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第1章

62. 兄様の告白

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座り込んだ兄様に合わせて僕も中腰になり、同じ目線の高さの体勢をとる。

「(よし!これで話しやすくなった!)」

僕はジッと兄様を見つめ、発言を待つ。

すると兄様は気まずそうに、

「…それは勿論、フェルを信じるよ?…フェルのこと、信じきれなくてゴメン…。」

と兄様は少し目線を逸らしながら謝ってきた。

「私はフェルのこととなると途端に不安になって自信が持てなくなる…。前まではそんな不安、一片も感じなかったんだけど、この前の一件以来、私はフェルに相応しくないんじゃないかと感じてしまったんだ…。それに最近、フェルの魅力を知って色んな人がフェルに惹かれていく姿を見るのが嫌なんだ…。」と自傷気味に言う。

僕は咄嗟に兄様の頰を両手で挟み込み、

「兄様…僕に相応しいとか相応しくないとか、兄様が決めないで…?少なくとも僕は兄様のこと、この世で1番魅力的だと思ってるよ…?」

と僕が真剣な顔で言うと、兄様は途端に顔が赤くなり「フェル…ホントに…?」とキラキラした目で返してくる。

「うん。
(…なんか目に生気が戻った気がする。てか、こんなことで元気になったの…?)」

すると兄様は右手で僕の左手を外すと手の平にキスをした。そして自分の頰に僕の手を添えたまま戻すと、

「フェル…私はこれからもっと強くなって堂々とフェルの隣に立てるように頑張るからね?側で見守っていてくれる…?」

と兄様は必然的に上目遣いでお願いしてきた。

「うっ…うん…
(イケメンの上目遣いってやっぱり得だな…。)」

僕がそんなことを考えながら返事をすると兄様は僕の手を離し立ち上がる。

どうしたのかと思い見上げると魔法を使って身なりを綺麗にした。

いつものタジェット兄様だ。

「いつもの兄様だね。」と僕が笑顔で言うと「ここ最近はどうでもよくなって身なりを気にしてなかったから…。」と恥ずかしそうに答える。

すると兄様は急に僕を抱きかかえると「久しぶりに一緒にお風呂に入ろう。」と言って僕の返事も待たずに歩き出した。

「(えっ!?なに!?どうしたの!?なんでお風呂!?僕も一緒に入る意味あるの?)」

と僕が焦っていると、

「フェルが会いに来てくれて凄く嬉しい。寂しかったの…?私も凄く会いたかったよ。一緒にお風呂に入って、より親密になろうね。」

とウットリとした顔で言われてしまう。

「(いつもの兄様に戻ってる!!!嬉しいけど!なんか思ってたのと違う!)」

僕は嬉しさと焦りで上手く反応出来ずにいた。

その間にも僕はどんどん服を脱がされ、僕が全て脱ぎ終わると兄様も脱ぎ出し、そのまま浴室にお姫様抱っこで連れて行かれる。

僕はとりあえずモジモジしながら前を隠し、兄様はそれさえも微笑ましそうに眺めていた。

早速、兄様は中に入ると僕を浴槽の中に入れ自分は身体を洗い出した。僕は「(相変わらずアレが大きいなぁ…。)」と眺める。

兄様は身体を洗い終えると僕を向かい合わせに抱え浴槽に入る。

すると真面目な顔をして「フェルが眠ってからこの2ヶ月、まともに顔を合わせてなかったから私は生きた心地がしなかったよ…。私生活も荒んでたしね…。」と言う。

「(私生活…?あっ!兄様の恋人!今、聞いてもいいのかな…?兄様と恋人が上手くいってれば兄様がこんな荒んだ生活にならなかったもんね。)
あの…兄様…、兄様は恋人と上手くいってる…?」

と恐る恐る伺うと「えっ?恋人…?」と兄様は驚いた顔をした。

「恋人がいるんでしょう?」

「いや…恋人はいないけど?」

と不思議な顔をして首を傾ける。

「えっ…だって僕、兄様が恋人の為に隊長を辞退したって聞いたよ…?」

すると兄様は溜息をつきながら

「なんでそんなこと知ってるの…。たしかに隊長を辞退したのは事実だよ。それが恋人のため…っていうのはあながち間違いではないけど…恋人というか好きな人に会いたいから辞退したんだ…。」

「(やっぱり…。兄様の好きな人ってどんな人なんだろ…?前までは僕だと勘違いしてたけど、僕じゃないってことはわかってるしね。)
ねぇ兄様、兄様の好きな人はどんな人?」

と僕は兄様を見つめながら聞く。

兄様は驚いた顔をして「まだ気付いてないの?」と言った。

僕も「ん?」と首を傾け「銀髪で緑目の人ってことは知ってるよ?」と応える。

「そこまで分かってるのに?」と落胆されたが僕には検討もつかない。

僕は「うん。」と答え、兄様の答えを待った。

「…フェルには直接言った方が良いみたいだね。私がこの世で1番愛してるのはフェルだよ。」

兄様の言葉を聞いて2人の間に沈黙が流れる。



「えーっ!?」



と僕は絶叫した。
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