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第3章
73. モリオン視点
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「…ッ⁉︎」
俺はショウからの初めての手紙を手にしたまま呆然と立ち尽くした。
俺が覚えている一番古いショウの記憶は生命の樹木から生まれ、彼に抱き着いた時からだ。木の根元にもたれかかる彼を見た瞬間、なんて美しい人だろうと幼いながらに思った記憶がある。
最初は本気でショウのことを母親だと思っていた。なんせ食事という名の授乳も彼からだったし、いつどんな時も側にいるのが当たり前だったからだ。始めのうちは純粋にショウのことを母親として敬愛していた。しかし、自分が成長するにつれて敬愛という言葉だけでは言い切れない感情が生まれいくのを感じていた。
俺が一番初めにショウを意識したキッカケは彼が俺の母親ではないということ知った時である。その時はショックのあまり父親に泣いて縋ったが、よく考えれば母親でないというのならショウのことを好きになっても問題は良いということだ。まぁこの魔界では親子だとか兄弟だとかはあまり関係ないようだが。ともかく、ショウが母親でないというのなら俺が彼をモノにしても誰も文句は言うまい。
そう思うようになった俺の思考はショウとどうにか進展させたいという想いしか浮かばなくなった。
しかし、現実的に当時俺はまだ第一次性徴を迎えたばかりの子供。ショウをどうにかする以前に身体はまだ子供で彼に恋人として意識してもらうにはいささか分が悪い。よってショウに近づく虫どもを蹴散らすことや食事に少し色を加えることで彼に意識してもらうことにした。ショウは何年経っても初々しい反応を見せ、俺は内心早く手を出したくてウズウズしていた。しかし、俺のことを純粋に息子として、次期魔王として接してくれている彼を裏切りたくはない。どうにか彼を傷付けずに俺の気持ちに気付いてもらう方法はないものか。
そういえばショウは頑なにキスを嫌がる。俺は進んでショウとしたいのに彼はこれからできる愛しい人の為に残しておけ、という。俺の好きな人は後にも先にもショウしかいないのに…!と苛ついた俺は彼にちょっとした嫌がらせをすることにした。彼が俺のお願いに弱いことを知りながら1度だけとキスをせがむ。すると、やはり彼は1度だけならと首を縦に振った。内心、彼の唇を堪能したい欲を抑え軽めのものを施す。目を瞑り恥ずかしさでまつ毛をプルプルと揺らしながら赤面するショウに手を出さなかったあの時の俺を褒めてやりたい。
その後、彼の勘違いによって俺は席を外すことになるのだが、あの時は彼の勘違いを訂正する以上にしなければならないことがあった。ショウと別れた俺は父親の部屋に足を運ぶ。こんな顔を父親に見せたくはないが、ショウの欲情しきった顔を見た今、父親には伝えておかなければならない。
「父様、お話があります。」
突然の訪問にも父様は俺が来ることを予想していたのか「なんだ。」と声を発し、身を起こした。俺はショウを教育係としてではなく1人の人物として愛し、そして俺が魔王となった暁には彼を王妃にするということを伝える。すると父親は俺の発言をハッと「寝言は寝て言え。」と馬鹿にし、どんな説得にも最後まで頷いてはくれなかった。
次の日の早朝、勘違いとはいえショウを傷付けた自覚があった俺は彼に謝るタイミングを模索していた。そしてふと彼の魔力が部屋から動いているのを感じ取る。それを追い掛けていくとネフライトに慰められ抱き締められている彼を見つけた。思わず魔力を激昂させてしまった為、ネフライトには俺の存在がバレてしまっただろうが俺がそこで仲裁できるわけがない。そっとその場を立ち去ると苦々しく唇を噛みしめた。
それからショウと気まずい時間を過ごし、俺がネフライトから勉学を教わっているとショウが行方不明になるという事件が起きる。俺は急いで彼を捜しに出掛けようとしたが、それをネフライトに止められる。「いつもいつも邪魔をするな…!」と彼を睨んだが、彼は俺を通したくないらしい。俺は渋々自分の部屋で待機することとなった。何故なら今はどんなことをしてもネフライトに敵わないのだ。朝の事もあってやはりネフライトに先を越されている感は否めない。
ようやく帰ってきたショウと仲直りをした俺は彼に知らない魔力が纏わり付いているのを感じ、直ぐに飛散させる。
やはりショウを1人にしたのは不味かったな。
それから2人で話し合いをしようと思った矢先、彼が俺の元から離れると言い出す。それを慌てて止めると彼は泣いて喜んだ。
こんなに愛しい人を手放すものか…!
