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第3章
66. 仲違い
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「あっ…。」
彼を呼び止めようにも言い訳が思い付かず、伸ばした手は宙を掴んだ。行き場を無くした手はそのまま下ろされ、ベッドに倒れ込む。
はぁ~…せっかくモリオンが第二次性徴を迎えておめでたいはずなのに…。
後悔の念が押し寄せる中、突然扉がノックされた。
「ショウ様、ネフライトです。入っても宜しいですか?」
ネフライト…?
モリオンと入れ違い様にノックされ、驚きながらも部屋内に招き入れる。
「廊下で待機しておりましたが、正解だった様ですね…。」
彼はこちらを真っ直ぐと見据えると困った表情をした。
「…。」
「モリオン様と廊下ですれ違いましたが…泣きそうな顔をしておりました。ショウ様、不躾ではありますが理由を聞いても?」
「…うん。」
僕は先程のモリオンとのやり取りを彼に説明した。モリオンからこれからも共にいて欲しいと言われたこと、そしてそれを断ったこと。ネフライトは僕が断る返事をしたことを告げるとモリオンと同じように哀しそうな顔をする。
「やはりモリオン様から言われてもショウ様の意思は揺らがないのですね…。でしたらモリオン様に本当のことをおっしゃってはどうですか、でないとこのままずっと誤解されたままですよ。それではショウ様の努力が報われません。」
「…いや、僕のことはいいんだ…今はモリオンのことを優先して欲しい。あの子はいくら性徴したとはいえ、まだ10年足らずしか生きていない。だから、気持ちの整理が出来ないはず…。ネフライト、悪いけどモリオンのことを探してきてくれない?本当は僕が行きたいけど…僕が行っても取りやってくれないだろうから…。」
僕の頼みを彼は苦しそうな表情で頷くと「分かりました。」と言って部屋を出て行った。
僕はその足で魔王様のところへ向かう。第一次性徴の時と同様、彼にモリオンが第二次性徴を迎えたことを伝えるためだ。
扉をノックし部屋に入ると以前より憔悴している魔王様に出迎えられる。
「魔王様…モリオンが第二次性徴を迎えました。」
「おぉ…そうか。我はそこまで生き永らえたのだな…。」
魔王様は嬉しそうに…しかし今はもう身体を起こすことは出来そうにない。
「魔王様…またモリオンと仲違いしてしまいました…。」
そう告げると彼はククッと笑いながら「なに、どうせモリオンがまたワガママを言ったのだろう?」と当たってみせた。
「彼奴はサトーに執着しておる、きっと今回のこともそれ関連であろう?」
流石魔王様、全て分かっているかの様な口振りだ。
「はい、モリオンにこれからも一緒にいて欲しいと言われ、それを断ったんです。」
「そうか…サトーにも色々と事情があることを彼奴は知らないからな、仕方ないといえばそうだが大人げない…。」
「いや!僕が悪いんです…きちんと説明すればいいのに悪役になることを怖がって何も言わなかったから…。それにモリオンはまだ10年程しか生きてないのですよ、理解しろと言った方が難しいのではないですか?」
「…サトーの事情を説明するかしないかは其方に任せる。しかし、親心としては説明してあげて欲しいがな。ただそれを言うことでサトーの立場が悪くなる様なら言わなくていい。それに彼奴は10年しか生きてはおらんが精神年齢や肉体年齢はもう20歳を超えておる、十分大人なのだから気にするな。」
彼を呼び止めようにも言い訳が思い付かず、伸ばした手は宙を掴んだ。行き場を無くした手はそのまま下ろされ、ベッドに倒れ込む。
はぁ~…せっかくモリオンが第二次性徴を迎えておめでたいはずなのに…。
後悔の念が押し寄せる中、突然扉がノックされた。
「ショウ様、ネフライトです。入っても宜しいですか?」
ネフライト…?
モリオンと入れ違い様にノックされ、驚きながらも部屋内に招き入れる。
「廊下で待機しておりましたが、正解だった様ですね…。」
彼はこちらを真っ直ぐと見据えると困った表情をした。
「…。」
「モリオン様と廊下ですれ違いましたが…泣きそうな顔をしておりました。ショウ様、不躾ではありますが理由を聞いても?」
「…うん。」
僕は先程のモリオンとのやり取りを彼に説明した。モリオンからこれからも共にいて欲しいと言われたこと、そしてそれを断ったこと。ネフライトは僕が断る返事をしたことを告げるとモリオンと同じように哀しそうな顔をする。
「やはりモリオン様から言われてもショウ様の意思は揺らがないのですね…。でしたらモリオン様に本当のことをおっしゃってはどうですか、でないとこのままずっと誤解されたままですよ。それではショウ様の努力が報われません。」
「…いや、僕のことはいいんだ…今はモリオンのことを優先して欲しい。あの子はいくら性徴したとはいえ、まだ10年足らずしか生きていない。だから、気持ちの整理が出来ないはず…。ネフライト、悪いけどモリオンのことを探してきてくれない?本当は僕が行きたいけど…僕が行っても取りやってくれないだろうから…。」
僕の頼みを彼は苦しそうな表情で頷くと「分かりました。」と言って部屋を出て行った。
僕はその足で魔王様のところへ向かう。第一次性徴の時と同様、彼にモリオンが第二次性徴を迎えたことを伝えるためだ。
扉をノックし部屋に入ると以前より憔悴している魔王様に出迎えられる。
「魔王様…モリオンが第二次性徴を迎えました。」
「おぉ…そうか。我はそこまで生き永らえたのだな…。」
魔王様は嬉しそうに…しかし今はもう身体を起こすことは出来そうにない。
「魔王様…またモリオンと仲違いしてしまいました…。」
そう告げると彼はククッと笑いながら「なに、どうせモリオンがまたワガママを言ったのだろう?」と当たってみせた。
「彼奴はサトーに執着しておる、きっと今回のこともそれ関連であろう?」
流石魔王様、全て分かっているかの様な口振りだ。
「はい、モリオンにこれからも一緒にいて欲しいと言われ、それを断ったんです。」
「そうか…サトーにも色々と事情があることを彼奴は知らないからな、仕方ないといえばそうだが大人げない…。」
「いや!僕が悪いんです…きちんと説明すればいいのに悪役になることを怖がって何も言わなかったから…。それにモリオンはまだ10年程しか生きてないのですよ、理解しろと言った方が難しいのではないですか?」
「…サトーの事情を説明するかしないかは其方に任せる。しかし、親心としては説明してあげて欲しいがな。ただそれを言うことでサトーの立場が悪くなる様なら言わなくていい。それに彼奴は10年しか生きてはおらんが精神年齢や肉体年齢はもう20歳を超えておる、十分大人なのだから気にするな。」
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