次期魔王の教育係に任命された

ミイ

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第1章

11. 名付け

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その晩、僕は赤ちゃんと二人きりになり、どうしたらいいか途方にくれていた。幸い赤ちゃんは物分りが良く、人間の赤ちゃんの様に泣き叫んだりはしない。僕がジッと考えてる横でタオルを噛みながら一人、遊んでくれている。

「(どうしよう…ミルクのこともあるけど名前…名前を考えないと…。)」

僕は別にセンスがいいわけではない。なので、名前もこれといって洒落たものが思いつかない。

「(でもコッチの世界だからカタカナがいいよなー…。)」

そこで思い付いたのは自分の腕に付いているパワーストーン。就職したばかりの頃、失敗続きで落ち込んでいた僕はなんとなく立ち寄ったショッピングモールでパワーストーンを売っているお店を見つけた。そこで店員さんに悩みを相談すると"モリオン"という石を勧められたのだ。モリオンは数ある石の中で最も強力な邪気払い、魔よけの石の一つとされ、あらゆるタイプのマイナスエネルギーから持ち主を強力に守ってくれる石だという。そのおかげかわからないが、そのモリオンを身に付ける様になってからあまり失敗しなくなり、自分にも自信がついた気がする。

ちょうどモリオンは真っ黒な石でもあるし、強力な邪気払いがあるというなら、この赤ちゃんを守ってくれるような気がして僕はこの子に"モリオン"という名前を付けようと決めた。

しかし…僕はモリオンをジッと見つめながら「(この子が次期魔王になるから邪気払いっていうのはなんか違う気もするけど…。)」という想いは拭えないこともない。だが、マイナスエネルギーから守ってくれるというならと結論付け、思ったまま実行することにした。

「ねぇ君の名前を決めたよ。君の名前は"モリオン"。きっと君のことを守ってくれるよ。」

僕は赤ちゃんを抱き上げるとそう伝える。

すると赤ちゃんは僕の言ったことが分かったのかニコッと笑い僕の頰をペチペチと叩いた。





その後、赤ちゃんを高い高いしたり揺り籠のように抱いたりしながら戯れると次の問題を思い出した。

食事である。

僕は笑顔の赤ちゃんを見ながら「(こんな幼気な子供に僕のアレなんて飲ませれない!)」と改めて感じる。

しかし、全くあげないという選択肢は僕には無い。このままではこの子を餓死させてしまう。僕は仕方なく片方の乳首が見えるようにシャツをはだけさせた。

「(そもそも僕は男だから母乳も出ないし胸も張ってない。こんな真っ平らな胸からどうやってミルク…魔力が出るんだろう…?)」

僕は半信半疑ながら赤ちゃんを縦抱きにすると胸に口を近付ける。

「(これがダメだったらアレ飲ませなきゃならないのか…。)」

そんなことを思ったその時、モリオンが勢いよく僕の乳首に吸い付いた。
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