周りから見れば俺の執着が行きすぎてると言われるかもしれないが俺はそうは思わない。欲しいと思ったものは必ず手に入れる。それが無理矢理だったとしても。
その後、スッキリとした面持ちで彼から食事を貰い、キスもする。俺はかなり満足したが、その時の彼の心情までは予想出来ずにいた。
そして第二次性徴を迎えた俺はここぞとばかりにショウにアピールする。これまでは俺の方が背も小さく頼りないものだったが、今はショウより大きくなり小柄な彼を抱き締めてやれる。これで俺の気持ちが彼に伝われば万事上手くいくとあの時まではそう思っていた。それが彼を追い詰めているとは知らずに。
俺はショウからの初めての手紙を手にしたまま呆然と立ち尽くした。
俺が覚えている一番古いショウの記憶は生命の樹木から生まれ、彼に抱き着いた時からだ。木の根元にもたれかかる彼を見た瞬間、なんて美しい人だろうと幼いながらに思った記憶がある。
最初は本気でショウのことを母親だと思っていた。なんせ食事という名の授乳も彼からだったし、いつどんな時も側にいるのが当たり前だったからだ。始めのうちは純粋にショウのことを母親として敬愛していた。しかし、自分が成長するにつれて敬愛という言葉だけでは言い切れない感情が生まれいくのを感じていた。
俺が一番初めにショウを意識したキッカケは彼が俺の母親ではないということ知った時である。その時はショックのあまり父親に泣いて縋ったが、よく考えれば母親でないというのならショウのことを好きになっても問題は良いということだ。まぁこの魔界では親子だとか兄弟だとかはあまり関係ないようだが。ともかく、ショウが母親でないというのなら俺が彼をモノにしても誰も文句は言うまい。
そう思うようになった俺の思考はショウとどうにか進展させたいという想いしか浮かばなくなった。
しかし、現実的に当時俺はまだ第一次性徴を迎えたばかりの子供。ショウをどうにかする以前に身体はまだ子供で彼に恋人として意識してもらうにはいささか分が悪い。よってショウに近づく虫どもを蹴散らすことや食事に少し色を加えることで彼に意識してもらうことにした。ショウは何年経っても初々しい反応を見せ、俺は内心早く手を出したくてウズウズしていた。しかし、俺のことを純粋に息子として、次期魔王として接してくれている彼を裏切りたくはない。どうにか彼を傷付けずに俺の気持ちに気付いてもらう方法はないものか。
そういえばショウは頑なにキスを嫌がる。俺は進んでショウとしたいのに彼はこれからできる愛しい人の為に残しておけ、という。俺の好きな人は後にも先にもショウしかいないのに…!と苛ついた俺は彼にちょっとした嫌がらせをすることにした。彼が俺のお願いに弱いことを知りながら1度だけとキスをせがむ。すると、やはり彼は1度だけならと首を縦に振った。内心、彼の唇を堪能したい欲を抑え軽めのものを施す。目を瞑り恥ずかしさでまつ毛をプルプルと揺らしながら赤面するショウに手を出さなかったあの時の俺を褒めてやりたい。
その後、彼の勘違いによって俺は席を外すことになるのだが、あの時は彼の勘違いを訂正する以上にしなければならないことがあった。ショウと別れた俺は父親の部屋に足を運ぶ。こんな顔を父親に見せたくはないが、ショウの欲情しきった顔を見た今、父親には伝えておかなければならない。
「父様、お話があります。」
突然の訪問にも父様は俺が来ることを予想していたのか「なんだ。」と声を発し、身を起こした。俺はショウを教育係としてではなく1人の人物として愛し、そして俺が魔王となった暁には彼を王妃にするということを伝える。すると父親は俺の発言をハッと「寝言は寝て言え。」と馬鹿にし、どんな説得にも最後まで頷いてはくれなかった。
次の日の早朝、勘違いとはいえショウを傷付けた自覚があった俺は彼に謝るタイミングを模索していた。そしてふと彼の魔力が部屋から動いているのを感じ取る。それを追い掛けていくとネフライトに慰められ抱き締められている彼を見つけた。思わず魔力を激昂させてしまった為、ネフライトには俺の存在がバレてしまっただろうが俺がそこで仲裁できるわけがない。そっとその場を立ち去ると苦々しく唇を噛みしめた。
それからショウと気まずい時間を過ごし、俺がネフライトから勉学を教わっているとショウが行方不明になるという事件が起きる。俺は急いで彼を捜しに出掛けようとしたが、それをネフライトに止められる。「いつもいつも邪魔をするな…!」と彼を睨んだが、彼は俺を通したくないらしい。俺は渋々自分の部屋で待機することとなった。何故なら今はどんなことをしてもネフライトに敵わないのだ。朝の事もあってやはりネフライトに先を越されている感は否めない。
ようやく帰ってきたショウと仲直りをした俺は彼に知らない魔力が纏わり付いているのを感じ、直ぐに飛散させる。
やはりショウを1人にしたのは不味かったな。
それから2人で話し合いをしようと思った矢先、彼が俺の元から離れると言い出す。それを慌てて止めると彼は泣いて喜んだ。
こんなに愛しい人を手放すものか…!
周りから見れば俺の執着が行きすぎてると言われるかもしれないが俺はそうは思わない。欲しいと思ったものは必ず手に入れる。それが無理矢理だったとしても。
その後、スッキリとした面持ちで彼から食事を貰い、キスもする。俺はかなり満足したが、その時の彼の心情までは予想出来ずにいた。
そして第二次性徴を迎えた俺はここぞとばかりにショウにアピールする。これまでは俺の方が背も小さく頼りないものだったが、今はショウより大きくなり小柄な彼を抱き締めてやれる。これで俺の気持ちが彼に伝われば万事上手くいくとあの時まではそう思っていた。それが彼を追い詰めているとは知らずに。
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