103 / 122
第4章
103. 第三次性徴
しおりを挟む
それから数ヶ月が経ち、いよいよ第三次性徴期を迎えた。今回も第二次の時と同様、モリオンは生命の樹木の中にいる。
「これで僕の役目は終わりかぁ…。」
ぼんやりと樹木を見つめながら呟くとすぐ隣にいたネフライトに力強く抱き締められた。
「ショウ様…本当に離れてしまうのですね…。」
僕の肩に顔を埋め哀しそうにするネフライトを宥めてやりながらモリオンと仲違いしていた日々を思い出す。そして仲直りしたことも。
「前にも言ったけど、モリオンが成人したら僕は一度ここを離れるよ。戻って来れるか分からないけど希望としては戻りたいかな…。」
僕の呟きにネフライトは更にキツく僕を抱き締める「当たり前です!私はいつでも貴方の帰りを待っています。もし戻れないということになれば宰相という立場を捨ててでもショウ様に会いに行きます!」と大声で宣言した。
「ハハッ!僕ってそんなに愛されてるんだね。」
笑ってはいけないとは思いながらもそんなに想ってもらえることに笑みを浮かべる。そしてネフライトはそっと僕から距離を取ると隣に腰かけた。
「モリオン様は何か仰られていましたか?」
「うん…最初は戸惑っていたけど、僕にもどうなるか分からないって言ったら成人まで待ってくれるって言ってた、ホント渋々な感じだったけど。僕もね、一度モリオンから離れてみて彼の大切さにも気付けたしネフライトにもこんなにも気にかけて貰ってたんだって気付けたからそれは良かったかな…。でも色々と振り回しちゃったことは後悔してる…ネフライトごめんね。」
「いいえ、私はショウ様を愛しております。ですから貴方が考えて決めたことには反対致しません。しかし…あの時のことでモリオン様に一歩リードされているのは気に食わないですが…。」
隣で悔しそうに顔を歪ませるネフライトに苦笑する。
暫く、たわいも無い話をしているとほんのり生命の樹木が光り出した。いよいよモリオンの性徴期も大詰めだろう。
その時ー。
「ショウ様!身体が⁉︎」
自身の手元に目をやりながら、やっとこの15年が終えるのだと実感する。
「…もうすぐこの生活も終わるよ。今まで本当にありがとう。これまで沢山してもらったことは絶対忘れない。ネフライトも元気でね、モリオンや魔王様にも宜しく伝えて。」
「ショウ様⁉︎」
ネフライトが目を見開き、僕の身体を掴もうと必死に足掻く。しかし僕の身体は足元から段々と消えていき最期の消える瞬間、僕はモリオンの眠る生命の樹木を見つめながら消えていった。
「これで僕の役目は終わりかぁ…。」
ぼんやりと樹木を見つめながら呟くとすぐ隣にいたネフライトに力強く抱き締められた。
「ショウ様…本当に離れてしまうのですね…。」
僕の肩に顔を埋め哀しそうにするネフライトを宥めてやりながらモリオンと仲違いしていた日々を思い出す。そして仲直りしたことも。
「前にも言ったけど、モリオンが成人したら僕は一度ここを離れるよ。戻って来れるか分からないけど希望としては戻りたいかな…。」
僕の呟きにネフライトは更にキツく僕を抱き締める「当たり前です!私はいつでも貴方の帰りを待っています。もし戻れないということになれば宰相という立場を捨ててでもショウ様に会いに行きます!」と大声で宣言した。
「ハハッ!僕ってそんなに愛されてるんだね。」
笑ってはいけないとは思いながらもそんなに想ってもらえることに笑みを浮かべる。そしてネフライトはそっと僕から距離を取ると隣に腰かけた。
「モリオン様は何か仰られていましたか?」
「うん…最初は戸惑っていたけど、僕にもどうなるか分からないって言ったら成人まで待ってくれるって言ってた、ホント渋々な感じだったけど。僕もね、一度モリオンから離れてみて彼の大切さにも気付けたしネフライトにもこんなにも気にかけて貰ってたんだって気付けたからそれは良かったかな…。でも色々と振り回しちゃったことは後悔してる…ネフライトごめんね。」
「いいえ、私はショウ様を愛しております。ですから貴方が考えて決めたことには反対致しません。しかし…あの時のことでモリオン様に一歩リードされているのは気に食わないですが…。」
隣で悔しそうに顔を歪ませるネフライトに苦笑する。
暫く、たわいも無い話をしているとほんのり生命の樹木が光り出した。いよいよモリオンの性徴期も大詰めだろう。
その時ー。
「ショウ様!身体が⁉︎」
自身の手元に目をやりながら、やっとこの15年が終えるのだと実感する。
「…もうすぐこの生活も終わるよ。今まで本当にありがとう。これまで沢山してもらったことは絶対忘れない。ネフライトも元気でね、モリオンや魔王様にも宜しく伝えて。」
「ショウ様⁉︎」
ネフライトが目を見開き、僕の身体を掴もうと必死に足掻く。しかし僕の身体は足元から段々と消えていき最期の消える瞬間、僕はモリオンの眠る生命の樹木を見つめながら消えていった。
22
