次期魔王の教育係に任命された

ミイ

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第3章

70. 行動

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次の日からというもの、モリオンは勉強や剣術以外の時間を僕から離れようとしなくなった。第二次性徴の前からそんな節があったのは事実だがこんなに顕著では無かった。

こんな風で本当にいいのかな…?

僕は隣に腰掛けるモリオンを見上げながら心の中で溜息をついた。





そしてある日、モリオンが勉学の為に部屋から出て行ったのを見計らってネフライトの部屋を訪ねる。

突然の訪問にも嫌な顔一つせず和かに対応してくれるネフライト、彼のことを本当に尊敬する。

「あの…相談があるんだけど…。」

僕の問いに彼は「モリオン様のことですか?」と予め分かっていたかの様に僕をソファーへと促した。

ネフライトに紅茶を用意してもらいながら最近のモリオンの様子を伝える。次期魔王としてこんな教育方針で本当にいいのだろうか、という疑問を投げかけたのだ。

「僕の口からは言い難いんだけど…最近モリオンは僕にベッタリだし、あまり教育としても次期魔王としても良いとは言えないんじゃないかって思うんだ…。魔王様も段々と体調が思わしくなくなってきたし、よりモリオンに次期魔王としての自覚を持ってもらいたいんだけど、なかなか…ね…。」

「…確かに第二次性徴以降、モリオン様はショウ様の側を離れようとはしませんね…。やはりショウ様がいつか離れてしまう事を危惧しているのではないでしょうか…。」

「やっぱりそうだよね…。」

モリオンにはいつまでということは明確には伝えていないが、ずっと一緒にいられないことは伝えている。その事実を伝えてからモリオンの様子がおかしくなったのも理解しているが、どうしようもない。

「僕の存在がモリオンの邪魔になってるのかな…。」

「そんなっ!そんなことは絶対に有り得ません!」

いつも冷静なネフライトが声を荒げる。僕は必死に伝えてくれる彼の優しさに笑みを浮かべると「…モリオンの気持ちは分かってるんだ、でもそれを僕は受け入れられない。それなら僕は消えた方が彼の為になるんじゃないか、って最近は思うんだ。」と胸の内を告げた。

「モリオンの僕に対する想いが今後邪魔になるようならそれを取り除くのも僕の役割…。」

「…ショウ様?」

「ねぇネフライト、協力してくれる?」
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