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第1章

35. 問題解決?

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僕は廊下に出た瞬間、

「(あー!!ムカつくー!!何なんだよ!僕、悪くないのに!プレス様があんな嫌なヤツだと思わなかった!それに取り入るって何!?そんなの興味ないから!僕はBLウォッチングが出来たらいいんだから!あー!腹立つ!せっかくカラマス君と仲良くなれたのにもう会えないのかな…?明日、カラマス君に事情を説明して帰らないと…。)」

僕は再び部屋に戻ってくるとベッドで眠っているカラマス君を見つめた。

「(ゴメンね…君は悪くないのに…。)」

そう思いながら頭を撫でた。





次の日、僕はカラマス君より先に目が覚めた。案の定、目覚めは最悪だった…。

時刻を見ると午前7時。丁度いい時間だったので、カラマス君を起こすことにする。

「カラマス君、朝だよ、起きて。」

と肩を揺する。

「んっ…フェル…?…おはよう。」

カラマス君はうっすらと目を開けて微笑みながら身体を起こした。

すると僕の頭を撫で「昨日はよく眠れたか…?」と気遣ってくれた。

正直、プレス様のことがあってモヤモヤしていたが

「うん、ぐっすり眠れたよ、ありがとう。でもゴメンね。ちょっと眠るつもりがあんな本格的に寝ちゃうとは思わなかったんだ。」

と謝った。

「いいよ、長旅で疲れたんだろ?気にするな。」

「(カラマス君はこんな良い子なのにプレス様は何であんなに意地悪なんだろ…?)」

僕が不機嫌そうな顔をしていたからか、

「フェル?まだ眠いのか?寝足りないならまだ寝ててもいいんだぞ?それに、もし婚約したらこうやって可愛いフェルに起こしてもらえるんだな…。」

とカラマス君は少し照れたように言ってくる。

僕はなんて答えたらいいかわからなかったので、笑って誤魔化しておいた。






僕はカラマス君の案内で朝食の部屋へと向かう。

部屋に入るとアミリス様の他に知らない男性が椅子に座っており、エリーは扉のところに控えていた。

「(良かった…プレス様は居ない…。)」

僕がホッとしていると、

「フェンネル君、カラマス、おはよう。さぁ座って。」

と知らない男性に席を促された。

僕達が席へと座ると、

「初めましてだな、フェンネル。俺はリーフ・セイボリー。アミリスとカラマスの父親だ。昨日は遠いところ、ご苦労だったな。」

と声を掛けられた。

「(おぉ~!この人はワイルドな感じだな。座ってるから身長はわからないけど、この体格だったら結構高いよね。黒の短髪に緑目。どことなくプレス様に似てる…。やっぱり親子だな。カラマス君もお父さんの血を濃く受け継いでるんだ…。)
おはようございます、初めまして。挨拶が遅れて申し訳ございません。フェンネル・ローランドです。昨日はせっかく場を設けて頂いたのに行けなくてすみませんでした…。」

「大丈夫ですよ、フェンネル君。君はまだ子供なんですから休める時に休んだらいいんです。その分、今日がありますし…生憎、私は学校でやり残したことがありますのでこの場にはおれませんが、父とカラマスがいるので大丈夫でしょう。」

アミリス様も優しい言葉を掛けてくれた。

「じゃあ早速、朝食を食べるか。朝食後に少し休憩したら昨日の部屋に来ればいい。」

そうリーフ様は言って皆で朝食を食べた。



その後、昨日の部屋に集まり婚約話をすることになった。

「フェンネル、婚約の話なんだが進めてもいいのか?」

そうリーフ様が心配そうに聞いてくる。

「君はまだ若い、というか子供だ。それがこんな年齢で婚約するのは早いと俺は思っている。しかし、カラマスはどうしてもと言うし、君もそんな気持ちならこのまま進めるつもりだが、今どう思ってるか聞かせてくれないか。」

リーフ様はやはりこの年齢での婚約は早いと思っているようだ。

「実は…昨日の夜、プレス様とお話しました。」

「えっ!?フェル、お爺様と会ったのか!?」

とカラマス君は驚いていた。

「うん、黙っていてゴメンね、カラマス君…。それで、僕とカラマス君の婚約は認められないとハッキリと言われました。それに僕は元々この婚約のお話を断りに来たんです。先ほどリーフ様が仰ったように僕はまだ子供です。これから色んな出会いがあると思います。なので、その出会いを大切にしたいのです。だからここで婚約するわけにはいきません。本当に申し訳ないのですが、この婚約の話はなかったことにしていただけませんか?」

と僕は思っていたことを口にした。

「そんな…俺は嫌だ!フェルと結婚したい!」

とカラマス君がそう叫ぶ。

「カラマス君、僕達はまだまだこれから沢山の出会いがあるんだよ…?だから今ここで婚約してしまったら勿体無いよ?」

僕は説得するように話し掛けた。

「フェル…なんでそんなこと言うんだよ…?フェルは俺の初恋なんだ。」

カラマス君は今にも泣き出しそうだ。その姿が痛々しくて思わず近付き、抱き締める。カラマス君は僕の肩に目元を乗せ、抱き着いてくる。僕はカラマス君の背中を赤ちゃんをあやすように撫でた。

その姿を見ていたリーフ様は「カラマスのそんな姿、初めて見たよ。」と驚いている。

「(えっ?そうなの?僕と初めて会った時からこんな感じでしたけど!?)」

僕はカラマス君に抱き締められたままリーフ様を見た。

「カラマスはアミリスとは年の離れた子供だったせいか周りから甘やかされて育ったと思う。父親の俺が言うのも何だけど、かなりワガママだ。それにこんな弱いところも他人に見せるようなヤツじゃない。それが一時(いっとき)を共にしただけの人間にそこまで心を許すとは驚きだ。」

僕はカラマス君の首筋を眺めながら

「…カラマス君、泣かないで。僕達、今婚約しなくてもその内、縁があったらまたそういう話が出てくると思うよ?」

「…泣いてない。フェルが離れていくと思うと悲しいだけだ。」

「離れていかないよ。大切な友達だもん。」

僕がそう告げると、

「…友達か…。まぁ今はそういうことにしとくか。」

カラマス君はそう言うと僕の肩口から顔を上げ、こちらを見つめた。

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