次期魔王の教育係に任命された

ミイ

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第4章

100. 諭す

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「…ッ!どうかしたのか⁉︎」

僕の突然の行動に驚いた魔王様が声を上げる。

「うっ…うぅ…。」

唸りながら涙を流す僕にモリオンはスッと手を離すとそのまま無言で部屋を出て行った。キーッと音を立てて閉まるドアを見送った僕はその場にへたり込む。

「うぅ…ぐずっ…。」

モリオン…モリオン…なんであんな酷いことを…あんなに仲良い親子だったのに…!

僕は流れる涙を拭いながら自分の教育が悪かったのかと後悔する。

やっぱり僕が悪かったのかな…魔族じゃないこんな只の人間に子育てなんて出来なかったのかな…神様、ごめんなさい…僕は子育ての方法を間違えてしまいました…。

そう僕が後悔の念に囚われていると「サトー、こちらへ来てくれ。」と魔王様が優しい声色で告げる。魔王様の言葉に甘える側に寄ればギュッと抱きしめられた。

「何か嫌なことでも言われたのか?」

そう言って頭を撫でてくれる魔王様に先程のモリオンの言葉なんて言ってもいいのだろうか…。言うのに気が引ける…魔王様だって傷付くはずだ。

そのまま言うのを渋っていると「んっ?」と先を促され結局、先程のモリオンの発言を彼に伝えることになった。




「…とモリオンが…。」

「そうか…。」

ショックを受けているだろう魔王様の顔が見れない。僕は彼が何か言うまで黙って下を向いていたが、上の方から予想外の声が聞こえる。

「ハハッ!そうか、そうか。彼奴、我に嫉妬しよったな。」

「えっ?」

「サトー、我は気にしておらんぞ。彼奴はな、我を殺そうと思えばいつでも殺せる力をもう備えておる。先程の言葉は我に嫉妬した余りに言ってしまった言葉であろうて。」

「でも…!それでも言っていいことと悪いことがあります!」

「まぁそれはそうだ、しかしなサトー…彼奴の気持ちは分かってあげてくれ。彼奴がサトーに惚れておるのはもう分かっておるだろう?自分の気持ちを受け入れてもらえない悔しさと我がサトーの真名を知っているという事実に嫉妬しておるのだ。以前、申したであろう、相手に真名を教えるということはどういうことか。」

「はい…相手に真名を教えるということは相手を縛ることや生涯の伴侶にしか教えないほど、大切なものであると。」

「ああ、そうだ。だから彼奴はサトーが我に真名を教えても良い程惚れておると思っておるのだ。さぁサトー、彼奴の誤解を解いてあげてくれ。其方も彼奴も言葉が足りん、このままでは誤解ばかり生まれてしまうぞ、サトーいいのか?このまま彼奴を誤解させたままで。自身も素直になれ。」

そう言って魔王様は僕の背中を押した。
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