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第1章
70. 取り合い
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そのまま実技の授業に…といきたいところだが、僕のその様子に「フェンネル君、無理しないで自分の使いやすいものを選んでください。」と先生に気を遣われ、かなり渋々だがサーベルを選ぶ。剣に比べて刃の部分も細いし、柄も持ちやすい。
「(やっぱりこっちの方が僕向きなのかな…。)」と残念に思いながら僕は実技に臨んだ。
結果的にいうと、僕は剣の才能が皆無だった…。
元々筋力がないせいか軽いサーベルでさえ、少し振ると腕がプルプルとなり、握っているだけでも必死になる。
先生が「フェンネル君、もういいですよ?」と更に気を遣ってくれたが、意地でも最後まで振り続けた。
すると午後の授業は腕が早くも筋肉痛になり、まともにペンが握れなかったため、申し訳なく思ったがランタナに明日ノートを見せてもらう約束をしてその日は帰宅した。
家に帰って来た僕はあまりの不甲斐なさに初めて泣いた。
「(ゔ~…兄様に甘えすぎた~。いつも兄様に抱っこされてるからバチが当たったんだ…。今日から筋トレしないと皆に追い付けないよ~。)」
とベッドに突っ伏して唸っていると、そのまま泣き疲れて寝てしまった。
次に僕が起きたのは夕食に呼びに来たエリーの声だった。
たぶん2時間程、寝ていたと思う。
エリーは目を真っ赤に充血させている僕の顔を見るなり「フェンネル様!?」と珍しく驚いていたが、僕が「なんでもないから…。」と言うと何か言いたげだったが押し黙る。
本当は理由を聞きたかっただろうが、大した内容でもないので言うのも恥ずかしい。
そしてそのまま夕食の食卓についたのが案の定、家族は驚いていた。
皆、口々に
「どうしたんだ!?」
「誰かに何かされたのか!?」
と心配してくれたが、ここでも「なんでもないから。」を押し通した。
しかし、ここで黙ってないのかタジェット兄様である。
タジェット兄様は夕食後、僕の部屋に来るなり僕を抱き締めて、
「フェル…そんなに目を腫らしてどうしたの?なんでもないことないよね…?」
と声を掛けてくれた。
僕は兄様の優しい言葉に我慢していた涙が耐えきれずギュッと抱き着くと、
「ゔ~兄様~!僕…僕ね…兄様みたいに剣が上手くなってカッコよくなりたかったの!でも…今日、授業で剣を持ったら重くて持ち上がらなくて…。それに軽いサーベルに変えたのにそれもほとんど上手く動かせなかった…僕、剣の才能がないのかなぁ…?兄様、どう思う?」
とうるうると目に涙を溜めながら上目遣いに聞く。
すると兄様は無言で僕をギューと抱き締めると「かっ…可愛すぎる…!」と唸った。
僕が「兄様…!僕、真剣に悩んでるのに…!」と怒ると「ゴメン、ゴメン。フェル…そんな気にすることないよ?私だって初めはそうだったんだから。無理せずフェルのペースでやっていったらいいんだよ。もしそれでも頑張りたくなったら私が一緒にやってあげるから。」と言ってくれた。
「ホント…?僕、これでも大丈夫…?将来、兄様みたいに上手くなれる…?」
と言うと兄様は「もちろん。」と励ましてくれた。
僕は単純にその言葉にホッとし、兄様に「いきなり抱き着いてゴメンね。」と謝ると身体を離した。
兄様は僕と離れるのを渋っていたが、コンコンッと扉をノックする音が聞こえた為、少し距離を取る。
「はい。」と返事をするとディル兄様が「フェル~?」と呼んできた。
そのまま中に通すとタジェット兄様を見て、明らかに顔が曇る。
「やっぱり居たか…。」と呟くと、こちらに近付き僕を抱き締めた。
「フェル~大丈夫だった?変なことされてない?もし嫌だったらすぐ私に言うんだよ?」
と僕の身体にあちこち触りながら聞いてくる。それが少しわざとらしくて僕は内心とても焦っていた。
「(ディル兄様…そんなことしたらタジェット兄様、怒っちゃうよ…?これじゃ絶対ケンカになる…!)」
と僕が思っていると予想通り、
「おい…その手を離せ…。」
とタジェット兄様が怒っていた。
「なんで?別にいいでしょ?さっきまでフェルのこと独り占めしてたくせに。次は私の番だよ。」
と言うと更に抱き締めてきた。
「ディル!いい加減にしろ!」
「…タジェット兄様に言われたくないね。この2ヶ月間、兄様のことで落ち込んでたフェルを励ましてたのは私だよ?それを自分が仲直りしたからってまた自分のモノにするのはおかしいんじゃない?」
と正論を言われている。
タジェット兄様はその言葉に「グッ…。」と狼狽えていたが「それより何しにきたんだ。」と話をすり替えた。
