奥様がデザインした力作です!」
と笑顔で言われた。
「え…でもなんか中性的じゃない…?僕もっとカッコいい服だと思ってたんだけど。」
「それも1つ考えましたが、やはりフェンネル様の良さを出すにはこれが1番!と奥様と相談して決めました。フェンネル様の容姿は可愛らしいのでカッコいい服装にすると逆に浮いてしまうかと思い、少し中性的ではありますがこの服装になりました。あとはこれに上着を羽織っていただいて完成です。他にアクセサリーなども考えましたが、それは流石にフェンネル様が嫌がるかと思い却下しました。」
「(…じゃあ、もうどうしようもないか…特注品だし、母様の意見が入ってたら今更、嫌だなんて言えないしね。それに生前の僕には似合わなくても今の僕の容姿にはピッタリだ!せっかくこんな優れた容姿に生まれてきたんだし、今日は楽しもうかな!)…そうなんだ。ちょっと残念だけど、せっかく作ってもらったし僕に似合ってるんだったらいいかな。」
と笑顔で答える。
「はい!とてもお似合いです。きっと良い方に声を掛けて頂けるはずです。それにフェンネル様も素敵な方がいらっしゃったらご自身で声を掛けるのですよ!いいですね!」
「うっ…うん。」
最後はエリーに凄まれる形で押し切られた。
それからエリーに上着を貰い、会場へと急ぐ。
先に他の皆は会場に行っているらしく、父様と母様は来てくれた方を出迎え、タジェット兄様とディル兄様は挨拶回りに行ったそうだ。
僕は受付を済ますと早速、会場内へ入る。
会場へ入るとまず目に飛び込んで来たのは吹き抜けの天井だ。天井には様々な絵画とシャンデリアがあり、とても高級感溢れる場所だった。
「(うわ~すご~い!きれ~い!キラキラしてる。このままここで舞踏会とかできそう~。)」
と僕は天井を見つめながら入り口近くで佇んでいたので、後ろから来た人にぶつかってしまった。
ドンッ
「あっ…申し訳ございません。」
振り返りながら謝ると「こちらこそ、失礼した。」と肩を支えられた。
26
お気に入りに追加
4,610
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる