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第1章
78. 百合?
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正直、馬車なので多少の揺れは気になったが、僕はエリーに抱きつくような形でギューと抱き締めた。
その後、馬車が止まり2人で馬車を降りる。
「フェンネル様、見苦しいところをお見せして申し訳ございませんでした。しかし、私はフェンネル様に聞いて頂けたことは後悔しておりません。私はこんな素晴らしい主君に出逢えたのですから。」
とエリーは涙で目を赤くしながらも最後は笑ってくれた。
「僕も。こんなに僕のことを想ってくれる人に出逢えて良かったよ。ありがとう、エリー。」
と僕は改めてエリーを抱き締めた。
僕達が玄関先でそんなことをしていると「あらあら~仲良しね~。」と母様ののんびりした声が聞こえてきた。
そちらを見ると母様がニコニコ笑ってこちらを見つめている。
僕は慌てて「母様、どうしてここに!?」と言うと「今、お茶会から帰って来たところなの。そしたらフェルとエリーが抱き合ってたから羨ましいわ~、と思って近付いてきたの。」と笑っていた。
僕は慌ててエリーから離れようとしたが母様が「いいの、いいの~。」と僕を挟む様な形でエリーを抱き締める。
「(えっ…ちょっ…苦し…!)」
僕はちょうど身長的に2人の胸に挟まれるような形となり、息苦しさにもがいた。
「エリーの目が赤いわ…。エリーが泣くなんてよっぽどね、大丈夫?」
と母様はエリーの目元をなぞった。
「はい…奥様、申し訳ございません。」
とエリーは返していたが、心なしか嬉しそうだ。
僕はその光景を見上げるように眺め「(えっ…?百合?ここは百合が起きてるの?)」と驚いていた。
それから3人で家に入り、それぞれの部屋へと別れる。
「(ふぅ~…今日も色々あったなぁ…。オットーさんとラーチさんってどういう関係なんだろう?また来週にでも行っちゃおうかな?その頃にはラーチさん、話せるくらいまでにはなってるよね!それにしてもエリーのことは驚いたな…前からエリーの強さは不思議だったけど冒険者って聞くと納得だな。それに…今考えてもどうしようもないけど、僕がもっと早く生まれてたらエリーの旦那さんのこと助けてあげられたのかな…?でも、そうしたら僕とエリーは出会ってないわけだし…。)」
と僕は結論のない答えを考えながらベッドでゴロゴロとしていた。
その後、夕食を食べ再び部屋に戻ってくる。
今日は施療院にも行って疲れたので早めに休もうとベッドに横になると、部屋の扉をノックする音と共にタジェット兄様が入ってきた。
「フェル、ただいま。」
と言いながらベッドサイドに近付いてくる。
僕は慌てて上体を起こそうとしたが、兄様に阻止された。
「いいよ、起きなくて。疲れているんでしょう?」と頭を撫でられた。
「(えっ…?なんで知ってるんだろう…?)」と思いながらも言われるがまま横になる。
「兄様、お帰りなさい。」と言うと「うん、ただいま。」と額にキスされた。
「(ん…?なんか兄様いつもと違う…?)兄
様どうかしたの?」
と聞いたが、
「ううん、いつも通りだよ?それより今日、フェルが何をしてたか教えてくれる?」
と返される。
「今日…?今日は学校から帰ってきてからエリーと施療院に行って光魔法の訓練をしたよ。何人か患者さんを治して帰ってきたかな…。」
と兄様の顔色を伺いながら言うと
「そっか、それはお疲れ様。気になる人は居たの?」
と聞かれた。
「(えっ…?どういうこと?気になる患者さんってこと?兄様、何が聞きたいんだろ…。でもラーチさんとオットーさんの関係も気になるし、オットーさんとは友人になりたいと思ってるから気になるといえば気になるのかな?)
うん…居たかな…?」
と答えると「やっぱり…。」とボソッと聞こえる。
僕が「兄様…?」と声をかけると
「あっ、いや何でもないんだ。それで光魔法の訓練は上手くいったのかい?」
と話を逸らされた。
「(なんか変…?でもよく分からないな…。)
うん、施療院の人にもビックリされたくらい上手くいったから大丈夫だよ。」
「そっか…じゃあまた次行く時も頑張らないといけないね…。でも無理だけはしないでね。前みたいになるのは嫌だよ…?」
と兄様は言うと僕の頰を撫で口付けてくる。
今までは軽くキスすると次に舌を入れられ深いものになっていたが、今回は軽くキスするとそれで終わりだった。何故なら前回、僕がそう言う風にお願いしたからだ。
キスが終わると兄様は名残惜しげに僕の唇を舐め、最後まで味わっている。
しかし最後には「はぁ~…。」と溜息をつき「じゃあ、おやすみフェル。」と去って行った。
僕は「おやすみなさい。」と兄様を見送るとベッドに横になったまま考えた。
「(兄様、何しに来たんだろ…?おやすみの挨拶にしては不思議なことを聞いてきてたな…。気になる人?どういう意味?まさか自分のライバルになりそうな人を調べたいとか…?てか、そもそも1回行っただけで気になるって、一目惚れとかしない限りないから!けど、オットーさんにはまた会いたいなぁ…。オットーさんを見てると生前の時を思い出して素の自分が出せるみたいで嬉しいんだよね…。)」
僕はそう思いつつ、眠りについた。
その後、馬車が止まり2人で馬車を降りる。
「フェンネル様、見苦しいところをお見せして申し訳ございませんでした。しかし、私はフェンネル様に聞いて頂けたことは後悔しておりません。私はこんな素晴らしい主君に出逢えたのですから。」
とエリーは涙で目を赤くしながらも最後は笑ってくれた。
「僕も。こんなに僕のことを想ってくれる人に出逢えて良かったよ。ありがとう、エリー。」
と僕は改めてエリーを抱き締めた。
僕達が玄関先でそんなことをしていると「あらあら~仲良しね~。」と母様ののんびりした声が聞こえてきた。
そちらを見ると母様がニコニコ笑ってこちらを見つめている。
僕は慌てて「母様、どうしてここに!?」と言うと「今、お茶会から帰って来たところなの。そしたらフェルとエリーが抱き合ってたから羨ましいわ~、と思って近付いてきたの。」と笑っていた。
僕は慌ててエリーから離れようとしたが母様が「いいの、いいの~。」と僕を挟む様な形でエリーを抱き締める。
「(えっ…ちょっ…苦し…!)」
僕はちょうど身長的に2人の胸に挟まれるような形となり、息苦しさにもがいた。
「エリーの目が赤いわ…。エリーが泣くなんてよっぽどね、大丈夫?」
と母様はエリーの目元をなぞった。
「はい…奥様、申し訳ございません。」
とエリーは返していたが、心なしか嬉しそうだ。
僕はその光景を見上げるように眺め「(えっ…?百合?ここは百合が起きてるの?)」と驚いていた。
それから3人で家に入り、それぞれの部屋へと別れる。
「(ふぅ~…今日も色々あったなぁ…。オットーさんとラーチさんってどういう関係なんだろう?また来週にでも行っちゃおうかな?その頃にはラーチさん、話せるくらいまでにはなってるよね!それにしてもエリーのことは驚いたな…前からエリーの強さは不思議だったけど冒険者って聞くと納得だな。それに…今考えてもどうしようもないけど、僕がもっと早く生まれてたらエリーの旦那さんのこと助けてあげられたのかな…?でも、そうしたら僕とエリーは出会ってないわけだし…。)」
と僕は結論のない答えを考えながらベッドでゴロゴロとしていた。
その後、夕食を食べ再び部屋に戻ってくる。
今日は施療院にも行って疲れたので早めに休もうとベッドに横になると、部屋の扉をノックする音と共にタジェット兄様が入ってきた。
「フェル、ただいま。」
と言いながらベッドサイドに近付いてくる。
僕は慌てて上体を起こそうとしたが、兄様に阻止された。
「いいよ、起きなくて。疲れているんでしょう?」と頭を撫でられた。
「(えっ…?なんで知ってるんだろう…?)」と思いながらも言われるがまま横になる。
「兄様、お帰りなさい。」と言うと「うん、ただいま。」と額にキスされた。
「(ん…?なんか兄様いつもと違う…?)兄
様どうかしたの?」
と聞いたが、
「ううん、いつも通りだよ?それより今日、フェルが何をしてたか教えてくれる?」
と返される。
「今日…?今日は学校から帰ってきてからエリーと施療院に行って光魔法の訓練をしたよ。何人か患者さんを治して帰ってきたかな…。」
と兄様の顔色を伺いながら言うと
「そっか、それはお疲れ様。気になる人は居たの?」
と聞かれた。
「(えっ…?どういうこと?気になる患者さんってこと?兄様、何が聞きたいんだろ…。でもラーチさんとオットーさんの関係も気になるし、オットーさんとは友人になりたいと思ってるから気になるといえば気になるのかな?)
うん…居たかな…?」
と答えると「やっぱり…。」とボソッと聞こえる。
僕が「兄様…?」と声をかけると
「あっ、いや何でもないんだ。それで光魔法の訓練は上手くいったのかい?」
と話を逸らされた。
「(なんか変…?でもよく分からないな…。)
うん、施療院の人にもビックリされたくらい上手くいったから大丈夫だよ。」
「そっか…じゃあまた次行く時も頑張らないといけないね…。でも無理だけはしないでね。前みたいになるのは嫌だよ…?」
と兄様は言うと僕の頰を撫で口付けてくる。
今までは軽くキスすると次に舌を入れられ深いものになっていたが、今回は軽くキスするとそれで終わりだった。何故なら前回、僕がそう言う風にお願いしたからだ。
キスが終わると兄様は名残惜しげに僕の唇を舐め、最後まで味わっている。
しかし最後には「はぁ~…。」と溜息をつき「じゃあ、おやすみフェル。」と去って行った。
僕は「おやすみなさい。」と兄様を見送るとベッドに横になったまま考えた。
「(兄様、何しに来たんだろ…?おやすみの挨拶にしては不思議なことを聞いてきてたな…。気になる人?どういう意味?まさか自分のライバルになりそうな人を調べたいとか…?てか、そもそも1回行っただけで気になるって、一目惚れとかしない限りないから!けど、オットーさんにはまた会いたいなぁ…。オットーさんを見てると生前の時を思い出して素の自分が出せるみたいで嬉しいんだよね…。)」
僕はそう思いつつ、眠りについた。
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