「それはきっと兄様と同じだよ。フェルが泣いてたから様子を見に来たんだ。でも一足遅かったみたいだね。元気になってよかった…。」
と僕の頭にキスをする。
「(やっぱりこっちの方が僕向きなのかな…。)」と残念に思いながら僕は実技に臨んだ。
結果的にいうと、僕は剣の才能が皆無だった…。
元々筋力がないせいか軽いサーベルでさえ、少し振ると腕がプルプルとなり、握っているだけでも必死になる。
先生が「フェンネル君、もういいですよ?」と更に気を遣ってくれたが、意地でも最後まで振り続けた。
すると午後の授業は腕が早くも筋肉痛になり、まともにペンが握れなかったため、申し訳なく思ったがランタナに明日ノートを見せてもらう約束をしてその日は帰宅した。
家に帰って来た僕はあまりの不甲斐なさに初めて泣いた。
「(ゔ~…兄様に甘えすぎた~。いつも兄様に抱っこされてるからバチが当たったんだ…。今日から筋トレしないと皆に追い付けないよ~。)」
とベッドに突っ伏して唸っていると、そのまま泣き疲れて寝てしまった。
次に僕が起きたのは夕食に呼びに来たエリーの声だった。
たぶん2時間程、寝ていたと思う。
エリーは目を真っ赤に充血させている僕の顔を見るなり「フェンネル様!?」と珍しく驚いていたが、僕が「なんでもないから…。」と言うと何か言いたげだったが押し黙る。
本当は理由を聞きたかっただろうが、大した内容でもないので言うのも恥ずかしい。
そしてそのまま夕食の食卓についたのが案の定、家族は驚いていた。
皆、口々に
「どうしたんだ!?」
「誰かに何かされたのか!?」
と心配してくれたが、ここでも「なんでもないから。」を押し通した。
しかし、ここで黙ってないのかタジェット兄様である。
タジェット兄様は夕食後、僕の部屋に来るなり僕を抱き締めて、
「フェル…そんなに目を腫らしてどうしたの?なんでもないことないよね…?」
と声を掛けてくれた。
僕は兄様の優しい言葉に我慢していた涙が耐えきれずギュッと抱き着くと、
「ゔ~兄様~!僕…僕ね…兄様みたいに剣が上手くなってカッコよくなりたかったの!でも…今日、授業で剣を持ったら重くて持ち上がらなくて…。それに軽いサーベルに変えたのにそれもほとんど上手く動かせなかった…僕、剣の才能がないのかなぁ…?兄様、どう思う?」
とうるうると目に涙を溜めながら上目遣いに聞く。
すると兄様は無言で僕をギューと抱き締めると「かっ…可愛すぎる…!」と唸った。
僕が「兄様…!僕、真剣に悩んでるのに…!」と怒ると「ゴメン、ゴメン。フェル…そんな気にすることないよ?私だって初めはそうだったんだから。無理せずフェルのペースでやっていったらいいんだよ。もしそれでも頑張りたくなったら私が一緒にやってあげるから。」と言ってくれた。
「ホント…?僕、これでも大丈夫…?将来、兄様みたいに上手くなれる…?」
と言うと兄様は「もちろん。」と励ましてくれた。
僕は単純にその言葉にホッとし、兄様に「いきなり抱き着いてゴメンね。」と謝ると身体を離した。
兄様は僕と離れるのを渋っていたが、コンコンッと扉をノックする音が聞こえた為、少し距離を取る。
「はい。」と返事をするとディル兄様が「フェル~?」と呼んできた。
そのまま中に通すとタジェット兄様を見て、明らかに顔が曇る。
「やっぱり居たか…。」と呟くと、こちらに近付き僕を抱き締めた。
「フェル~大丈夫だった?変なことされてない?もし嫌だったらすぐ私に言うんだよ?」
と僕の身体にあちこち触りながら聞いてくる。それが少しわざとらしくて僕は内心とても焦っていた。
「(ディル兄様…そんなことしたらタジェット兄様、怒っちゃうよ…?これじゃ絶対ケンカになる…!)」
と僕が思っていると予想通り、
「おい…その手を離せ…。」
とタジェット兄様が怒っていた。
「なんで?別にいいでしょ?さっきまでフェルのこと独り占めしてたくせに。次は私の番だよ。」
と言うと更に抱き締めてきた。
「ディル!いい加減にしろ!」
「…タジェット兄様に言われたくないね。この2ヶ月間、兄様のことで落ち込んでたフェルを励ましてたのは私だよ?それを自分が仲直りしたからってまた自分のモノにするのはおかしいんじゃない?」
と正論を言われている。
タジェット兄様はその言葉に「グッ…。」と狼狽えていたが「それより何しにきたんだ。」と話をすり替えた。
「それはきっと兄様と同じだよ。フェルが泣いてたから様子を見に来たんだ。でも一足遅かったみたいだね。元気になってよかった…。」
と僕の頭にキスをする。
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