次期魔王の教育係に任命された

ミイ

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第2章

55. 想起*

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「あっ…やぁ…耳…だめぇ…!」

思わず顔を逸らすとインカさんは「フフッ、ショウは耳が弱いのか。」と笑う。

「イッインカさん…これ以上はダメです…僕は貴方の気持ちに応えれない…。」

僕は一生懸命インカさんと距離を取る為、相手の胸元を手で押し返す。しかし彼は僕を離そうとはしない。

「ああ…分かっている、だからせめて私の匂いだけでも残させてくれ。身体を繋げなければ結局、消えてしまう香りでも今の私にとっては十分なマーキングだ。それに他の者への牽制にもなる。」

そう言って強引に僕の唇を奪った。

「んっ…んぁ…やぁ…!」

腕に力を込めるも獣人の力には敵わない。されるがままに口付けを許しているとインカさんの舌が僕の咥内を縦横無尽に動き回り、僕の感じるところを探しだす。

「あっ…んっ…。」

次第に快感に身を任せていると身体の力も抜け、彼に首裏と腰を支えられながら唇を貪られる。

「あぁ…はぁ…はぁ…。」

僕が息絶え絶えに呼吸をしているとインカさんは僕のシャツの裾から片手を入れ、お腹から胸へと手を這わせ突起へと辿り着く。そしてキュッと僕の乳首を摘まんだかと思うと指先でカリッと掻いたり弾いたりを繰り返す。

「あぁんっ!やぁ…!」

僕はインカさんにされながら唐突にモリオンのことを思い出した。

そういえば、モリオンに食事を与える時にこんなことされてたな…。

思い出すと急激に哀しくなってきた。モリオンに嫌われ逃げる様にここまで来てしまったこと、そして自分はそんな彼に食事も与えず快感に喘いでしまっていること。そんなことが一気に溢れ涙が込み上げる。

そして、とうとう我慢出来ずに涙が溢れた。

インカさんは僕の涙にピタリと手を止めると「…そんなに嫌だったのか…?」と哀しそうに告げる。

僕はそれにフルフルと顔を横に振ると彼の胸に額を押し付け、嗚咽を漏らす。するとインカさんは暫くその体勢のまま僕が落ち着くのを待ってくれた。そして涙が止まった頃を見計らって「今日はもう寝よう。」と僕を抱き締めたままベッドへ横たわった。







次の日、アクアに顔をペロペロと舐められ「ニャー。」という鳴き声で起こされた僕は目の前にインカさんの顔があることに驚く。

わっ!ビックリした~!あぁ、そうだ…昨日、泣いた僕をインカさんが慰めてくれたんだった…。

そもそも泣かせたのは彼のせいなのだが、慰めてくれたことに対しては感謝しなければならない。僕は恥ずかしさを覚えつつ目の前のイケメンの寝顔にボソッと「ありがとうございました。」と呟く。そしてゆっくりと身を起こそうとした時、彼に抱き締められたままなことに気付いた。

どっどうしよう…起こすのも悪いけど、僕もう行かなくちゃいけないのに…。

するとアクアがインカさんの顔をペシペシと叩き起こす。
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