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第2章

57. 嫉妬

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「あぁ!ご無事だったのですね!」

ネフライトに力一杯抱き締められ若干、胸が苦しい。

1日帰らなかっただけでこの心配様…大丈夫かな…。

この後のネフライトの様子が心配になり、先に釘を刺すことにする。

「ネフライト、わざわざ捜しに来てくれたの?ありがとう。昨日帰るつもりだったんだけど夜の森は危ないからって泊まらせてもらったんだ。朝イチで帰る予定だったんだよ。」

そうニッコリと答え、決して悪い様にはされていないことをアピールする。

「それに美味しいご飯も食べさせてもらって、凄く良くしてもらったんだ。」

僕のこの発言にネフライトの怒る気は失せた様で「そうですか…。」と溜息を吐く。

「ショウ様が昨日、出掛けたことは存じていたのですが、まさか夜になっても帰らないとは驚きました。勿論、捜しに行くつもりではいたのですがモリオン様のこともあって独りになりたいのかと迷っておりました…。奏功している間に、どんどん夜が更けてしまいこのような事態に…。申し訳ございませんでした。」

ネフライトが申し訳なさそうに頭を下げる。

「頭を上げてよ。僕こそ心配掛けてゴメンね、気分転換にと思って森に入ったら思いの外、遠くまで行ってしまったみたいで、この村のインカさんにとてもお世話になったんだ。」

「ん?インカさん…?インカさんとは…?」

先程まで順調だった僕の説得はネフライトの固い言葉によって遮られた。

あれ…?顔が…。

「うっうん…猫の獣人なんだけど、息子さんと二人で暮らしてて…。」

「ほぉ…そのインカという方にお世話になったのですね…。では、私からも御礼を言わなければなりませんね。」

どうしよう…ネフライト、怖いくらい凄い笑顔なんだけど…。

「えっ…あっ…そうだね。インカさん、アクア、コッチに来て貰ってもいいですか?」

僕が呼ぶとインカさんはアクアを抱いたまま緊張した面持ちでこちらに小走りで駆け寄ってくる。

「あの…私がインカです…!こちらが息子のアクアです!」

インカさんはネフライトに対しバッと頭を下げると自己紹介をする。

「…ショウ様がお世話になりました、私からも御礼を申し上げます。しかし…。」

ネフライトはそう言いかけるとそっとインカさんに近付き、僕には聞こえない声色で何かを呟いた。その瞬間、インカさんは血の気が引いたように固まる。

えっ…何言ったの…?
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