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第2章

53. 子育て

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それからインカさんに浴室と寝室に案内される。決して広いとは言えない家の為、僕にベッドを譲ってしまうとインカさんとアクアが何処で寝るのかという疑問が生まれた。

「あの…インカさんとアクアはどこで寝るんですか…?」

「あぁ…床にラグでも引いて寝るから大丈夫だ、元々我々は獣だからな、多少堅くても平気だ。」

えぇー⁉︎いや、二人が平気でも僕が平気じゃないよ!家主を床に寝かせるなんて!僕が断らなければ…!

「いえ!僕が床で寝るので二人がベッドを使って下さい!アクアもまだ小さいのにそんな床でなんて寝かせられません!」

「それこそ、客人を床でなんて寝かせられない。ショウがベッドで寝るべきだ。」

インカさんの意志は固く結局、譲り合いを重ねた結果、三人でベッドで寝るという結論に至った。






「ショウ…狭くないか?」

「大丈夫です、元々大きめのベッドですしアクアもこの大きさなので平気です。それより僕が入ったことでインカさん達が窮屈になってしまってすみません。」

「…いや、このベッドは元々二人用だしショウが思うより窮屈じゃない。それに…アクアも私以外の温もりがあって嬉しいだろう。ほら、もう丸くなって眠っている。」

そう言われ、目線を落とすと僕達の間で丸くなって寝ているアクアを見つけた。

「フフッホントだ、もう寝ちゃった…。」

「今日は色々あって疲れたんだろう…それにショウの温もりに安心しているんだ、記憶に無い母を感じてるのかもしれないな…。」

ポツリと零すインカさんの表情は寂し気だ。ここでその内容に触れていいのか迷っていると彼の方から口を開く。

「…本来、このベッドは妻と一緒に使っていたんだ。アクアが生まれ、三人でこのベッドを少しの間使っていた。でも今は…この世にはいない…魔獣に襲われたんだ。」

インカさんはアクアを撫でながら続ける。

「私が狩りに出掛けている間にこの家で襲われたらしい。その時、アクアは妻によって庇われ無傷だったが、妻は…私が戻った頃には見るに堪えない姿だった…。アクアを守ったのだろう、背中だけ大きく怪我をし、必死に息子を守ったのが分かる。だから私は亡くなった妻の為にも息子を立派に育て上げなければならない。」

「そう…ですか。」

過去にそんなことが…。だからこの家には母親が居ないのか…。

「だから…。」

ん?

「…もしショウが良ければ子育てを手伝って欲しい。」

えっ⁉︎
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