57 / 122
第2章
57. 嫉妬
しおりを挟む
「あぁ!ご無事だったのですね!」
ネフライトに力一杯抱き締められ若干、胸が苦しい。
1日帰らなかっただけでこの心配様…大丈夫かな…。
この後のネフライトの様子が心配になり、先に釘を刺すことにする。
「ネフライト、わざわざ捜しに来てくれたの?ありがとう。昨日帰るつもりだったんだけど夜の森は危ないからって泊まらせてもらったんだ。朝イチで帰る予定だったんだよ。」
そうニッコリと答え、決して悪い様にはされていないことをアピールする。
「それに美味しいご飯も食べさせてもらって、凄く良くしてもらったんだ。」
僕のこの発言にネフライトの怒る気は失せた様で「そうですか…。」と溜息を吐く。
「ショウ様が昨日、出掛けたことは存じていたのですが、まさか夜になっても帰らないとは驚きました。勿論、捜しに行くつもりではいたのですがモリオン様のこともあって独りになりたいのかと迷っておりました…。奏功している間に、どんどん夜が更けてしまいこのような事態に…。申し訳ございませんでした。」
ネフライトが申し訳なさそうに頭を下げる。
「頭を上げてよ。僕こそ心配掛けてゴメンね、気分転換にと思って森に入ったら思いの外、遠くまで行ってしまったみたいで、この村のインカさんにとてもお世話になったんだ。」
「ん?インカさん…?インカさんとは…?」
先程まで順調だった僕の説得はネフライトの固い言葉によって遮られた。
あれ…?顔が…。
「うっうん…猫の獣人なんだけど、息子さんと二人で暮らしてて…。」
「ほぉ…そのインカという方にお世話になったのですね…。では、私からも御礼を言わなければなりませんね。」
どうしよう…ネフライト、怖いくらい凄い笑顔なんだけど…。
「えっ…あっ…そうだね。インカさん、アクア、コッチに来て貰ってもいいですか?」
僕が呼ぶとインカさんはアクアを抱いたまま緊張した面持ちでこちらに小走りで駆け寄ってくる。
「あの…私がインカです…!こちらが息子のアクアです!」
インカさんはネフライトに対しバッと頭を下げると自己紹介をする。
「…ショウ様がお世話になりました、私からも御礼を申し上げます。しかし…。」
ネフライトはそう言いかけるとそっとインカさんに近付き、僕には聞こえない声色で何かを呟いた。その瞬間、インカさんは血の気が引いたように固まる。
えっ…何言ったの…?
ネフライトに力一杯抱き締められ若干、胸が苦しい。
1日帰らなかっただけでこの心配様…大丈夫かな…。
この後のネフライトの様子が心配になり、先に釘を刺すことにする。
「ネフライト、わざわざ捜しに来てくれたの?ありがとう。昨日帰るつもりだったんだけど夜の森は危ないからって泊まらせてもらったんだ。朝イチで帰る予定だったんだよ。」
そうニッコリと答え、決して悪い様にはされていないことをアピールする。
「それに美味しいご飯も食べさせてもらって、凄く良くしてもらったんだ。」
僕のこの発言にネフライトの怒る気は失せた様で「そうですか…。」と溜息を吐く。
「ショウ様が昨日、出掛けたことは存じていたのですが、まさか夜になっても帰らないとは驚きました。勿論、捜しに行くつもりではいたのですがモリオン様のこともあって独りになりたいのかと迷っておりました…。奏功している間に、どんどん夜が更けてしまいこのような事態に…。申し訳ございませんでした。」
ネフライトが申し訳なさそうに頭を下げる。
「頭を上げてよ。僕こそ心配掛けてゴメンね、気分転換にと思って森に入ったら思いの外、遠くまで行ってしまったみたいで、この村のインカさんにとてもお世話になったんだ。」
「ん?インカさん…?インカさんとは…?」
先程まで順調だった僕の説得はネフライトの固い言葉によって遮られた。
あれ…?顔が…。
「うっうん…猫の獣人なんだけど、息子さんと二人で暮らしてて…。」
「ほぉ…そのインカという方にお世話になったのですね…。では、私からも御礼を言わなければなりませんね。」
どうしよう…ネフライト、怖いくらい凄い笑顔なんだけど…。
「えっ…あっ…そうだね。インカさん、アクア、コッチに来て貰ってもいいですか?」
僕が呼ぶとインカさんはアクアを抱いたまま緊張した面持ちでこちらに小走りで駆け寄ってくる。
「あの…私がインカです…!こちらが息子のアクアです!」
インカさんはネフライトに対しバッと頭を下げると自己紹介をする。
「…ショウ様がお世話になりました、私からも御礼を申し上げます。しかし…。」
ネフライトはそう言いかけるとそっとインカさんに近付き、僕には聞こえない声色で何かを呟いた。その瞬間、インカさんは血の気が引いたように固まる。
えっ…何言ったの…?
12
お気に入りに追加
1,518
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
ゲーム世界の貴族A(=俺)
猫宮乾
BL
妹に頼み込まれてBLゲームの戦闘部分を手伝っていた主人公。完璧に内容が頭に入った状態で、気がつけばそのゲームの世界にトリップしていた。脇役の貴族Aに成り代わっていたが、魔法が使えて楽しすぎた! が、BLゲームの世界だって事を忘れていた。
お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)
宰相閣下の絢爛たる日常
猫宮乾
BL
クロックストーン王国の若き宰相フェルは、眉目秀麗で卓越した頭脳を持っている――と評判だったが、それは全て努力の結果だった! 完璧主義である僕は、魔術の腕も超一流。ということでそれなりに平穏だったはずが、王道勇者が召喚されたことで、大変な事態に……というファンタジーで、宰相総受け方向です。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる