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第4章
107. 突然
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すると彼は顔を歪ませ「ああ…もう何年になるか…先代魔王様がまだご健在の時に今の魔王様に代替わりなさった。代が変わり60年程はご健在だったはずだが、その後は老衰で亡くなったと聞いている。お前は見たところ魔族の様だが先代魔王様のことを知らないとは…。一体何処におったのだ?」と告げる。
まさか神様の処にいました、なんて言えない。それに角膜を移しただけじゃ100年と保たなかったのかと落胆する。
「そう…ですか…魔王様はお亡くなりになったんですね…ああ、最期に魔王様に会いたかったなぁ…。」
僕が急に涙目で言い出したので、その魔族は更に狼狽える。
「すみません…僕が何処にいたとかは言えません。しかし、僕の話を信じてはくれませんか?貴方からすれば僕が怪しいのは分かります、でも僕は嘘や虚言を吐いているわけではありません。僕の事を怪しいと思うのなら牢屋にでもなんでも幽閉して下さい。それからモリオンやネフライトにショウが帰ってきたと伝えてもらえませんか?」
僕は出来る限りの誠意を見せる為、昔モリオンから貰った黒いピアスの片方を差し出した。これはモリオンと別れる数年前の誕生日にモリオンから貰った大事なプレゼントだ。それから片時も肌身離さず身につけ、今となっては身体の一部のような存在になる程だ。
「これは僕の命の次に大切なものです。これを見せればきっと気付いてくれます。」
彼は僕の手からそれを受け取ると静かに「こちらへ来い。」と促す。地下に降りていく階段を歩きながら「やはり牢屋に入れられるんだろうな。」と思いながら進んでいく。しかし、彼はある部屋の扉の前で急に立ち止まると僕を振り返った。彼はその扉を開けると「…俺の部屋だ、取り敢えず此処にいろ。お前の処分はそれからだ。」と乱暴気味に告げ僕の手首を掴み部屋に引っ張り込んだ。僕はそのままベッドに放り投げられると起き上がるよりも前に「逃げようなんてするなよ。」と言われ扉を閉められて呆然としてしまう。
何故ここに…?
どれくらい経っただろう…。1時間?いや2~3時間は経っていそうだ。時計が無いから体感でしか分からないが、暇過ぎて若干ウトウトしてしまった。僕は手持ち無沙汰を誤魔化す様に彼の部屋を見て回る。と言っても4畳程のワンルームではベッドと本棚、チェストくらいしかない。せっかくなので本棚にある本をいくつか手に取ることにした。
まさか神様の処にいました、なんて言えない。それに角膜を移しただけじゃ100年と保たなかったのかと落胆する。
「そう…ですか…魔王様はお亡くなりになったんですね…ああ、最期に魔王様に会いたかったなぁ…。」
僕が急に涙目で言い出したので、その魔族は更に狼狽える。
「すみません…僕が何処にいたとかは言えません。しかし、僕の話を信じてはくれませんか?貴方からすれば僕が怪しいのは分かります、でも僕は嘘や虚言を吐いているわけではありません。僕の事を怪しいと思うのなら牢屋にでもなんでも幽閉して下さい。それからモリオンやネフライトにショウが帰ってきたと伝えてもらえませんか?」
僕は出来る限りの誠意を見せる為、昔モリオンから貰った黒いピアスの片方を差し出した。これはモリオンと別れる数年前の誕生日にモリオンから貰った大事なプレゼントだ。それから片時も肌身離さず身につけ、今となっては身体の一部のような存在になる程だ。
「これは僕の命の次に大切なものです。これを見せればきっと気付いてくれます。」
彼は僕の手からそれを受け取ると静かに「こちらへ来い。」と促す。地下に降りていく階段を歩きながら「やはり牢屋に入れられるんだろうな。」と思いながら進んでいく。しかし、彼はある部屋の扉の前で急に立ち止まると僕を振り返った。彼はその扉を開けると「…俺の部屋だ、取り敢えず此処にいろ。お前の処分はそれからだ。」と乱暴気味に告げ僕の手首を掴み部屋に引っ張り込んだ。僕はそのままベッドに放り投げられると起き上がるよりも前に「逃げようなんてするなよ。」と言われ扉を閉められて呆然としてしまう。
何故ここに…?
どれくらい経っただろう…。1時間?いや2~3時間は経っていそうだ。時計が無いから体感でしか分からないが、暇過ぎて若干ウトウトしてしまった。僕は手持ち無沙汰を誤魔化す様に彼の部屋を見て回る。と言っても4畳程のワンルームではベッドと本棚、チェストくらいしかない。せっかくなので本棚にある本をいくつか手に取ることにした。
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