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第1章

55. 予想外の…*

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僕はまたしてもカラマス君のイタズラに引っかかったようだ。僕がムッとした顔をすると、カラマス君は僕のその様子にクククッと笑い僕の頭を撫でる。

しかし、直ぐに真面目な顔になり、

「俺、本当に心配したんだぞ。なんでフェルがこんな大変な時に側にいてあげられなかったんだろうって。俺はフェルが討伐に行ったことさえ知らなかった。知ってたらフェルをこんな目に遭わせなかったのに…。フェル、ゴメンな…痛かっただろ…?」

と僕のお腹を撫でた。

「カラマス君…ありがとう。僕は大丈夫だよ。カラマス君に比べたらまだ背も小さいし、弱く見えるかもしれないけど僕だって男だもん。少しくらい怪我しても大丈夫。それに身長だってすぐにカラマス君を抜くかもしれないし!」

「………いや、抜かれたら困るな…。前、タジェット様に殴られた時だって相当心配したのに今回はそれの比じゃないぞ。危うく死ぬところだったんだから。」

カラマス君の声は少し震えていた。

「いつも心配かけてゴメンね?」

僕はそれに困ったように答えると、泣きそうになっているカラマス君にキスをした。

カラマス君は途端に目を丸くして僕を凝視する。

僕は少しでもこのシリアスな雰囲気が緩和されると思い「フフッ、いつもやられてるお返し!」と微笑んだ。

しかし、カラマス君はそんな僕の頰に手を添えると再びキスしてくる。それもなんとディープキスである。

僕はカラマス君の予想外の行動にパニックになってしまい、冷静になるまで彼の思うがままになっていた。

「んっ…ふぁ…。
(カラマス君ー!なんでディープキスなんて知ってるのー!?)」

僕はまさか10歳のカラマス君にこんなことをされるとは思ってもおらず、ほとんど初心者の僕は対処しきれなかった。



くちゅ…くちゅ…



僕がパニックになっている間にどんどんキスが深くなっていく。カラマス君の舌が僕の舌に絡むと甘噛みされたり吸われたりする。

「(…カラマス君…なんでそんな上手いの…?)」

僕はそう思いながら必死にカラマス君の服を引っ張り止めてもらうように願った。

しかし、僕の気持ちとは裏腹にカラマス君の行為はエスカレートしていく。左手は僕の頰を支えたままだったが、右手が僕のお尻を撫ではじめる。

「ふっ…んっ…。
(まっ…まずい!これ以上されると流されてしまう…!)」

僕は何とか話をしなければと思いカラマス君の舌を軽く噛む。

するとやっと唇から離れ「んっ…?フェルどうした…?」と聞いてきた。

「(いや、どうしたじゃないでしょー!?10歳児がこんな高等技術を披露してはいけません!)
はぁ…くるし…。」

「ああ、ゴメン…夢中になってた…鼻から息するんだぞ?」とアドバイスされる。

「(いや、違う違う!そうじゃなくて何で次に進もうとしてるの!?)
ちがっ…そうじゃなくて…なんで…?」

とやっと自分の意見が言えた。

「だって…フェルが可愛いから早く俺のモノにしたくなって…嫌だった…?」と衝撃的なことを言う。

「(この世界の初体験は何歳が平均なんですかー!?)」と僕は問いたい。

「あっ…嫌とかじゃなくて…僕達、元婚約者だけど付き合ってるわけじゃないでしょう…?だったらこれ以上はしたらダメだし、僕にはまだ早いよ…?(そうだよ!僕、何度も言ってるけど7歳だから!)」

「俺はフェルを愛してる。それじゃダメなのか…?」と悲しそうな顔をされる。

「(グッ…普段、俺様感出してるくせにこんな時にワンコ属性を出してくるとは…!)
あのね、カラマス君、僕まだ好きとかそういうのよく分からないんだ。だから、僕がそれを分かってから改めて言ってくれない…?」

僕は内心「(また期待させるようなこと言っちゃったよー…。)」と思いながらも今を凌ぐには仕方なかった。

カラマス君は僕のその返事にちょっと納得がいってないようだったが「わかった。」と渋々諦めてくれる。

「じゃあ今度からどんどんフェルのこと口説いていくから覚悟しておけよ。」

と何処かで聞いたようなセリフをカラマス君にも言われた。






それからカラマス君は改めてブレスレットを留めてくれた。やっぱり留めにくいと言っていたのは嘘だったみたいだ。

僕は自分の左手首にあるそのブレスレットをマジマジと見つめ「カッコイイ…ありがとう。」とお礼を言う。カラマスは笑って「さっきも聞いたからもう言わなくてもいいよ。フェルのその笑顔が見れたし、フェルにキスしてもらったしな。」と笑っていた。

「(そういえば僕のファーストキスはタジェット兄様だったけど、自分からキスしたのはカラマス君が初めてだ…。)」

そう思うとなんだか恥ずかしくなってきて、僕は思わず少し赤くなった頰を両手で隠すと笑って誤魔化した。
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