次期魔王の教育係に任命された

ミイ

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第2章

56. 捜索

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「んんっ…ア…クア?」

寝起きの擦れた声を上げながらインカさんが目を覚ました。僕はそんな顔を見つめながら「(やっぱりイケメンは寝起きもセクシーなんだな。)」とぼんやりと思う。そして寝惚け眼の彼と目が合うと彼は抱き締めていた腕に力を込め、そのまま僕をグッと引き寄せるとあっという間に口付ける。

「んっ…あっ!」


ちゅ…れろ…じゅ…


インカさんは朝には不向きな口付けを僕に施すとゆっくりと離し「おはよう、ショウ…。」と微笑んだ。

「おっ…おはよう…ございます…。」

まるで恋人同士のような扱いに思わず顔を赤くするとインカさんに頰を撫でられる。そしてスルリと頰の感触を確かめるとおもむろに身体を起こし始めた。

「…今日帰る約束だったな。名残惜しいが準備をしようか…。」

そう言ったインカさんは淋しそうに立ち上がる。






その後3人で朝食を食べ、もうそろそろ…と立ち上がったその時、ザワザワと外が騒がしいことに気付いた。

「インカー!起きてるか⁉︎外に出て来てくれ!」

大声でインカさんを呼ぶ声が聞こえる。インカさんが何事かと急いで外に出ると、そこには村長であるロードさんが立っていた。

「どうかされたんですか?」

インカさんの問いにロードさんは始めに会った余裕そうな表情から一変し焦りを浮かべている。

「それが…魔王様の使いという方がこの村に来ておる。それもショウのことを捜しているそうだ。」

その会話が聞こえ、驚いて立ち上がる。

「あの!今、僕の名前が聞こえたのですが…!」

ヤバイッ!誰かが捜しに来たのかも!

「ああ、聞こえておったか。使いの方は酷く切羽詰まった様子だ。さぁ、こちらへ来てくれ。」

僕はロードさんに促されるまま、その後ろに着いて行く。その時の僕は気が気ではなかった、何故なら誰が来るかによって僕の運命は大きく変わってくるからだ。

だっ誰が来たんだろう…せめてネフライトであってほしい…!!!こんなところにインペリアルさんが来たらまた何言われるか…。

そんな不安な気持ちを抱えたまま村長の家に辿り着く。すると家の前で村人に詰め寄る誰かの後ろ姿が…。

あぁ!あれはネフライトだ!

ホッと安心したのも束の間、珍しくネフライトが声を荒げている。

「貴様達がショウ様を匿っているんだろう⁉︎ここにいるのは分かっている、大人しくショウ様を出せ!さもなくば、この村を焼き払ってやる!」

今まで見た事のないネフライトの剣幕にビビってしまったが僕のせいでこの村が焼き払われては困る。恐る恐る背後から「ネフライト。」と声を掛けると顰めっ面の彼と目が合う。その瞬間、顔に喜色を浮かべた彼に抱き締められた。

「ショウ様!」
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