お気に入りに追加
1,515
あなたにおすすめの小説
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
異能バトル漫画にトリップ直後で黒幕と遭遇するとかふざけんな。~俺は意地でも平凡ライフを送ってやる~
Qoo
BL
上位トレンド入りを起こす程の人気バトル漫画≪異能大戦≫略してーイノセンー。名前の通り異能を持った人間達が何でも願いを叶えるという秘宝≪星屑の涙≫。その秘宝を求めた猛者達が繰り広げる異能バトル漫画にハマっていたこの物語の主人公である青年・目つきの悪い盆陣鵺楼(ぼんじんやろう)。彼は妹・盆陣織田姤(ぼんじんおたく)と共に平凡暮らしをしていたが白梟の仮面を被った謎の集団に襲撃される。深傷を負うもののなんとか妹だけを救出し仲間の1人に妹を託し盆陣は死を迎える筈だった。だが盆陣が意識を取り戻すとそこは見知らぬ薄暗い部屋のベッドの上だった。横から視線を感じた先には人間離れをした麗しい美貌を持つ男が優雅に足を組み座っていた。負傷した盆陣を治療しここまで連れてきたという全身が黒で統一していた怪しげな男。だが初対面であるその男に盆陣はどこか見覚えがあった。
「やぁ。お目覚めかい?怪我してる所悪いけれど少し僕とお話しようか?お兄さん?」
爽やかにそうに笑う彼の瞳は死んでいた。彼から感じていた違和感が解けた盆陣は絶望する。
(おいおい。………マジか。)
この男こそがかつて自身が読みあさっていた大人気少年漫画の主人公を散々苦しめた異能大戦略して≪イノセン≫に登場する黒幕・黒磯棗(くろいなつめ)であった。つまり盆陣はここでようやく自身が≪イノセン≫の世界に飛ばされたことを理解したのだった。そして厄介なことに今。凶悪な大量殺人鬼がトリップしたばかりの盆陣の目の前にいる。
(クソ面倒せぇ。)
トリップ直後でもう黒幕との接触。窮地に立たされた盆陣の運命はいかに!!
ーーただこの盆陣鵺楼という男には世間にもたった1人の家族である妹にも言えない秘密があった。その秘密とは?
サイコパス殺人鬼美青年(黒幕)×やる気なしの平凡?(非凡)青年。
異能バトルを舞台にした漫画の世界に飛ばされ盆陣は黒幕から逃げ切り、果たして平凡ライフを送ることができるのか。
そして現実世界で盆陣達を襲った集団の正体は!?
勇者の股間触ったらエライことになった
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。
町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。
オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
絶滅危惧種の俺様王子に婚約を突きつけられた小物ですが
古森きり
BL
前世、腐男子サラリーマンである俺、ホノカ・ルトソーは”女は王族だけ”という特殊な異世界『ゼブンス・デェ・フェ』に転生した。
女と結婚し、女と子どもを残せるのは伯爵家以上の男だけ。
平民と伯爵家以下の男は、同家格の男と結婚してうなじを噛まれた側が子宮を体内で生成して子どもを産むように進化する。
そんな常識を聞いた時は「は?」と宇宙猫になった。
いや、だって、そんなことある?
あぶれたモブの運命が過酷すぎん?
――言いたいことはたくさんあるが、どうせモブなので流れに身を任せようと思っていたところ王女殿下の誕生日お披露目パーティーで第二王子エルン殿下にキスされてしまい――!
BLoveさん、カクヨム、アルファポリス、小説家になろうに掲載。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
愛され副団長の愛欲性活
彩月野生
BL
マウウェル国の騎士団、副団長であるヴァレオは、自国の王と騎士団長、オーガの王に求婚されてしまう。
誰も選べないと話すも納得されず、3人が結託し、誰も選ばなくていい皆の嫁になれと迫られて渋々受け入れてしまう。
主人公 28歳
副団長
ヴァレオ
柔らかな栗毛に黒の目
騎士団長を支え、王を敬愛している。
真面目で騎士である事に誇りをもっているため、性には疎い。
騎士団長 35歳
エグバート
長い赤褐色の髪に緑の目。
豪快なセックスで言葉責め。
数多の男女を抱いてきたが、ヴァレオに夢中になる。
マウウェル国の王 43歳
アラスタス
長い金髪に青の目。紳士的だがねちっこいセックスで感想を言わせる。
妻がいるが、愛人を作ったため追い出した。
子供がおらずヴァレオに産ませようと目論む。
イール
オーガの若い王だが一番の巨漢。180歳
朱色の肌に黒髪。シャイで優しいが、甘えたがりで乳首を執拗に吸う。
(誤字脱字報告不要)
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる