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第3章
87. 記念日
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何を言われるのかと身構えるとアクアに「ハイッ!」と何かを差し出された。何か分からず受け取るとピンクのリボンが施してある細長い箱を渡される。嫌な予感がしつつも「アクアこれ…。」と零すと「ママにプレゼント!」と笑顔で告げられた。
笑みを浮かべるアクアに「開けても良い?」と聞き、開封するとそこにはシンプルなチェーンに貝殻のペンダントトップが付いたネックレスが入っていた。
「今日はママがココに来てくれた1ヶ月記念日なんだ!その貝殻は僕が拾ってパパがペンダントにしてくれたの!どう?気に入った?」
先程のインカさんとのことを知らないアクアがワクワクした表情で聞いてくる。勿論、このペンダントに関しては素敵だと思うし、貰って嬉しい。しかし、こんな物を貰っては今後出て行く時の決心が鈍ってしまうのではないかと不安になる。
でも…
「アクア、ありがとう。凄く素敵だね。」
そう言って笑みを浮かべる。ここでも僕の悪い癖が出てしまった。
「ホント⁉︎嬉しいなぁ!あっ、ママ僕が付けてあげる!」
アクアは僕の手からネックレスを受け取ると椅子に座る僕の背後に回り留め具を付けてくれる。ニコニコと嬉しそうなアクアに水を差すのも悪いと思い、とりあえずはこのままの状態でいることにした。
「これね亡くなったママが持ってたネックレスのチェーンなんだって、パパが言ってた。」
突然知らされた事実に目を丸くするとインカさんを見つめる。その瞬間、気まずそうに目を逸らされた。
それなら余計に返さないと…。
僕はそんなことを思いながら夕食を進めていった。
その夜、僕はネックレスの件と今後のことについて話し合うためにインカさんの部屋を訪れた。僕は部屋に入るなり彼にネックレスを差し出す。
「インカさん、こんな大事なものは受け取れません。」
彼は僕がそうすることがわかっていたかのように首を横に振ると「ショウ…昨日の今日で受け取りにくいのは分かるが、アクアのことを想って貰ってはくれないか。…もし此処を出て行く時に邪魔なのであれば置いていってくれたらいい。」と告げる。
「…そんな言い方はズルい…。僕がアクアに強く出れないのは知っているのに…。」
「…それでも…だ、此処にいる間だけでもいい、アクアの母親役になってくれ。」
「…。」
ホント、インカさんはズルい人だ。
笑みを浮かべるアクアに「開けても良い?」と聞き、開封するとそこにはシンプルなチェーンに貝殻のペンダントトップが付いたネックレスが入っていた。
「今日はママがココに来てくれた1ヶ月記念日なんだ!その貝殻は僕が拾ってパパがペンダントにしてくれたの!どう?気に入った?」
先程のインカさんとのことを知らないアクアがワクワクした表情で聞いてくる。勿論、このペンダントに関しては素敵だと思うし、貰って嬉しい。しかし、こんな物を貰っては今後出て行く時の決心が鈍ってしまうのではないかと不安になる。
でも…
「アクア、ありがとう。凄く素敵だね。」
そう言って笑みを浮かべる。ここでも僕の悪い癖が出てしまった。
「ホント⁉︎嬉しいなぁ!あっ、ママ僕が付けてあげる!」
アクアは僕の手からネックレスを受け取ると椅子に座る僕の背後に回り留め具を付けてくれる。ニコニコと嬉しそうなアクアに水を差すのも悪いと思い、とりあえずはこのままの状態でいることにした。
「これね亡くなったママが持ってたネックレスのチェーンなんだって、パパが言ってた。」
突然知らされた事実に目を丸くするとインカさんを見つめる。その瞬間、気まずそうに目を逸らされた。
それなら余計に返さないと…。
僕はそんなことを思いながら夕食を進めていった。
その夜、僕はネックレスの件と今後のことについて話し合うためにインカさんの部屋を訪れた。僕は部屋に入るなり彼にネックレスを差し出す。
「インカさん、こんな大事なものは受け取れません。」
彼は僕がそうすることがわかっていたかのように首を横に振ると「ショウ…昨日の今日で受け取りにくいのは分かるが、アクアのことを想って貰ってはくれないか。…もし此処を出て行く時に邪魔なのであれば置いていってくれたらいい。」と告げる。
「…そんな言い方はズルい…。僕がアクアに強く出れないのは知っているのに…。」
「…それでも…だ、此処にいる間だけでもいい、アクアの母親役になってくれ。」
「…。」
ホント、インカさんはズルい人だ。
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