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第4章

91. 今後

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ネフライトの言葉に上手く言葉が出ない。

「そう…だね…。」

まさか、そんな大変なことになっていたなんて想像もしていなかった。そりゃあ始めはショックも大きいだろうとは思ってたけど、モリオンの感情が欠如するほど追い込まれてるとは思ってもみなかった。

僕はギュッと目を瞑り唇を噛み締める。

モリオン…次期魔王としての自覚を持ったんじゃないの…?こんなんじゃ僕が出て行った意味がなくなっちゃうよ…。僕は君にそんな風になって欲しくて出て行ったわけじゃない、荒療治なのは認める…でもこのままじゃダメなこと、君だって気付いてたはずでしょう…?ああ…僕はどうしたらいいのかな。自分であれほど覚悟したことなのに君の様子がおかしいと聞いただけで君に会いたくなるよ。でも会ったらまた同じことを繰り返しそうで恐いんだ…だからまだ会う決断を僕はしないよ。ゴメンね、モリオン。もう少し…もう少ししたら会いに行くから。

僕の様子を心配したネフライトが肩を抱いてくる。

「ショウ様…決して貴方の判断が間違っていたわけではありません…私は貴方が苦渋の決断をしたことは知っています。ですから自分だけを責めないで下さい。責任ということなら私や魔王様にだってあるのです。」

そう言って励ましてくれるネフライトには悪いが、今の僕にはありがとうと返すことができない。ギュッと無言で彼の腕を握り、これからのことについて考えを巡らせる。

少しして漸く落ち着いた僕はネフライトに「魔王様とはどうやって会ったらいいかな…?」と聞いた。本館に入ってしまえば僕の気配がモリオンにバレてしまう。そうなると今までの計画が水の泡だ。

するとネフライトが僕に向き直り説明してくれた。




以前、モリオンのお披露目の儀で使用した伝達機能を使えば離れていても魔王様と連絡が取れるらしい。

すごい、携帯みたい!と思いながら続きを促す。

「この伝達機能は魔力があれば誰でも使えるのですが、相手に伝わるかという点ではいくつか条件が必要になってきます。まず第一に相手が伝達機能を使える、または知っているということです。先程も魔力の有無でこの伝達機能が使えると言いましたが、それ以前に相手方がこの伝達機能の存在を知らなければ使用はできません。」

なるほど。要は僕が携帯を持っていても相手が携帯を持っていなかったら意味無いし、使い方を知らなければ使用出来ないってことか。

「そして第二に相手方がその伝達を受信できるようにしているかということです。この機能は一方通行な伝達は出来ません、自分が伝達したいからと言って話しかけても相手が受け取りを拒否、または設定していない場合は使用出来ません。」

うーん…受信指定をしないと伝達出来ないってことか…一件一件するって面倒な感じもするけど…。

「ですから、ショウ様がここを出て行ってから私は幾度と後悔しました…何故、伝達機能のことを伝えなかったのかと…!何度も通信しようと試みましたが、説明した通りショウ様は伝達機能の存在も使い方も知らなかった為、連絡は取れず終いで…。」

そう言ったネフライトは本当に後悔していたようで握り拳を作りながら僕に力説していた。
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