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第3章
75. 堪能
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何かのイベントかな?人が集まってる…。
アクアと共に人集りに近付いていくと舞台が設置されており、その上にダンサーと思われる男女が集まっていた。アクアとジッと見つめていると音楽が流れだしダンサー達がその曲に合わせて踊り始める。
社交ダンスかな?
暫く彼等の華麗なステップに見惚れていると、ふと観客の中で不審な動きをする人物を見つけた。
あれ…なんでダンスを見ずに人の間をすり抜けてるんだろ…?
それを見つめているとパッと目が合う。彼は驚きに目を見開くとサッと身を翻した。その後、群衆から「財布がない!」と叫ぶ光景を目の当たりにし、あの子がスリだったんだ、と理解した。
「凄かったね~!皆、クルクル回ってた!」
アクアは初めてダンスというものを見たのか興奮しながら感想を伝えてくる。それを微笑ましく思いながら僕は先程の光景を思い出していた。
あんな小さな少年がスリをするなんて…この街は一見平和そうだけど、やっぱり裏社会っていうのがあるのかな…。
僕の耳には裏事情や汚い仕事などそういう情報が一切入ってこない。きっと魔王城に情報が来る前にネフライトが処理してるのだろう。
せっかくチートで転生させてもらったんだから、どうにか僕も役に立ちたい…。
そう思ったところである事を思い付く。
「アクア、パパにお土産買うついでにちょっと出掛けてもいい?」
「うん!ママ、大丈夫?」
「うん、多分…?」
僕はアクアと一緒にインカさんへのお土産を購入した。アクアから「洋服屋さんに行きたい!」という希望があったので連れて行くと強請られたのは全員お揃いのパジャマだった。
「えっ…これが欲しいの?」
その柄は薄い黄色の生地に胸に大きなライオンの絵がプリントされているものだった。辛うじてそのライオンはリアルなものではなく可愛いキャラクターのような絵柄だったが。
「うん!パパはお仕事で服は汚しちゃうからコレだったら汚れないでしょ?それにパパとママだけがお揃いなのは嫌だから僕もお揃い!」
そう言ってニコニコとパジャマを掲げるアクアにダメとは言えず、結局購入してしまった。
それからいよいよ僕の計画の番だ。しかし今になってアクアを連れていくか迷う。
多分、僕の魔力でアクアには指一本触れることは出来ないけどアクアを危険な目には合わせたくないんだよね…。誰か預かってくれないかな…?
そんなことを思っていると僕の願いが通じたのか運良く知り合いに出会う。
「あっ、アクア~!ショウさーん!」
向こうから手を振ってくるのは近所にお住まいの狐の獣人親子だ。
アクアと共に人集りに近付いていくと舞台が設置されており、その上にダンサーと思われる男女が集まっていた。アクアとジッと見つめていると音楽が流れだしダンサー達がその曲に合わせて踊り始める。
社交ダンスかな?
暫く彼等の華麗なステップに見惚れていると、ふと観客の中で不審な動きをする人物を見つけた。
あれ…なんでダンスを見ずに人の間をすり抜けてるんだろ…?
それを見つめているとパッと目が合う。彼は驚きに目を見開くとサッと身を翻した。その後、群衆から「財布がない!」と叫ぶ光景を目の当たりにし、あの子がスリだったんだ、と理解した。
「凄かったね~!皆、クルクル回ってた!」
アクアは初めてダンスというものを見たのか興奮しながら感想を伝えてくる。それを微笑ましく思いながら僕は先程の光景を思い出していた。
あんな小さな少年がスリをするなんて…この街は一見平和そうだけど、やっぱり裏社会っていうのがあるのかな…。
僕の耳には裏事情や汚い仕事などそういう情報が一切入ってこない。きっと魔王城に情報が来る前にネフライトが処理してるのだろう。
せっかくチートで転生させてもらったんだから、どうにか僕も役に立ちたい…。
そう思ったところである事を思い付く。
「アクア、パパにお土産買うついでにちょっと出掛けてもいい?」
「うん!ママ、大丈夫?」
「うん、多分…?」
僕はアクアと一緒にインカさんへのお土産を購入した。アクアから「洋服屋さんに行きたい!」という希望があったので連れて行くと強請られたのは全員お揃いのパジャマだった。
「えっ…これが欲しいの?」
その柄は薄い黄色の生地に胸に大きなライオンの絵がプリントされているものだった。辛うじてそのライオンはリアルなものではなく可愛いキャラクターのような絵柄だったが。
「うん!パパはお仕事で服は汚しちゃうからコレだったら汚れないでしょ?それにパパとママだけがお揃いなのは嫌だから僕もお揃い!」
そう言ってニコニコとパジャマを掲げるアクアにダメとは言えず、結局購入してしまった。
それからいよいよ僕の計画の番だ。しかし今になってアクアを連れていくか迷う。
多分、僕の魔力でアクアには指一本触れることは出来ないけどアクアを危険な目には合わせたくないんだよね…。誰か預かってくれないかな…?
そんなことを思っていると僕の願いが通じたのか運良く知り合いに出会う。
「あっ、アクア~!ショウさーん!」
向こうから手を振ってくるのは近所にお住まいの狐の獣人親子だ。
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