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第1章
23. 幼馴染カップル
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次の日、登校した僕はどのタイミングで副会長に言うべきか迷っていた。
朝イチで言った場合、副会長のダメージが大きいと思い放課後、生徒会室に出向いて返事をすることにした。
授業中、どんな風に言っても副会長が泣く想像しか出来なかったので殆ど授業に集中できず、きっと側から見たら表情が明るくなったり暗くなったりで挙動不審だったと思う。
しかし、お昼を過ぎた辺りから副会長への言い方は変に繕うのはやめて素直に言うのが1番だと思うことにした…というか、放棄した。
放課後、僕は意を決して生徒会室の扉をノックする。
すると中から「はい、どうぞ。」と声が聞こえた。
「(あれ?副会長の声じゃない気が…?)」
と思いながらも中に入った。
やはり副会長ではなく、入学式の進行をしていた会長だった。
「君がフェンネル・ローランド君?」
「はい、そうです。副会長様はいらっしゃいますか?」
「…居るのはいるんだけど…君の返事が聞きたくないって落ち込んでるんだ…。隣の部屋…覗いてみる?」
と言い、隣の部屋まで案内してくれた。
扉をそっと開けると…
「グズッ…ズッ……。」
そう鼻をすする音が聞こえ、僕は静かに扉を閉める。
そのまま会長の顔を見ると、苦笑いされた。
「(え~!僕まだ何も言ってないのに泣いてるじゃん!!余計断り辛いよ~。)」
僕がどうしようか困っていると、会長がソファーへと促してくれた。ソファーに腰掛け、この後のことを考えていると会長がなんとも言えない雰囲気の中、声を掛けてきた。
「なんか、ゴメンね。あんなとこ見せちゃって。ヘムロックとは幼馴染なんだ。だから正直、あいつがあんなに落ち込んでるのを見て俺も驚いてるとこ。
まだ返事を貰ってないのに「断られる」って言って、あんな風になっちゃってるんだ…。あいつにお兄ちゃんがいるのは知ってる?あいつのお兄ちゃんがタジェット様に付いてからあいつは余計、自分が将来仕えるであろう人を夢見出したんだ。自分は水だったからロザリーナ様やディル様には付けず、もう半分諦め掛けたところにフェンネル君が生まれて、さらに水の能力者って分かった時は泣いて喜んでたよ。俺も泣く程か?って思ったんだけど、あいつにとってはそれが生きる理由みたいに取っちゃってて…。フェンネル君にとっては大したことないかもしれないけど、あいつにとっては大きい事だから…まぁここで別に嚇そうと思ってるわけじゃないんだけど、幼馴染としてあいつの力にはなってあげたくて。」
と説明された。
僕はその話を聞いて余計、断り辛くなってしまう。
「…そうなんですね。僕、今日はお断りの返事をしようと思ってきたんです。僕はまだそんな仕えて頂ける立場ではありませんし、もう少し先でもいいかな、って思ってたので…。」
僕はおずおずと答えた。
「そっか…。それなら仕方ないね。あいつにもそう言ってあげて。変に誤魔化される方が嫌だろうし。」
会長はそう言って、隣の部屋に副会長を呼びに行った。
僕は不謹慎にも「幼馴染カップル最高!!」と思っていた。
少しすると、隣の部屋から会長に手を引かれ、泣き腫らした目をした副会長が出てきた。
「ほらっ!ちゃんと挨拶しないと!」
と会長が急かしている。
「グズッ…フェン…ネル様。ズッ…お見苦しい所を…ズズッ…申し訳…ございません…。」
と泣きながら言われる。
その間にも僕は会長と副会長の繋がれた手に釘付けだ。
「いや!全然大丈夫です!むしろ…なんかごめんなさい。僕の返事でそこまで悩ませてしまって…。あの…少しお話いいですか?」
僕は会長と副会長にソファーに座ってもらい、紅茶の準備をした。
「あの…早速なんですが、昨日のお話の返事をしに来ました。副会長様の申し出はとてもありがたいのですが、今すぐ仕えて頂くには僕自身そんな立場ではないと思ってます。なので、今すぐは無理でも後々、仕えて頂くことは出来ませんか?」
僕は用意していた返事を副会長に伝えた。それを聞いた副会長は更に泣き出してしまう。それも会長に抱き着いて…。
「(ありがとうございまーす!!)」
僕はその光景を目に焼き付けた。
会長も副会長を宥めるように背中をポンポンしてあげたり、目尻を拭ってあげたりしている。
「(目の前でイケメンと美人がイチャイチャしてるー!わぁー!眼福だー!)」
と僕のテンションはだだ上がりだ。
しかし、この場をなんとかしなければいけないので2人に声を掛ける。
「あの…副会長様…?この返事ではダメですか…?」
「グズッ…すみません…ずっと夢見ていたことだったので…早くフェンネル様に仕えたい一心であんな行動に…。ご迷惑お掛けしました。」と謝られる。
「いえ…納得はして頂けましたか?」
「はい…誠に残念ですが、フェンネル様が私を必要としてくれるまでお待ちしております…。」
と最後は少し笑顔を見せてくれた。
僕は副会長を泣かせてしまったことは後悔したが、新たに素敵なカップルを見つけれたことに満足する。
朝イチで言った場合、副会長のダメージが大きいと思い放課後、生徒会室に出向いて返事をすることにした。
授業中、どんな風に言っても副会長が泣く想像しか出来なかったので殆ど授業に集中できず、きっと側から見たら表情が明るくなったり暗くなったりで挙動不審だったと思う。
しかし、お昼を過ぎた辺りから副会長への言い方は変に繕うのはやめて素直に言うのが1番だと思うことにした…というか、放棄した。
放課後、僕は意を決して生徒会室の扉をノックする。
すると中から「はい、どうぞ。」と声が聞こえた。
「(あれ?副会長の声じゃない気が…?)」
と思いながらも中に入った。
やはり副会長ではなく、入学式の進行をしていた会長だった。
「君がフェンネル・ローランド君?」
「はい、そうです。副会長様はいらっしゃいますか?」
「…居るのはいるんだけど…君の返事が聞きたくないって落ち込んでるんだ…。隣の部屋…覗いてみる?」
と言い、隣の部屋まで案内してくれた。
扉をそっと開けると…
「グズッ…ズッ……。」
そう鼻をすする音が聞こえ、僕は静かに扉を閉める。
そのまま会長の顔を見ると、苦笑いされた。
「(え~!僕まだ何も言ってないのに泣いてるじゃん!!余計断り辛いよ~。)」
僕がどうしようか困っていると、会長がソファーへと促してくれた。ソファーに腰掛け、この後のことを考えていると会長がなんとも言えない雰囲気の中、声を掛けてきた。
「なんか、ゴメンね。あんなとこ見せちゃって。ヘムロックとは幼馴染なんだ。だから正直、あいつがあんなに落ち込んでるのを見て俺も驚いてるとこ。
まだ返事を貰ってないのに「断られる」って言って、あんな風になっちゃってるんだ…。あいつにお兄ちゃんがいるのは知ってる?あいつのお兄ちゃんがタジェット様に付いてからあいつは余計、自分が将来仕えるであろう人を夢見出したんだ。自分は水だったからロザリーナ様やディル様には付けず、もう半分諦め掛けたところにフェンネル君が生まれて、さらに水の能力者って分かった時は泣いて喜んでたよ。俺も泣く程か?って思ったんだけど、あいつにとってはそれが生きる理由みたいに取っちゃってて…。フェンネル君にとっては大したことないかもしれないけど、あいつにとっては大きい事だから…まぁここで別に嚇そうと思ってるわけじゃないんだけど、幼馴染としてあいつの力にはなってあげたくて。」
と説明された。
僕はその話を聞いて余計、断り辛くなってしまう。
「…そうなんですね。僕、今日はお断りの返事をしようと思ってきたんです。僕はまだそんな仕えて頂ける立場ではありませんし、もう少し先でもいいかな、って思ってたので…。」
僕はおずおずと答えた。
「そっか…。それなら仕方ないね。あいつにもそう言ってあげて。変に誤魔化される方が嫌だろうし。」
会長はそう言って、隣の部屋に副会長を呼びに行った。
僕は不謹慎にも「幼馴染カップル最高!!」と思っていた。
少しすると、隣の部屋から会長に手を引かれ、泣き腫らした目をした副会長が出てきた。
「ほらっ!ちゃんと挨拶しないと!」
と会長が急かしている。
「グズッ…フェン…ネル様。ズッ…お見苦しい所を…ズズッ…申し訳…ございません…。」
と泣きながら言われる。
その間にも僕は会長と副会長の繋がれた手に釘付けだ。
「いや!全然大丈夫です!むしろ…なんかごめんなさい。僕の返事でそこまで悩ませてしまって…。あの…少しお話いいですか?」
僕は会長と副会長にソファーに座ってもらい、紅茶の準備をした。
「あの…早速なんですが、昨日のお話の返事をしに来ました。副会長様の申し出はとてもありがたいのですが、今すぐ仕えて頂くには僕自身そんな立場ではないと思ってます。なので、今すぐは無理でも後々、仕えて頂くことは出来ませんか?」
僕は用意していた返事を副会長に伝えた。それを聞いた副会長は更に泣き出してしまう。それも会長に抱き着いて…。
「(ありがとうございまーす!!)」
僕はその光景を目に焼き付けた。
会長も副会長を宥めるように背中をポンポンしてあげたり、目尻を拭ってあげたりしている。
「(目の前でイケメンと美人がイチャイチャしてるー!わぁー!眼福だー!)」
と僕のテンションはだだ上がりだ。
しかし、この場をなんとかしなければいけないので2人に声を掛ける。
「あの…副会長様…?この返事ではダメですか…?」
「グズッ…すみません…ずっと夢見ていたことだったので…早くフェンネル様に仕えたい一心であんな行動に…。ご迷惑お掛けしました。」と謝られる。
「いえ…納得はして頂けましたか?」
「はい…誠に残念ですが、フェンネル様が私を必要としてくれるまでお待ちしております…。」
と最後は少し笑顔を見せてくれた。
僕は副会長を泣かせてしまったことは後悔したが、新たに素敵なカップルを見つけれたことに満足する。
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