次期魔王の教育係に任命された

ミイ

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第2章

59. 危惧

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僕が不安そうに二人の様子を眺めているとネフライトがニコッと笑い、インカさんの肩をポンポンと叩く。そして僕に向き直ると「さぁショウ様、帰りましょうか。」と和かに告げる。

「あぁ…うん。」

僕は最後のインカさんの様子が気になりつつも「また来ます。」と挨拶をしてその場を離れた。





そして帰り道はというと、また森を突っ切るのかと思っていたが、僕のことを想って森を迂回するルートになったらしい。更にその為にわざわざ僕用に馬車も用意されていた。

僕は馬車に乗りながら再度ネフライトに謝る。

「ネフライト、心配かけてゴメンね。わざわざ馬車まで用意させるなんて申し訳ない…。」

しかし、先程からネフライトは終始笑顔だ。

「いえ、ショウ様が気にされる必要はございません。いくらお強いといっても実戦に不慣れなことは存じております。それにまたあの森を歩くとなると私の気が休まりませんので、どうかそのままで。」

ネフライトはニコッと笑うと僕の手をそっと握る。その時、僕の手に巻いてある包帯に気付いた。

「ショウ様…これは…?」

「あぁ!大したことじゃないんだ。森の中で枝で引っ掛けちゃって…。」

アクアに引っ掻かれたなんて言ったら、あの子の身が危ない…!

「そうですか…ショウ様の綺麗な肌が傷付けられるなんて…。あの森は焼き払ってしまいましょうか?」

ネフライトが僕の手の甲を愛おしそうに撫でながらとんでもないことを言う。

「いや!駄目だよ!あの森には色んな動物も住んでるんだし、そんなことしなくていいから!」

素早くその暴挙を止めると彼はガッカリしたように「そうですか…。」と零す。

危ない、危ない…!ネフライトが言ったらホントにやりそうだから怖いんだよ…!

彼の僕の手の甲を撫でる動作が気になりつつも僕は前から気になっていたモリオンの様子を窺った。

「あの…モリオンの様子はどう?」

これでいつも通りに戻りましたよ、とか言われたらかなりショックだ…。

「…午前中の私の授業は心ここに在らずといった感じであまり頭には入ってないようでした。更に…ショウ様が居なくなったと知って相当動揺しておりました。午後の授業はインペリアルだったのですが、途中で集中力を欠いて授業は中止…ショウ様を捜すと言って聞きませんでした。しかし、貴方の様子を知っている私が止めたので今は自室で貴方の帰りを待っておられます。どうされますか?帰ったらモリオン様の部屋に行かれますか?」

ネフライトは僕の方を心配そうに見つめてくる。

僕はモリオンが僕のことを心配していたと聞いて純粋に嬉しく思った。しかし、嫌われている僕が彼に会ってもいいのだろうか…。

「僕は会いたいけど…モリオンは僕に会いたくないのかもしれない…。だって昨日からマトモに顔も合わせてくれないし話もしてくれない…。このままモリオンに嫌われたままなのかな…僕。どうすればいいんだろう…。」

今はネフライトだけが頼りだ。
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