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第3章
82. コミュニケーション
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インカさんにそこまで説明してもらってやっと理解できた。彼は自分を蔑ろにする僕が許せなかったのだ。
「すみません…インカさん、そこまで想ってもらってるなんて…。」
「言っただろう?俺が惚れたんだ、アクアと同様、大切なのは変わらない。…だから、もう少し自覚を持ってほしい。」
「はっはい…すみません。」
「あと、街に行くのは事前に言ってくれ。事後報告はあまり好きじゃない。」
「分かりました。」
そう言ってやっと最後には笑顔を作ることが出来た。
これでなんとかインカさんとのコミュニケーションも取れ、これからの生活も心構えも少しはマシになるかと思い「じゃあ、また明日。」と部屋を後にしようとしたその時、グイッと腕を引かれる。
エッ…?
アッと思った時には既にベッドに押し倒され彼を見上げる体勢が出来上がっていた。
「イッ…インカさん?」と思わず零すと彼は僕の両肩付近に手をつき笑みを浮かべる。
「ショウとの仲も深まったことだし今日はここで眠ったらいい。」
「えっ…でもアクアが…。」
「アクアは一度眠ったら滅多に起きない、ショウも知っているだろう?」
確かに今まで夜中にアクアに起こされたことはないし、僕が起きたこともない。それに朝起きる時はいつも僕の方が早起きだ。
「それはそうですけど…。」
「なら問題ないな、さぁ寝よう。」
そう言ったインカさんは僕の横に潜り込むと唖然としている僕を自分の隣まで持ち上げる。余りの早業に彼を凝視していると…
「あのっ!ちょっ…インカさん⁉︎」
マズいでしょ⁉︎いくら手を出さなくなったっていってもこの状況は!
「ん~…?」
彼は僕を胸に抱き締めると抱き枕の様にして眠ろうとした。そして僕の頭にチュッチュッと口付けると更に抱き締める。
えっ…何これ…手は出されてない…?けど大丈夫なの…?
その夜、僕はインカさんに抱き締められながらいつ手を出されるか分からない緊張感で殆ど熟睡できなかった。
「ふぁ~…。」
朝から何度も欠伸をしながら朝食作りを開始する。結局、あの後インカさんは僕を抱き枕にしたまま何も手を出すことなく朝を迎え、僕は拍子抜けしてしまった。
そりゃ手を出して欲しいと思ってたわけじゃないけどさ…!
何処かモヤモヤとした気持ちを巡らせながら手を進める。
今日はトーストにハムエッグ、野菜スープにサラダ。ありきたりなメニューだが朝から重いものは胃がビックリする為、朝はいつもこのぐらいで済ますことが多い。
あっ、インカさんを起こさないと。
僕はいそいそと部屋に行き、インカさんの肩を揺さぶる。
「インカさん、インカさん。朝ですよ、起きて下さい。」
「すみません…インカさん、そこまで想ってもらってるなんて…。」
「言っただろう?俺が惚れたんだ、アクアと同様、大切なのは変わらない。…だから、もう少し自覚を持ってほしい。」
「はっはい…すみません。」
「あと、街に行くのは事前に言ってくれ。事後報告はあまり好きじゃない。」
「分かりました。」
そう言ってやっと最後には笑顔を作ることが出来た。
これでなんとかインカさんとのコミュニケーションも取れ、これからの生活も心構えも少しはマシになるかと思い「じゃあ、また明日。」と部屋を後にしようとしたその時、グイッと腕を引かれる。
エッ…?
アッと思った時には既にベッドに押し倒され彼を見上げる体勢が出来上がっていた。
「イッ…インカさん?」と思わず零すと彼は僕の両肩付近に手をつき笑みを浮かべる。
「ショウとの仲も深まったことだし今日はここで眠ったらいい。」
「えっ…でもアクアが…。」
「アクアは一度眠ったら滅多に起きない、ショウも知っているだろう?」
確かに今まで夜中にアクアに起こされたことはないし、僕が起きたこともない。それに朝起きる時はいつも僕の方が早起きだ。
「それはそうですけど…。」
「なら問題ないな、さぁ寝よう。」
そう言ったインカさんは僕の横に潜り込むと唖然としている僕を自分の隣まで持ち上げる。余りの早業に彼を凝視していると…
「あのっ!ちょっ…インカさん⁉︎」
マズいでしょ⁉︎いくら手を出さなくなったっていってもこの状況は!
「ん~…?」
彼は僕を胸に抱き締めると抱き枕の様にして眠ろうとした。そして僕の頭にチュッチュッと口付けると更に抱き締める。
えっ…何これ…手は出されてない…?けど大丈夫なの…?
その夜、僕はインカさんに抱き締められながらいつ手を出されるか分からない緊張感で殆ど熟睡できなかった。
「ふぁ~…。」
朝から何度も欠伸をしながら朝食作りを開始する。結局、あの後インカさんは僕を抱き枕にしたまま何も手を出すことなく朝を迎え、僕は拍子抜けしてしまった。
そりゃ手を出して欲しいと思ってたわけじゃないけどさ…!
何処かモヤモヤとした気持ちを巡らせながら手を進める。
今日はトーストにハムエッグ、野菜スープにサラダ。ありきたりなメニューだが朝から重いものは胃がビックリする為、朝はいつもこのぐらいで済ますことが多い。
あっ、インカさんを起こさないと。
僕はいそいそと部屋に行き、インカさんの肩を揺さぶる。
「インカさん、インカさん。朝ですよ、起きて下さい。」
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