次期魔王の教育係に任命された

ミイ

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第1章

10. 赤ちゃんの食事

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僕はその脚で魔王様の元へ赤ちゃんを連れて行く。

「魔王様、無事生まれました。」

そう言って横たわる魔王様に赤ちゃんを差し出すと
、もそもそと起き上がり赤ちゃんを抱き止める。やはり親なだけあって赤ちゃんを抱くことが出来るようだ。

「ああ…ようやく生まれたか…。この目でその愛らしい姿を見れないのは寂しいものだな。サトー、次期魔王はどんな姿だ?」

「黒目黒髪の可愛らしい顔立ちですよ。」

そう答えるとフッと笑う。

「そうか…黒で生まれたということは魔力も心配いらぬな。」

そう言いながら手探りで赤ちゃんの顔や頭を撫でていく。そして額に人差し指を指すとこちらではわからない呪文のようなものを唱えた。

「魔王様、今のは…?」

「今のは真名を名付けたのだ。今の言葉は魔王しか受け継がれぬ言葉、だから誰一人理解は出来ん。しかし、言葉として覚えられてしまったら縛られるからな。サトーもこの子の名をつけても良いぞ?」

魔王様に言われハッとする。昨日からつけてもいいと言われていたが、完璧に考えるのを忘れていた。

「…申し訳ありません。まだ思い付いていませんので今日中には決めさせていただきます。」

「ああ…息子に似合う良い名を付けてやってくれ。」




それから僕は赤ちゃんを抱いて自室に戻ってきた。部屋に入ると既に赤ちゃん用のベッドが用意されており、側にオムツの代わりとなる大量の布が置かれていた。

「(ベッドがあるけど添い寝しないといけないし、オムツは魔法でどうにかしないといけないんだよね…。)」

僕がそんなことを思っているとネフライトに声を掛けられる。

「ショウ様、あの…先に言っておかなければならないことがあるのですが…。」

「はい?」

何故だろう…ネフライトの顔が赤い。

「次期魔王様を育てるにあたって乳児期はミルクをあげるのですが…。」

「そうですね…?」

「そのミルクというのが精液なのですが、ご存知でしたか?」

「………⁉︎」

予期せぬ事実に言葉を失う。

「あっあの本当は緊急用ですが胸からミルクを与えるという方法もございますので、そちらをやって頂いても構いません。ミルクといっても魔力を吸われる形になります…。しかし胸からの供給は精液の半分以下の栄養しか与えられないので、長時間与えないと次期魔王様は満足しないかもしれません。ですから1番の栄養は魔力の高い者…教育者に選ばれた方からの精液なのです。」

ネフライトは顔を赤くしたまま目線を彷徨わせ必死に説明する。

「(えぇ…そんなもの与えて大丈夫なの…?)」

まず僕が思ったのはそんなことだ。人間の常識が通用しないのはなんとなく分かっていたが、この世界ではミルク代わりが精液なのかと疑ってしまう。しかしネフライトがそう言うのだからそうなのだろう。

「大丈夫でしょうか、ショウ様。」

ネフライトが不安げに僕を見つめてくるので僕の不安が伝わったのか赤ちゃんも心配そうにこちらを見つめてくる。

「あぅ~。」

「あぁ…ゴメンね、心配かけちゃって。なんとかするからね?」

僕は赤ちゃんを撫でながらあやす様に揺すった。
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