91 / 122
第4章
91. 今後
しおりを挟む
ネフライトの言葉に上手く言葉が出ない。
「そう…だね…。」
まさか、そんな大変なことになっていたなんて想像もしていなかった。そりゃあ始めはショックも大きいだろうとは思ってたけど、モリオンの感情が欠如するほど追い込まれてるとは思ってもみなかった。
僕はギュッと目を瞑り唇を噛み締める。
モリオン…次期魔王としての自覚を持ったんじゃないの…?こんなんじゃ僕が出て行った意味がなくなっちゃうよ…。僕は君にそんな風になって欲しくて出て行ったわけじゃない、荒療治なのは認める…でもこのままじゃダメなこと、君だって気付いてたはずでしょう…?ああ…僕はどうしたらいいのかな。自分であれほど覚悟したことなのに君の様子がおかしいと聞いただけで君に会いたくなるよ。でも会ったらまた同じことを繰り返しそうで恐いんだ…だからまだ会う決断を僕はしないよ。ゴメンね、モリオン。もう少し…もう少ししたら会いに行くから。
僕の様子を心配したネフライトが肩を抱いてくる。
「ショウ様…決して貴方の判断が間違っていたわけではありません…私は貴方が苦渋の決断をしたことは知っています。ですから自分だけを責めないで下さい。責任ということなら私や魔王様にだってあるのです。」
そう言って励ましてくれるネフライトには悪いが、今の僕にはありがとうと返すことができない。ギュッと無言で彼の腕を握り、これからのことについて考えを巡らせる。
少しして漸く落ち着いた僕はネフライトに「魔王様とはどうやって会ったらいいかな…?」と聞いた。本館に入ってしまえば僕の気配がモリオンにバレてしまう。そうなると今までの計画が水の泡だ。
するとネフライトが僕に向き直り説明してくれた。
以前、モリオンのお披露目の儀で使用した伝達機能を使えば離れていても魔王様と連絡が取れるらしい。
すごい、携帯みたい!と思いながら続きを促す。
「この伝達機能は魔力があれば誰でも使えるのですが、相手に伝わるかという点ではいくつか条件が必要になってきます。まず第一に相手が伝達機能を使える、または知っているということです。先程も魔力の有無でこの伝達機能が使えると言いましたが、それ以前に相手方がこの伝達機能の存在を知らなければ使用はできません。」
なるほど。要は僕が携帯を持っていても相手が携帯を持っていなかったら意味無いし、使い方を知らなければ使用出来ないってことか。
「そして第二に相手方がその伝達を受信できるようにしているかということです。この機能は一方通行な伝達は出来ません、自分が伝達したいからと言って話しかけても相手が受け取りを拒否、または設定していない場合は使用出来ません。」
うーん…受信指定をしないと伝達出来ないってことか…一件一件するって面倒な感じもするけど…。
「ですから、ショウ様がここを出て行ってから私は幾度と後悔しました…何故、伝達機能のことを伝えなかったのかと…!何度も通信しようと試みましたが、説明した通りショウ様は伝達機能の存在も使い方も知らなかった為、連絡は取れず終いで…。」
そう言ったネフライトは本当に後悔していたようで握り拳を作りながら僕に力説していた。
「そう…だね…。」
まさか、そんな大変なことになっていたなんて想像もしていなかった。そりゃあ始めはショックも大きいだろうとは思ってたけど、モリオンの感情が欠如するほど追い込まれてるとは思ってもみなかった。
僕はギュッと目を瞑り唇を噛み締める。
モリオン…次期魔王としての自覚を持ったんじゃないの…?こんなんじゃ僕が出て行った意味がなくなっちゃうよ…。僕は君にそんな風になって欲しくて出て行ったわけじゃない、荒療治なのは認める…でもこのままじゃダメなこと、君だって気付いてたはずでしょう…?ああ…僕はどうしたらいいのかな。自分であれほど覚悟したことなのに君の様子がおかしいと聞いただけで君に会いたくなるよ。でも会ったらまた同じことを繰り返しそうで恐いんだ…だからまだ会う決断を僕はしないよ。ゴメンね、モリオン。もう少し…もう少ししたら会いに行くから。
僕の様子を心配したネフライトが肩を抱いてくる。
「ショウ様…決して貴方の判断が間違っていたわけではありません…私は貴方が苦渋の決断をしたことは知っています。ですから自分だけを責めないで下さい。責任ということなら私や魔王様にだってあるのです。」
そう言って励ましてくれるネフライトには悪いが、今の僕にはありがとうと返すことができない。ギュッと無言で彼の腕を握り、これからのことについて考えを巡らせる。
少しして漸く落ち着いた僕はネフライトに「魔王様とはどうやって会ったらいいかな…?」と聞いた。本館に入ってしまえば僕の気配がモリオンにバレてしまう。そうなると今までの計画が水の泡だ。
するとネフライトが僕に向き直り説明してくれた。
以前、モリオンのお披露目の儀で使用した伝達機能を使えば離れていても魔王様と連絡が取れるらしい。
すごい、携帯みたい!と思いながら続きを促す。
