次期魔王の教育係に任命された

ミイ

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第4章

104. 神様

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「やっほー!佐藤君、久しぶり!」

敬礼ポーズを取りながらやたらとテンションの高いこの人は15年前、僕にモリオンを育てるように頼んできた神様だ。

「神様…お久しぶりです。」

「あれあれ?佐藤君、どうしたの?そんな暗い顔して。教育係も終わってやっと解放されるのに。」

確かに僕もそのつもりではいたのだが今となっては後ろ髪が引かれる思いだ。

…モリオン、もう生命の樹木から出てきたのかな?

僕がソワソワとしながらいつ魔界に戻りたいと言うか躊躇っていると神様はパンッと手を叩いて「分かった!」と叫ぶ。

「彼に情が湧いちゃった?えーそうなんだ、どうしよう、君には子育てが終わったら人間界に行ってもらうつもりだったのに。」

神様は顎に手を当て少し悩まし気な顔をする。

「僕も元々そのつもりだったんですが、モリオンが僕のことを待っているので帰りたいんです。」

そう言うと先程の雰囲気から一変、神様は真剣な表情をした。

「彼が待ってる…か。佐藤君、君は彼が待ってるから帰りたいの?君の意思は?てっきり僕は自分の意思で戻りたいって言うと思ってたんだけど。この15年間、君の子育てを見せてもらったけど、君は周りに流されてなんでも物事を決めるね?」

「ちっ違います!僕は何も知らないから周りの意見を聞かないといけないと思って…!」

僕は必死に言い訳をする、だって事実なんだ。

「へぇ~そうやってなんにでも言い訳するんだ。」

「…ッ!!!」.

神様に呆れた表情をされ、いくら滅多に怒らない僕でも怒りが込み上げる。

なんでそんな言い方するんだ…!僕は神様に頼まれて子育てをやってきたのに!そもそもやり方が分からなくてもいいって言ったのは神様の方じゃないか!

僕が怒りで興奮していると、何故か生前の記憶を思い出した。僕が何年も片想いしていた彼からの言葉だ。

『なぁ翔、お前が人一倍優しいのは知ってるけど時には貪欲になるのも必要だぞ?』

『ああ、ほら又俺の意見に合わせて…!』

『俺はお前の味方だから。お前が嫌だと思うことは教えてくれな?』

そんな言葉ばかりが浮かぶ。

なっなんで今、この言葉が…?いや、この際だ。神様にこの15年間思っていた不満をぶちまけてやる!
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