82 / 215
第1章
81. 新たな問題
しおりを挟む
あれから1ヶ月、僕は隔週でエリーと共に施療院へ通った。
勿論、名目は光魔法の訓練だったが僕の中ではラーチさんとオットーさんの関係を知る為だ。
この1ヶ月でわかったことは"2人は恋人関係ではないこと"。
それがわかった時、もの凄く残念ではあったがラーチさんも回復を見せ、それを穏やかに眺めているオットーさんを見るのも悪くないと感じていた。
しかし、ここ最近、この関係性に少し変化が見られるようになる。
それはラーチさんが僕を口説いてくることだ。
何度も言ってるが僕はまだ"7歳"だ。
「(皆、なんでこんな子供を口説くんだよー!)」と思っていたが、その理由はラーチさんが教えてくれた。
この国は15歳で成人を迎えるが、この歳になると爵位持ちの人はほとんどが婚約者との政略結婚になってしまう。勿論、双方の意見を尊重して遅らせることは出来るが、大半は婚約者がいる為、早くに申し込んでいないと結婚出来ないそうだ。
平民はその点、政略結婚ではないので結婚は自由に出来る。身分が違うと色々と苦労もあるそうだ。
ただ、稀に相手が婚約者持ちでも場合によっては重婚も出来るらしい。
ラーチさんは自分を助けてくれた僕のことを命の恩人=運命の人だと思っており、話が出来るまで回復した日から僕を口説いてくるようになった。
ラーチさんはこの街を治める領主様の次男らしくてそれなりにお金持ちの身分。僕は侯爵家に生まれたがイマイチこの国のお金持ち事情には疎いので、それを「すご~い。」という感じに捉えていた。
ラーチさんは僕に婚約者がいないことを知ると「では、申し込ませてくれ。」と言ってきた。僕はその言葉は素直に嬉しいと思ったが、それは好意を寄せてくれているから嬉しいだけであってそれ以上の感情はない。
僕はそれに対し「まだ僕は7歳なのでよくわかりません。」と兄様達に使った言い訳で返事をしたが「なら、これからお互いのことを知っていこう。」と言われ引くことが出来なかった。
更にラーチさんは次男ということもあって跡取りなどのしがらみもないため、肩書きは婿でも嫁でもどちらでも良いそうだ。
「(そりゃ僕としてはありがたいけどね…そういうの面倒だし…。)」
それから僕はラーチさんのことをオットーさんに相談するようになった。
オットーさんは生前の僕の友人、正樹に似ていることから僕は勝手に友人だと思い込み、色々と相談に乗ってもらうようになった。
オットーさんも迷惑そうではなかったので「まっ、いっか!」と思って関係性を続けていた。そして僕は調子に乗ってオットーさんにも恋バナを振ってみる。
すると、どこか悲しい顔付きになり「私達の職業は修道士です…なのでお付き合いはしてはいけないのです…だから幾ら好きな人が出来ても諦めなければいけません。」と言われてしまった。
僕はそれを聞いてピンッと来た!
「(わかった!オットーさん…実はラーチさんのことが好きだけど、修道士だから恋愛出来ないんだ…!じゃあ僕が出来る限りサポートしなくっちゃ…!恋愛は出来なくても、ラーチさんをオットーさんに目を向けるようには出来るもんね!)
と意気込む。
その日、家に帰ってくるといつもより早い帰宅のタジェット兄様がいた。
帰ってくるなり「フェル!」と僕を抱き締める。
「(どうしたんだろう…?)」と思い、兄様を部屋まで連れて行くと「フェルが遠くに行くようで寂しい…。」と言われた。
僕は頭に「?」を浮かべながら、
「(僕が最近、光魔法の訓練にばっかり行ってるから兄様、寂しいのかな…?でも兄弟としてこれ以上のスキンシップはOKにしてないしなぁ~。)
大丈夫だよ。僕はいつもここに戻ってくるよ?」
と伝えると「それはそうだけど…。」と何処か腑に落ちないまま更に僕を抱き締めた。
その晩、父様にラーチさんに婚約を申し込まれたことを伝えた。
父様も驚いてはいたが「まぁ…まだ時間はある、ゆっくり考えなさい。」と告げてくる。
「(はぁ~…自分が優柔不断だとはわかっているんだけど、この年齢での選択肢が多過ぎるんだよ…。まぁそれにラーチさんに正式に申し込まれたわけじゃないし、とりあえず保留にしとこう。今の所、僕が施療院に行かない限りラーチさんには会ってないし…。あー…早く大人になりたい…。)」
僕はそう思いながら眠りについた。
あと、この1ヶ月で嬉しいことも2つあった。
1つは進級試験を無事、弓矢で通過したこと。まだ第1段階ではあるが、なんとかなってよかった。
また半年したら第2段階の試験があり、これで進級が決まるらしいので更に頑張らないといけない。
もう1つはロザリーナ姉様の結婚式が近々行われることだ。
数ヶ月前、婚姻を了承してから僕がプレス様のことや魔獣の討伐で倒れたりと色々あった為、結婚式を先延ばしにしていた。それがやっと挙げれることとなり、周りも嬉しそうだった。
僕は当日、ロザリーナ姉様とセイボリー様に今まで迷惑をかけたお詫びに自分なりに盛大にお祝いしようと決めた。
