52 / 122
第2章
52. 日没
しおりを挟む
「すまないな、ショウ。大した礼も出来ずに…。」
そう言ったインカさんだったが、僕の目の前には食べ切れないほどの料理が並べられている。
「うわ~!凄く美味しそうです!こんなに沢山の料理、初めて見ました!」
僕はとても興奮していた。実は魔王様の屋敷では贅沢にも昼食や夕食はコースの様に少量が順番に出てくるスタイルだった。だから、こんな風に色んなお皿がドーンと並べられている光景はとても新鮮だったのだ。
僕が素直に喜びを表現しているとインカさんも嬉しそうに微笑んでいる。
「そう言ってくれると嬉しい…。滅多に客なんてこないから、こうやってお客様が来ると賑やかになって私もアクアも嬉しいよ。さぁ、温かいうちに食べよう。」
そう言って食事が始まったが、ふとこの家にはインカさんとアクアの二人しかいないな、と思う。奥さんはいないのかな?
そんな疑問を思ったが触れられたくないこともあるだろうと思い、その質問は呑み込んだ。
そしてお腹いっぱいに食事をご馳走になった頃、窓の外が目に入る。
今、何時だ⁉︎
窓の外は陽は沈んでないものの茜色に染まっている。
マズい!これじゃあ帰れなくなる!
「インカさん!今、何時ですか⁉︎」
「今は…17時になる手前だな。」
「僕、急いで帰らないと!」
僕が慌てて立ち上がるとインカさんは驚いたように「今からか⁉︎」と告げる。
「ショウ、連れてきた私が言うのも何だが、今の時間からあの森を通って帰るのは相当危険だ。日没以降は魔物や魔獣の動きも激しくなる、悪いことは言わない、今日は私の家に泊まって明日、早朝帰ってはどうだ?」
やっぱりそうなるか…でも大丈夫かな…このまま僕が帰らなかったらモリオンやネフライトに心配を掛けてしまう…。それにモリオンに食事を与えないとダメなのに…。
「インカさん、ご忠告ありがとうございます。しかし、どうしても今日中に帰らないと家の者を心配させてしまうので…。」
僕の答えにインカさんは難しい顔をする。
「どうしてもか?ショウには失礼だが、私から見てショウはとても強そうに見えない…そんな君があの森に入って無事帰れるとは思えないのだが…。それにこのまま君を行かせてしまうと我々の後味が悪い…申し訳ないが我々の為を思って一泊してくれないか?」
確かにそうだ…チートで強くなってるとはいえ、まだ実戦などしたことのない僕が魔物や魔獣に会って上手く対処出来るとは到底思えない。モリオンに悪いが、今日はここで一泊させてもらおう。
「…分かりました、今日一日お世話になります。それで明日の早朝にお暇させてもらいますね。ご迷惑お掛けしますが、宜しくお願いします。」
「いや、元はと言えばこちらが連れてきてしまったのが原因だ、気にしないでくれ。アクアもとても喜んでいる。」
「そうですか…。アクア、今日一日宜しくね?」と僕が声を掛けるとアクアも嬉しそうに「ニャー。」と鳴き、僕の頰をペロッと舐めた。
そう言ったインカさんだったが、僕の目の前には食べ切れないほどの料理が並べられている。
「うわ~!凄く美味しそうです!こんなに沢山の料理、初めて見ました!」
僕はとても興奮していた。実は魔王様の屋敷では贅沢にも昼食や夕食はコースの様に少量が順番に出てくるスタイルだった。だから、こんな風に色んなお皿がドーンと並べられている光景はとても新鮮だったのだ。
僕が素直に喜びを表現しているとインカさんも嬉しそうに微笑んでいる。
「そう言ってくれると嬉しい…。滅多に客なんてこないから、こうやってお客様が来ると賑やかになって私もアクアも嬉しいよ。さぁ、温かいうちに食べよう。」
そう言って食事が始まったが、ふとこの家にはインカさんとアクアの二人しかいないな、と思う。奥さんはいないのかな?
そんな疑問を思ったが触れられたくないこともあるだろうと思い、その質問は呑み込んだ。
そしてお腹いっぱいに食事をご馳走になった頃、窓の外が目に入る。
今、何時だ⁉︎
窓の外は陽は沈んでないものの茜色に染まっている。
マズい!これじゃあ帰れなくなる!
「インカさん!今、何時ですか⁉︎」
「今は…17時になる手前だな。」
「僕、急いで帰らないと!」
僕が慌てて立ち上がるとインカさんは驚いたように「今からか⁉︎」と告げる。
「ショウ、連れてきた私が言うのも何だが、今の時間からあの森を通って帰るのは相当危険だ。日没以降は魔物や魔獣の動きも激しくなる、悪いことは言わない、今日は私の家に泊まって明日、早朝帰ってはどうだ?」
やっぱりそうなるか…でも大丈夫かな…このまま僕が帰らなかったらモリオンやネフライトに心配を掛けてしまう…。それにモリオンに食事を与えないとダメなのに…。
「インカさん、ご忠告ありがとうございます。しかし、どうしても今日中に帰らないと家の者を心配させてしまうので…。」
僕の答えにインカさんは難しい顔をする。
「どうしてもか?ショウには失礼だが、私から見てショウはとても強そうに見えない…そんな君があの森に入って無事帰れるとは思えないのだが…。それにこのまま君を行かせてしまうと我々の後味が悪い…申し訳ないが我々の為を思って一泊してくれないか?」
確かにそうだ…チートで強くなってるとはいえ、まだ実戦などしたことのない僕が魔物や魔獣に会って上手く対処出来るとは到底思えない。モリオンに悪いが、今日はここで一泊させてもらおう。
「…分かりました、今日一日お世話になります。それで明日の早朝にお暇させてもらいますね。ご迷惑お掛けしますが、宜しくお願いします。」
「いや、元はと言えばこちらが連れてきてしまったのが原因だ、気にしないでくれ。アクアもとても喜んでいる。」
「そうですか…。アクア、今日一日宜しくね?」と僕が声を掛けるとアクアも嬉しそうに「ニャー。」と鳴き、僕の頰をペロッと舐めた。
12
お気に入りに追加
1,522
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
幼馴染の勇者が一般人の僕をパーティーに入れようとするんですが
空色蜻蛉
ファンタジー
羊飼いの少年リヒトは、ある事件で勇者になってしまった幼馴染みに巻き込まれ、世界を救う旅へ……ではなく世界一周観光旅行に出発する。
「君達、僕は一般人だって何度言ったら分かるんだ?!
人間外の戦闘に巻き込まないでくれ。
魔王討伐の旅じゃなくて観光旅行なら別に良いけど……え? じゃあ観光旅行で良いって本気?」
どこまでもリヒト優先の幼馴染みと共に、人助けそっちのけで愉快な珍道中が始まる。一行のマスコット家畜メリーさんは巨大化するし、リヒト自身も秘密を抱えているがそれはそれとして。
人生は楽しまないと勿体ない!!
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

俺は勇者のお友だち
むぎごはん
BL
俺は王都の隅にある宿屋でバイトをして暮らしている。たまに訪ねてきてくれる騎士のイゼルさんに会えることが、唯一の心の支えとなっている。
2年前、突然この世界に転移してきてしまった主人公が、頑張って生きていくお話。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!


禁断の祈祷室
土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。
アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。
それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。
救済のために神は神官を抱くのか。
それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。
神×神官の許された神秘的な夜の話。
※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる