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第4章

113. 告白

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次の日になると安静にしていたこともあり、すぐに体調も良くなった。そしてその日の晩、僕の部屋にモリオンが訪ねて来る。

「ショウ…体調はもういいのか?」

当たり前のようにベッドサイドに腰掛けた彼を僕は未だにきちんと見れずにいた。

「うっうん…。」

彼の容姿は黒髪、黒眼くらいしか面影が残っておらず第三次性徴から見ていない自分からすれば初対面のようなものだ。僕は失礼とは思いながらもまだ幼さの残る青年時代の彼を思い浮かべ気付かれないようにそっと溜息を吐いた。そして覚悟を決め彼の方に向き直ると真剣な表情の彼と目が合う。思い返してみれば再会してから彼の笑顔を見ていない。

自分と会えて嬉しくはなかったのだろうか…?

そう思っていると彼が重い口を開く。

「ショウ…聞いてほしいことがある。俺は生まれてからずっとショウのことだけを愛している。」

「…ッ!!!」

「勿論、始めは親としてだけだったがショウが母親でないと知った時から徐々にその気持ちに変化が生まれていった。そしていつかはショウを妃として迎え入れることを目標に日々過ごすようになり第三次性徴を迎えたら、この気持ちを素直に伝えようと決めていた。だが…第二次性徴を迎えて暫く経った頃、ショウが城から居なくなったことで俺がどれだけ落ち込んだか分かるか?」

あっ…あの時…。

「これまで通りショウと過ごしていけると、そう信じて疑わなかった。だが、そんな俺の想いがショウを苦しめていたことに気がつかなかった…。」

そう言って彼が項垂れる。

「ちっ違う!そうじゃないんだ!僕が…弱いから。このままいけばモリオンも僕もお互いに依存しちゃうと思ったから逃げ出したんだ…。」

そうだ、あの時僕は逃げ出した。このままいけばモリオンは立派な魔王になれないと言い訳をして。

「…やっと戻ってきたと思えばそれは父様の為で…それもショウの片目を移植するなど…今思い返しても不快でしかない。」

彼は眉間に皺を寄せたまま呟く。

「…それからはショウも聞いての通り、お前を捜す日々だ。俺は絶対にまたお前と会えることだけを信じて今日まで頑張ってきた。こうやってショウが戻ってきてくれたこと…ショウも俺に会いたかったのだと自惚れてもいいのか?」

彼はこちらをジッと見つめながら僕の返事を待っている。

よしっ!ここで言わなきゃ帰ってきた意味がない!

「…その返事をする前に少し話をさせてね。最初にモリオンの教育係として選ばれた時は正直不安でしかなかった…でも今なら君の成長を見守ることが出来て本当に良かったと思う。ただ心残りもあるんだ、僕が弱いせいでモリオンの側にずっと居れなかったこと。ゴメンねモリオン、こんな弱い僕で。
…あの…その本当に僕でいいの?優柔不断だし、ここぞって時に逃げるし…。」

一番重要なところを確認しなければ。

「当たり前だ、もう100年以上待ったんだぞ。今更心変わりなどしない。」

「そっか…良かった。モリオン、僕も君のことが好きだよ。こんな僕で良かったら貰ってくれる?」

「ああ、勿論だ。」

モリオンはここで初めて笑顔になるとベッドに座る僕を抱き寄せた。

「ようやく俺のものになったな。」
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