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第1章
15. ヤキモチ
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「フェル、お待たせ。さっきはゴメンね。」
兄様は普段通りに戻っていた。
「ううん!全然待ってないよ!さぁ帰ろ。」
僕はそう言って兄様の手を繋いだ。これだけで兄様の機嫌は急上昇になる。
「(兄様…単純過ぎるよ…。でもヤキモチ妬かれるってそれだけ僕のこと好きだからだもんね。ありがたいと思わないと。)」
そのまま行きで乗ってきた馬車に乗り込み、僕は今日あった出来事を兄様に話した。
最初は理事長室に入って緊張したとか自己紹介をしたとかで特に兄様の逆鱗に触れる事はなかったけど後半、雲行きが怪しくなってきた…。
それは僕の一言から始まる。
「あのね、兄様!クラスで仲良い子が出来たんだ!」
僕は話に夢中でまだ兄様の表情の変化に気付いていない。
「…あの熊の獣人の子かい?」
「ううん!獣人の子はアニスって言うんだけど、入学式の時から喋ってなくて、帰りに兄様を待ってる時に話し掛けられたんだ。」
「…うん…どんな子だった?」
「赤髪の茶色の目の女の子で名前はランタナって言うの!」
僕がテンションを上げながら言うと、兄様は「…へぇー…女の子かぁ…じゃあ今度挨拶(牽制)に行かなくちゃね…。」と、変なことを言ったのでやっと僕は気が付いた。
「(うわぁ~…言葉のチョイス間違っちゃったかな…割と普通な流れだったけど、これはダメなやつなのか~…。)」
「フェルはその子のこと、どう思ってるの?好きになった?父様と母様も魔術学校で出会って恋愛結婚したんだもんね…フェルだって有り得るか…。」
と、ドンドン話が進んでたので不味いと思い、
「兄様、その子はエリーの娘なの!エリーが僕が学院生活大変だから子供に声掛けてあげて、って言って気遣ってくれただけだから!」と僕は必死に兄様に弁解する。
「…エリーの?初耳だ。」
と兄様はキョトンとした顔をした。
「僕だって、初耳だったよ。だから、別に好きとかそんなんじゃないからね!」
僕は兄様の手をギュッと握り、訴えかけたおかげで誤解は解けたようだった。
「(なんとか助かった…僕がここで、僕には兄様がいるから、とか言ったらそれこそすぐ機嫌が直るんだけど、あまりにも期待させることを言うのは僕の良心が痛むから言えないや…。勿論今の所、兄様が一番だけどまだこれからどうなるか分からないから下手な事言えないし…。)」
と僕がそう考え込んでいると
「そっか、エリーの娘だったか。なら特に心配する必要はないか…いや、でも挨拶(牽制)くらいは…。」
「だっ大丈夫!何に心配してるかわからないけど、心配ご無用だよ!
(ホントはだいたいわかってるけど…。)」
「そう?フェルがそう言うならいいけど。それよりフェル、コッチにおいで。今日は疲れたでしょ、私が抱っこしてあげる。」
と笑顔で手を広げてくる。
「(いや、別に疲れてない…。それに抱っこしたいのは兄様でしょ…。)
う…うん、ありがとう兄様…僕…疲れちゃったな~…。」
と僕はあからさまな棒読みのセリフを言って兄様に抱き着いた。兄様は僕のこの棒読みのセリフを気付いているのか気付いてないのかわからないが、僕を抱き締めて「フェル、寂しかった~。」と言ってくる。
「(兄様…1時間くらいしか離れてないけど…。)」
僕は将来、兄様が僕と離れることになった時を想像して恐ろしくなった。
「(日に日に兄様の愛情が重くなっているけど、まだ僕の中で許容範囲だから大丈夫。これが監禁までいったら要注意だけど、まだヤキモチくらいなら可愛いもんだよね。僕は結構、好きでヤンデレ物の小説を読んでたんだけど、いつも思ってたことがある。中には良い感じで話しが終わるものもあったけど、監禁→陵辱ってパターンが多かったんだよね。
"受けよ、なんでもっと上手く立ち振る舞わないのか!"
って思ってた。明らかに攻めは何度か信号出してるのに、全然気付かないんだもん。まぁこれは僕が腐男子で、そういうの見慣れてるし男→男っていう関係もアリだと思ってるからかもしれない。受けは基本、男から好かれるっていうことを考えてないから最終的に攻めが爆発して監禁みたいなことになるんだよね。やっぱりごく普通の人は同性から好かれるって無しなのかなぁ?僕は完璧に腐に染まってるからそれもアリだって受け入れちゃうけど…。いや、たしかに自分自身が生理的に受け付けない人に告白されたら無理か…。やっぱりそういうのはイケメンに限る。僕が見てきた小説って挿絵も全部イケメンで揃えられてるから脳内も良しとしてたけど、現実問題どうしても見た目とか受け入れられなかったら同性だけじゃなく異性も無理だもんね。さっきの言葉は訂正した方がいいかな…でもさぁ、考え様によったらそこまで愛されるって凄いことだよね!?愛、故の行動だけど上手くやれば絶対相手は浮気しないし自分だけ愛してくれるんだから。そりゃあ元の世界なら孫は親に見せてあげられないけど、僕だったら上手く立ち振る舞うのに、とかずっと思ってた。だから今回は上手く立ち振る舞って、将来兄様と結ばれたら監禁→陵辱ルートは回避しなくっちゃ!)」
兄様は普段通りに戻っていた。
「ううん!全然待ってないよ!さぁ帰ろ。」
僕はそう言って兄様の手を繋いだ。これだけで兄様の機嫌は急上昇になる。
「(兄様…単純過ぎるよ…。でもヤキモチ妬かれるってそれだけ僕のこと好きだからだもんね。ありがたいと思わないと。)」
そのまま行きで乗ってきた馬車に乗り込み、僕は今日あった出来事を兄様に話した。
最初は理事長室に入って緊張したとか自己紹介をしたとかで特に兄様の逆鱗に触れる事はなかったけど後半、雲行きが怪しくなってきた…。
それは僕の一言から始まる。
「あのね、兄様!クラスで仲良い子が出来たんだ!」
僕は話に夢中でまだ兄様の表情の変化に気付いていない。
「…あの熊の獣人の子かい?」
「ううん!獣人の子はアニスって言うんだけど、入学式の時から喋ってなくて、帰りに兄様を待ってる時に話し掛けられたんだ。」
「…うん…どんな子だった?」
「赤髪の茶色の目の女の子で名前はランタナって言うの!」
僕がテンションを上げながら言うと、兄様は「…へぇー…女の子かぁ…じゃあ今度挨拶(牽制)に行かなくちゃね…。」と、変なことを言ったのでやっと僕は気が付いた。
「(うわぁ~…言葉のチョイス間違っちゃったかな…割と普通な流れだったけど、これはダメなやつなのか~…。)」
「フェルはその子のこと、どう思ってるの?好きになった?父様と母様も魔術学校で出会って恋愛結婚したんだもんね…フェルだって有り得るか…。」
と、ドンドン話が進んでたので不味いと思い、
「兄様、その子はエリーの娘なの!エリーが僕が学院生活大変だから子供に声掛けてあげて、って言って気遣ってくれただけだから!」と僕は必死に兄様に弁解する。
「…エリーの?初耳だ。」
と兄様はキョトンとした顔をした。
「僕だって、初耳だったよ。だから、別に好きとかそんなんじゃないからね!」
僕は兄様の手をギュッと握り、訴えかけたおかげで誤解は解けたようだった。
「(なんとか助かった…僕がここで、僕には兄様がいるから、とか言ったらそれこそすぐ機嫌が直るんだけど、あまりにも期待させることを言うのは僕の良心が痛むから言えないや…。勿論今の所、兄様が一番だけどまだこれからどうなるか分からないから下手な事言えないし…。)」
と僕がそう考え込んでいると
「そっか、エリーの娘だったか。なら特に心配する必要はないか…いや、でも挨拶(牽制)くらいは…。」
「だっ大丈夫!何に心配してるかわからないけど、心配ご無用だよ!
(ホントはだいたいわかってるけど…。)」
「そう?フェルがそう言うならいいけど。それよりフェル、コッチにおいで。今日は疲れたでしょ、私が抱っこしてあげる。」
と笑顔で手を広げてくる。
「(いや、別に疲れてない…。それに抱っこしたいのは兄様でしょ…。)
う…うん、ありがとう兄様…僕…疲れちゃったな~…。」
と僕はあからさまな棒読みのセリフを言って兄様に抱き着いた。兄様は僕のこの棒読みのセリフを気付いているのか気付いてないのかわからないが、僕を抱き締めて「フェル、寂しかった~。」と言ってくる。
「(兄様…1時間くらいしか離れてないけど…。)」
僕は将来、兄様が僕と離れることになった時を想像して恐ろしくなった。
「(日に日に兄様の愛情が重くなっているけど、まだ僕の中で許容範囲だから大丈夫。これが監禁までいったら要注意だけど、まだヤキモチくらいなら可愛いもんだよね。僕は結構、好きでヤンデレ物の小説を読んでたんだけど、いつも思ってたことがある。中には良い感じで話しが終わるものもあったけど、監禁→陵辱ってパターンが多かったんだよね。
"受けよ、なんでもっと上手く立ち振る舞わないのか!"
って思ってた。明らかに攻めは何度か信号出してるのに、全然気付かないんだもん。まぁこれは僕が腐男子で、そういうの見慣れてるし男→男っていう関係もアリだと思ってるからかもしれない。受けは基本、男から好かれるっていうことを考えてないから最終的に攻めが爆発して監禁みたいなことになるんだよね。やっぱりごく普通の人は同性から好かれるって無しなのかなぁ?僕は完璧に腐に染まってるからそれもアリだって受け入れちゃうけど…。いや、たしかに自分自身が生理的に受け付けない人に告白されたら無理か…。やっぱりそういうのはイケメンに限る。僕が見てきた小説って挿絵も全部イケメンで揃えられてるから脳内も良しとしてたけど、現実問題どうしても見た目とか受け入れられなかったら同性だけじゃなく異性も無理だもんね。さっきの言葉は訂正した方がいいかな…でもさぁ、考え様によったらそこまで愛されるって凄いことだよね!?愛、故の行動だけど上手くやれば絶対相手は浮気しないし自分だけ愛してくれるんだから。そりゃあ元の世界なら孫は親に見せてあげられないけど、僕だったら上手く立ち振る舞うのに、とかずっと思ってた。だから今回は上手く立ち振る舞って、将来兄様と結ばれたら監禁→陵辱ルートは回避しなくっちゃ!)」
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