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第3章

68. 悪戯

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「それで?お前は何しに来たんだ?」

魔王様は悪びれた様子もなくモリオンに告げる。彼は苦々しい表情のまま魔王様を真っ直ぐと見据えると「貴方に成長した姿を見せようと思ったのですが、邪魔だったようですね…。」と怒気を孕んだ声色で答えた。

「ああ、そうだな。我とサトーの貴重な時間を邪魔するでない。其方の成長具合はそれで十分分かった、退がれ。」

そう言ってシッシッと手で退室を促す。

流石にそれはマズイんじゃ…?と思った瞬間、案の定モリオンの魔力が増幅する。

「ほぉ…父親に攻撃するつもりか?」

魔王様は嬉しそうだ。

「誰のせいでこうなってるとお思いですか…!」

対してモリオンは明らかに怒りを露わにしており魔力を制御する気はなさそうだ。僕はオロオロと2人を交互に見ながら成り行きを見守る。





事の終わりを告げたのは魔王様のフフッという笑い声だった。

「モリオン…感情に任せて攻撃しようなどと安易な考えは捨てるんだな。」

「…。」

「万が一、我がサトーを盾にしたらどうするんだ。」

「そんなヘマはしません。」

「ククッ、確かにな。今のお前なら我だけを攻撃し、サトーだけを確保するのも容易いだろう。しかし今後は感情任せで動くのは止めろ。総じて上手くいくとは限らん。
…まぁ其方が突発的に動くなどサトーに関して以外ないだろうがな。」

魔王様は再びククッと笑うと僕の腰をグイッと引っ張る。突然の行動に僕は対処が出来ず魔王様に覆い被さる様に倒れた。

えっ…?

なんとか咄嗟に出した片手で自身の身体を支えたことにより直撃は免れたが、魔王様に近付いた右頬にキスされる。僕が魔王様を見つめながら呆気に取られていると瞬間移動したかのようにモリオンに抱き起こされた。

「ショウ!もう行くよ!」

そう言って彼は有無を言わさず僕を抱き上げると部屋を出て行く。去り際、チラッと見えた魔王様は愉快そうに手を振っていた。






どっ…どうしたらいいんだよぉ…!

モリオンと共に部屋を出たのはいいが、何処に連れて行かれるか分からないまま無言で歩き続ける彼に抱き着く。

暫くすると中庭に辿り着き、ベンチに下された。彼に鋭い目付きで睨まれ、僕は背中に変な汗を掻きながらモリオンが口を開くのを待つ。

「…ショウ、君は何を考えているの?」

「えっ…?」

「俺の気持ちを試しているの?」

何がなんだか分からない。
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