勿論、名目は光魔法の訓練だったが僕の中ではラーチさんとオットーさんの関係を知る為だ。
この1ヶ月でわかったことは"2人は恋人関係ではないこと"。
それがわかった時、もの凄く残念ではあったがラーチさんも回復を見せ、それを穏やかに眺めているオットーさんを見るのも悪くないと感じていた。
しかし、ここ最近、この関係性に少し変化が見られるようになる。
それはラーチさんが僕を口説いてくることだ。
何度も言ってるが僕はまだ"7歳"だ。
「(皆、なんでこんな子供を口説くんだよー!)」と思っていたが、その理由はラーチさんが教えてくれた。
この国は15歳で成人を迎えるが、この歳になると爵位持ちの人はほとんどが婚約者との政略結婚になってしまう。勿論、双方の意見を尊重して遅らせることは出来るが、大半は婚約者がいる為、早くに申し込んでいないと結婚出来ないそうだ。
平民はその点、政略結婚ではないので結婚は自由に出来る。身分が違うと色々と苦労もあるそうだ。
ただ、稀に相手が婚約者持ちでも場合によっては重婚も出来るらしい。
ラーチさんは自分を助けてくれた僕のことを命の恩人=運命の人だと思っており、話が出来るまで回復した日から僕を口説いてくるようになった。
ラーチさんはこの街を治める領主様の次男らしくてそれなりにお金持ちの身分。僕は侯爵家に生まれたがイマイチこの国のお金持ち事情には疎いので、それを「すご~い。」という感じに捉えていた。
ラーチさんは僕に婚約者がいないことを知ると「では、申し込ませてくれ。」と言ってきた。僕はその言葉は素直に嬉しいと思ったが、それは好意を寄せてくれているから嬉しいだけであってそれ以上の感情はない。
僕はそれに対し「まだ僕は7歳なのでよくわかりません。」と兄様達に使った言い訳で返事をしたが「なら、これからお互いのことを知っていこう。」と言われ引くことが出来なかった。
更にラーチさんは次男ということもあって跡取りなどのしがらみもないため、肩書きは婿でも嫁でもどちらでも良いそうだ。
「(そりゃ僕としてはありがたいけどね…そういうの面倒だし…。)」
それから僕はラーチさんのことをオットーさんに相談するようになった。
オットーさんは生前の僕の友人、正樹に似ていることから僕は勝手に友人だと思い込み、色々と相談に乗ってもらうようになった。
オットーさんも迷惑そうではなかったので「まっ、いっか!」と思って関係性を続けていた。そして僕は調子に乗ってオットーさんにも恋バナを振ってみる。
すると、どこか悲しい顔付きになり「私達の職業は修道士です…なのでお付き合いはしてはいけないのです…だから幾ら好きな人が出来ても諦めなければいけません。」と言われてしまった。
僕はそれを聞いてピンッと来た!
「(わかった!オットーさん…実はラーチさんのことが好きだけど、修道士だから恋愛出来ないんだ…!じゃあ僕が出来る限りサポートしなくっちゃ…!恋愛は出来なくても、ラーチさんをオットーさんに目を向けるようには出来るもんね!)
と意気込む。
その日、家に帰ってくるといつもより早い帰宅のタジェット兄様がいた。
帰ってくるなり「フェル!」と僕を抱き締める。
「(どうしたんだろう…?)」と思い、兄様を部屋まで連れて行くと「フェルが遠くに行くようで寂しい…。」と言われた。
僕は頭に「?」を浮かべながら、
「(僕が最近、光魔法の訓練にばっかり行ってるから兄様、寂しいのかな…?でも兄弟としてこれ以上のスキンシップはOKにしてないしなぁ~。)
大丈夫だよ。僕はいつもここに戻ってくるよ?」
と伝えると「それはそうだけど…。」と何処か腑に落ちないまま更に僕を抱き締めた。
その晩、父様にラーチさんに婚約を申し込まれたことを伝えた。
父様も驚いてはいたが「まぁ…まだ時間はある、ゆっくり考えなさい。」と告げてくる。
「(はぁ~…自分が優柔不断だとはわかっているんだけど、この年齢での選択肢が多過ぎるんだよ…。まぁそれにラーチさんに正式に申し込まれたわけじゃないし、とりあえず保留にしとこう。今の所、僕が施療院に行かない限りラーチさんには会ってないし…。あー…早く大人になりたい…。)」
僕はそう思いながら眠りについた。
あと、この1ヶ月で嬉しいことも2つあった。
1つは進級試験を無事、弓矢で通過したこと。まだ第1段階ではあるが、なんとかなってよかった。
また半年したら第2段階の試験があり、これで進級が決まるらしいので更に頑張らないといけない。
もう1つはロザリーナ姉様の結婚式が近々行われることだ。
数ヶ月前、婚姻を了承してから僕がプレス様のことや魔獣の討伐で倒れたりと色々あった為、結婚式を先延ばしにしていた。それがやっと挙げれることとなり、周りも嬉しそうだった。
僕は当日、ロザリーナ姉様とセイボリー様に今まで迷惑をかけたお詫びに自分なりに盛大にお祝いしようと決めた。
35
お気に入りに追加
4,593
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる