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第1章
77. エリーの過去
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「(おおっ!治ってる!すご~い!)」
と僕は他人行儀に思った。
嬉しくなりオットーさんをチラッと見ると患者を見て固まっている。
「(あれ?オットーさん、どうしたんだろ?)
オットーさん…どうされたんですか?」
と声を掛けながら腕をトントン叩くと、ハッとなりこちらを凝視する。
「あっ…あの…あのローランド様、今、光魔法を使って下さったんですよね?体調は大丈夫なんですか?」
と動揺している。
「ええ、なんともありません。私、人より魔力が多いので。
(チートなのですみません。)」
「そっ…そうですか…。ローランド様のおかげでこの方もだいぶ良くなったようです。時期に目を覚ますでしょう。あの…こちらに来て頂けますか…?」
とオットーさんはベッドと机、チェストしかない6畳ほどの部屋に僕達を連れてきた。
「このような場所で申し訳ございません。ここは私の私室です。どうしても他の人に聞かれずにお話したかったのです。…フェンネル様…貴方は何者ですか…?」
「(えっ!?何者!?何者でもないんだけど…!ただの2つの能力持ちで魔力が無限大ってことぐらい…?いや…これが異常なのか…。でも内緒にしとかないといけないしなぁ…。)
えーと…特に何者でもないのですが…。」
と答えると、
「そんなはずありません!あの患者さんは今まで何人もの光魔法の能力者に診せてきました。でも皆さん、途中で投げ出してしまったのです…。私はそれを見る度に自分の不甲斐なさに涙してきました…。あの方…ラーチさんのあんな穏やかな表情は初めてみました…!」
なんとオットーさんは涙を流していた。
「(えっ…オットーさん泣いてる…!それは患者さんが良くなって感動したから?それともラーチさんのこと好きで、好きな人が良くなって嬉しいとか!?)」
と僕は生BLに興奮しつつ、エリーを見上げた。
するとエリーはこちらの視線に気付くとコクっと頷き口を開く。
「オットー様、フェンネル様についてですが、事情がありこれ以上申し上げることは出来ません。しかし、フェンネル様はとても心優しい方です。決して悪いようには致しませんので今日、ここであったことは他言無用でお願い致します。もし誰かにあの患者のことを聞かれても薬の服用により良くなったと答えて下さい。もしそれが守れないようでしたら、ここには2度と訪れることはないでしょう。」
と最後は脅すような理由を述べた。
するとオットーさんは怯えたような顔になり「それは…困ります…。」と頭を下げる。
「あの…オットーさん、理由は言えないんですが私はこの力を必要としている方に使っていきたいのです。なので、このことは内緒にして頂けませんか…?」
とお願いする。
「…わかりました。もうこれ以上は聞きません。ですから、もう2度と来ないなど仰らないで下さい。」
と逆にお願いされた。
「それは勿論です…。患者さんの為に頑張りましょうね。」
僕はオットーさんに近付くとその手を両手で握り締めた。
「(オットーさん…正樹のこと、思い出させてくれてありがとう。)」
それから何名か重症患者を診察し、光魔法で治していった。
オットーさんはその光景に驚いていたものの、それ以上何も言わなかった。
僕としては本当のことが言えず、心苦しかったがそれよりもオットーさんとラーチさんの関係が気になって仕方がない。
「(これは…定期的に来て関係性をハッキリさせなくては…!)」
と意気込んで、その日は帰宅した。
帰りの馬車の中「フェンネル様、今日はお疲れではないですか?」とエリーに聞かれる。
「ううん、大丈夫だよ。せっかく魔力が沢山あるんだし、出し惜しみせずに使っていくよ、それが今僕にできることだしね。」
「フェンネル様…その様に真っ直ぐに成長されて私は嬉しいです。本音を言うとフェンネル様のような方にもっと早く出会いたかったです…。」
と哀しそうに告げる。
「(エリーがこの前、落ち込んでいたのとなにか関係あるのかな…?)
エリーは誰か大切な人を亡くしたの…?」
と恐る恐る聞くと、
「…はい。私の夫です。ランタナが生まれて1年後、流行病で亡くなりました。ちょうどフェンネル様の従者として仰せつかった時は主人が亡くなって暫く経ったときのことです。いつまでも落ち込んでられないと仕事を探している際、奥様に声を掛けて頂き、今の仕事に就くことができました。私は元々、冒険者で夫とはそこで出会いました。裕福ではありませんでしたが、夫と娘と母と共に暮らして幸せな家庭を築いていました。しかし、ランタナが生まれた直後、街に流行病が流行り、私の夫もそれにかかりました。その時の技術では光魔法の方に助けてもらうしかなく、私も光魔法の方を必死に探しましたが安いお金では誰も診てはくれませんでした…。そして半年後、夫は亡くなり、そのことがあって私は自分の能力が光魔法だったらと何度も思いました。しかし、自分の能力は生まれ持ったもの、どうしようもありませんでした…。なのでフェンネル様の様にあの時、心優しい光魔法の人に出会えていれば、と思ってしまうのです…。」
とエリーは涙ながらに話してくれた。
僕は静かに立ち上がるとエリーを抱き締める。
と僕は他人行儀に思った。
嬉しくなりオットーさんをチラッと見ると患者を見て固まっている。
「(あれ?オットーさん、どうしたんだろ?)
オットーさん…どうされたんですか?」
と声を掛けながら腕をトントン叩くと、ハッとなりこちらを凝視する。
「あっ…あの…あのローランド様、今、光魔法を使って下さったんですよね?体調は大丈夫なんですか?」
と動揺している。
「ええ、なんともありません。私、人より魔力が多いので。
(チートなのですみません。)」
「そっ…そうですか…。ローランド様のおかげでこの方もだいぶ良くなったようです。時期に目を覚ますでしょう。あの…こちらに来て頂けますか…?」
とオットーさんはベッドと机、チェストしかない6畳ほどの部屋に僕達を連れてきた。
「このような場所で申し訳ございません。ここは私の私室です。どうしても他の人に聞かれずにお話したかったのです。…フェンネル様…貴方は何者ですか…?」
「(えっ!?何者!?何者でもないんだけど…!ただの2つの能力持ちで魔力が無限大ってことぐらい…?いや…これが異常なのか…。でも内緒にしとかないといけないしなぁ…。)
えーと…特に何者でもないのですが…。」
と答えると、
「そんなはずありません!あの患者さんは今まで何人もの光魔法の能力者に診せてきました。でも皆さん、途中で投げ出してしまったのです…。私はそれを見る度に自分の不甲斐なさに涙してきました…。あの方…ラーチさんのあんな穏やかな表情は初めてみました…!」
なんとオットーさんは涙を流していた。
「(えっ…オットーさん泣いてる…!それは患者さんが良くなって感動したから?それともラーチさんのこと好きで、好きな人が良くなって嬉しいとか!?)」
と僕は生BLに興奮しつつ、エリーを見上げた。
するとエリーはこちらの視線に気付くとコクっと頷き口を開く。
「オットー様、フェンネル様についてですが、事情がありこれ以上申し上げることは出来ません。しかし、フェンネル様はとても心優しい方です。決して悪いようには致しませんので今日、ここであったことは他言無用でお願い致します。もし誰かにあの患者のことを聞かれても薬の服用により良くなったと答えて下さい。もしそれが守れないようでしたら、ここには2度と訪れることはないでしょう。」
と最後は脅すような理由を述べた。
するとオットーさんは怯えたような顔になり「それは…困ります…。」と頭を下げる。
「あの…オットーさん、理由は言えないんですが私はこの力を必要としている方に使っていきたいのです。なので、このことは内緒にして頂けませんか…?」
とお願いする。
「…わかりました。もうこれ以上は聞きません。ですから、もう2度と来ないなど仰らないで下さい。」
と逆にお願いされた。
「それは勿論です…。患者さんの為に頑張りましょうね。」
僕はオットーさんに近付くとその手を両手で握り締めた。
「(オットーさん…正樹のこと、思い出させてくれてありがとう。)」
それから何名か重症患者を診察し、光魔法で治していった。
オットーさんはその光景に驚いていたものの、それ以上何も言わなかった。
僕としては本当のことが言えず、心苦しかったがそれよりもオットーさんとラーチさんの関係が気になって仕方がない。
「(これは…定期的に来て関係性をハッキリさせなくては…!)」
と意気込んで、その日は帰宅した。
帰りの馬車の中「フェンネル様、今日はお疲れではないですか?」とエリーに聞かれる。
「ううん、大丈夫だよ。せっかく魔力が沢山あるんだし、出し惜しみせずに使っていくよ、それが今僕にできることだしね。」
「フェンネル様…その様に真っ直ぐに成長されて私は嬉しいです。本音を言うとフェンネル様のような方にもっと早く出会いたかったです…。」
と哀しそうに告げる。
「(エリーがこの前、落ち込んでいたのとなにか関係あるのかな…?)
エリーは誰か大切な人を亡くしたの…?」
と恐る恐る聞くと、
「…はい。私の夫です。ランタナが生まれて1年後、流行病で亡くなりました。ちょうどフェンネル様の従者として仰せつかった時は主人が亡くなって暫く経ったときのことです。いつまでも落ち込んでられないと仕事を探している際、奥様に声を掛けて頂き、今の仕事に就くことができました。私は元々、冒険者で夫とはそこで出会いました。裕福ではありませんでしたが、夫と娘と母と共に暮らして幸せな家庭を築いていました。しかし、ランタナが生まれた直後、街に流行病が流行り、私の夫もそれにかかりました。その時の技術では光魔法の方に助けてもらうしかなく、私も光魔法の方を必死に探しましたが安いお金では誰も診てはくれませんでした…。そして半年後、夫は亡くなり、そのことがあって私は自分の能力が光魔法だったらと何度も思いました。しかし、自分の能力は生まれ持ったもの、どうしようもありませんでした…。なのでフェンネル様の様にあの時、心優しい光魔法の人に出会えていれば、と思ってしまうのです…。」
とエリーは涙ながらに話してくれた。
僕は静かに立ち上がるとエリーを抱き締める。
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