「この伝達機能は魔力があれば誰でも使えるのですが、相手に伝わるかという点ではいくつか条件が必要になってきます。まず第一に相手が伝達機能を使える、または知っているということです。先程も魔力の有無でこの伝達機能が使えると言いましたが、それ以前に相手方がこの伝達機能の存在を知らなければ使用はできません。」
なるほど。要は僕が携帯を持っていても相手が携帯を持っていなかったら意味無いし、使い方を知らなければ使用出来ないってことか。
「そして第二に相手方がその伝達を受信できるようにしているかということです。この機能は一方通行な伝達は出来ません、自分が伝達したいからと言って話しかけても相手が受け取りを拒否、または設定していない場合は使用出来ません。」
うーん…受信指定をしないと伝達出来ないってことか…一件一件するって面倒な感じもするけど…。
「ですから、ショウ様がここを出て行ってから私は幾度と後悔しました…何故、伝達機能のことを伝えなかったのかと…!何度も通信しようと試みましたが、説明した通りショウ様は伝達機能の存在も使い方も知らなかった為、連絡は取れず終いで…。」
そう言ったネフライトは本当に後悔していたようで握り拳を作りながら僕に力説していた。
12
お気に入りに追加
1,515
あなたにおすすめの小説
勇者の股間触ったらエライことになった
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。
町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。
オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。
敏感♡ナース♡凌辱物語♡♡
松井すき焼き
BL
斉藤要のもとに、姉の婚約者の西園寺清から体験型ゲームVRが送られてきた。
ゲームなんぞ興味はない要だったが、ゲームの名前は、『敏感♡ナース♡凌辱物語♡♡』と書かれていることに、要は目をとめ、やり始めることにしたのだが、ゲーム内で要の姿は少女になっていた。
頬に触れる指も頬もリアルで、ゲームないだととても思えない。ゲームの設定のせいか、異様に敏感な体になってしまった要は、ゲーム中の患者になど凌辱され輪姦されながらも、ゲームクリアを模索する。
なおこの作品は小説家になろうと、アルファポリスの二つに記載させていただいています。
召喚された美人サラリーマンは性欲悪魔兄弟達にイカされる
KUMA
BL
朱刃音碧(あかばねあおい)30歳。
ある有名な大人の玩具の開発部門で、働くサラリーマン。
ある日暇をモテ余す悪魔達に、逆召喚され混乱する余裕もなく悪魔達にセックスされる。
性欲悪魔(8人攻め)×人間
エロいリーマンに悪魔達は釘付け…『お前は俺達のもの。』
帝国皇子のお婿さんになりました
クリム
BL
帝国の皇太子エリファス・ロータスとの婚姻を神殿で誓った瞬間、ハルシオン・アスターは自分の前世を思い出す。普通の日本人主婦だったことを。
そして『白い結婚』だったはずの婚姻後、皇太子の寝室に呼ばれることになり、ハルシオンはひた隠しにして来た事実に直面する。王族の姫が19歳まで独身を貫いたこと、その真実が暴かれると、出自の小王国は滅ぼされかねない。
「それなら皇太子殿下に一服盛りますかね、主様」
「そうだね、クーちゃん。ついでに血袋で寝台を汚してなんちゃって既成事実を」
「では、盛って服を乱して、血を……主様、これ……いや、まさかやる気ですか?」
「うん、クーちゃん」
「クーちゃんではありません、クー・チャンです。あ、主様、やめてください!」
これは隣国の帝国皇太子に嫁いだ小王国の『姫君』のお話。
おっさん家政夫は自警団独身寮で溺愛される
月歌(ツキウタ)
BL
妻に浮気された上、離婚宣告されたおっさんの話。ショックか何かで、異世界に転移してた。異世界の自警団で、家政夫を始めたおっさんが、色々溺愛される話。
☆表紙絵
AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。
【R18】満たされぬ俺の番はイケメン獣人だった
佐伯亜美
BL
この世界は獣人と人間が共生している。
それ以外は現実と大きな違いがない世界の片隅で起きたラブストーリー。
その見た目から女性に不自由することのない人生を歩んできた俺は、今日も満たされぬ心を埋めようと行きずりの恋に身を投じていた。
その帰り道、今月から部下となったイケメン狼族のシモンと出会う。
「なんで……嘘つくんですか?」
今まで誰にも話したことの無い俺の秘密を見透かしたように言うシモンと、俺は身体を重ねることになった。
「陛下を誑かしたのはこの身体か!」って言われてエッチなポーズを沢山とらされました。もうお婿にいけないから責任を取って下さい!
うずみどり
BL
突発的に異世界転移をした男子高校生がバスローブ姿で縛られて近衛隊長にあちこち弄られていいようにされちゃう話です。
ほぼ全編エロで言葉責め。
無理矢理だけど痛くはないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる