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番外編【ディル編】
7. 王妃生活4
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「おい!お前達、王妃様を探せ!」
「「「はっ!」」」
そう言って従者達がバタバタと私を探し回っている。私は其れらから逃げる為、廊下に飾られた植物に身を隠しながら外に出る機会を窺っていた。
よし…!これで…!
私は従者達がいなくなるその時まで、その体勢のまま何故こんなことになってしまったのか考えを巡らせていた。
その事件は数ヶ月前に遡る。
私の大事な弟フェルからタジェット兄様との子供を出産したので是非遊びに来て欲しいという手紙が届いた。私は歓喜しその手紙を手にファーの元へ走った。
「ファー!フェルが子供を出産したって!是非、会いに行こう!」
笑顔で執務室に飛び込むとファーは渋い顔をしながら溜息を吐いた。
「ディル…走ってはいけないと前々から言っているだろう?それに愛しい君の頼みでも許可できないよ。」
「なんで⁉︎」
私の発言にファーは呆れた顔をしつつ僕のお腹を指差した。
「なんで…?自分の身体を見てみなよ。」
そう言われ自分の身体を見下ろすといつもよりはるかに大きくなったお腹とぺたんこの靴。
「…。」
実は今、私はファーとの2人目の子供を妊娠している。彼はそれを懸念しているのだ。
それは分かる、分かるけども…!
「でも…もう安定期に入ったし…大丈夫だと思うんだけど…。」
「いや、ダメだ。フェルのところに行きたいのは分かるが彼の居る街までどんなに早くても馬車で1日かかるんだぞ。その間に何かあったらどうするんだ。」
確かに彼の言う事ももっともなのだが、1人目を産んだ時もなんだかんだ理由をつけられ帰省できなかったのを私は未だに根に持っている。
「…うん、そうだね。」
口ではそう返事をしたが、モヤモヤが一向に晴れない私は静かにファーの部屋を後にするといつか実行する脱走計画の為に策を練るのだった。
計画実行日、この日ファーは隣国に外交に行っており不在である。私はあえてこの日を選んだ。
ファーやこの子には悪いが、どうしてもフェルの元へ行きたい。生まれるまで我慢すればいいだけの話だが、きっとファーのことだ、また何かと理由を付けて私を祖国に帰らせないつもりだろう。
私はもう10年近く国に帰っていない。1人目の時、産んで暫く経った頃、両親に息子を見せたいから祖国に一時的に戻らせてほしいと頼んだことがある。しかし、ファーは首を縦に振らなかった。何故なら彼は私が一度、国に戻ったらもう戻って来ないと思っているらしい。そんなの私の愛を疑っているのか⁉︎と問い質したいところなのだが、彼は今でも無理に私を自分の妃にしたのだと思っている。いくら私が違うと否定しても彼の奥底にある澱みはそう簡単には拭えないのだろう。
勿論、両親やフェルをこちらの国に呼んだことはある。しかし、その時はタイミング悪くフェルも両親も成人の儀や結婚式でバタバタしており現実的に難しかった。じゃあ違う年に呼べばと思うかもしれないが、その際はこちらの治安の問題で無理となりズルズルと先延ばしになってしまったのだ。
私は今も変わらず彼のことは愛している。しかし祖国に戻れない、フェルに会えないということだけは避けたい。未だに私はフェルのことも愛している、ファーの次に。
私はお腹を摩りながら「(一緒に頑張ろうね。)」と呟いた。
「「「はっ!」」」
そう言って従者達がバタバタと私を探し回っている。私は其れらから逃げる為、廊下に飾られた植物に身を隠しながら外に出る機会を窺っていた。
よし…!これで…!
私は従者達がいなくなるその時まで、その体勢のまま何故こんなことになってしまったのか考えを巡らせていた。
その事件は数ヶ月前に遡る。
私の大事な弟フェルからタジェット兄様との子供を出産したので是非遊びに来て欲しいという手紙が届いた。私は歓喜しその手紙を手にファーの元へ走った。
「ファー!フェルが子供を出産したって!是非、会いに行こう!」
笑顔で執務室に飛び込むとファーは渋い顔をしながら溜息を吐いた。
「ディル…走ってはいけないと前々から言っているだろう?それに愛しい君の頼みでも許可できないよ。」
「なんで⁉︎」
私の発言にファーは呆れた顔をしつつ僕のお腹を指差した。
「なんで…?自分の身体を見てみなよ。」
そう言われ自分の身体を見下ろすといつもよりはるかに大きくなったお腹とぺたんこの靴。
「…。」
実は今、私はファーとの2人目の子供を妊娠している。彼はそれを懸念しているのだ。
それは分かる、分かるけども…!
「でも…もう安定期に入ったし…大丈夫だと思うんだけど…。」
「いや、ダメだ。フェルのところに行きたいのは分かるが彼の居る街までどんなに早くても馬車で1日かかるんだぞ。その間に何かあったらどうするんだ。」
確かに彼の言う事ももっともなのだが、1人目を産んだ時もなんだかんだ理由をつけられ帰省できなかったのを私は未だに根に持っている。
「…うん、そうだね。」
口ではそう返事をしたが、モヤモヤが一向に晴れない私は静かにファーの部屋を後にするといつか実行する脱走計画の為に策を練るのだった。
計画実行日、この日ファーは隣国に外交に行っており不在である。私はあえてこの日を選んだ。
ファーやこの子には悪いが、どうしてもフェルの元へ行きたい。生まれるまで我慢すればいいだけの話だが、きっとファーのことだ、また何かと理由を付けて私を祖国に帰らせないつもりだろう。
私はもう10年近く国に帰っていない。1人目の時、産んで暫く経った頃、両親に息子を見せたいから祖国に一時的に戻らせてほしいと頼んだことがある。しかし、ファーは首を縦に振らなかった。何故なら彼は私が一度、国に戻ったらもう戻って来ないと思っているらしい。そんなの私の愛を疑っているのか⁉︎と問い質したいところなのだが、彼は今でも無理に私を自分の妃にしたのだと思っている。いくら私が違うと否定しても彼の奥底にある澱みはそう簡単には拭えないのだろう。
勿論、両親やフェルをこちらの国に呼んだことはある。しかし、その時はタイミング悪くフェルも両親も成人の儀や結婚式でバタバタしており現実的に難しかった。じゃあ違う年に呼べばと思うかもしれないが、その際はこちらの治安の問題で無理となりズルズルと先延ばしになってしまったのだ。
私は今も変わらず彼のことは愛している。しかし祖国に戻れない、フェルに会えないということだけは避けたい。未だに私はフェルのことも愛している、ファーの次に。
私はお腹を摩りながら「(一緒に頑張ろうね。)」と呟いた。
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