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第2章

39. 想い

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んっ…誰…?

逆光で顔が見えない。目を細めてジッと見つめると背後から抱き締められる。

「ショウ…こんなところに居たら折角の綺麗な肌が焼けてしまいますよ?」

その声は…グロッシュラー⁉︎

彼はいつも神出鬼没なので突然現れたことには驚かないが、真昼間に現れたことは驚きだ。

「えっ、だっ大丈夫⁉︎陽に当たったら…ムゥッ!」

さっきの体勢のまま口付けられる。

「んっ…んふっ…。」

「はぁ…ショウ…。」

「グロッシュラー…?」

彼の様子がおかしい。いつも僕の肌に触れたいとは言っているが、これ程早急に事を進める彼じゃない。そう不審に思った矢先、彼の僕を見つめる瞳が閉じられ前のめりに倒れ込んだ。

「うわっ!ちょっ…グロッシュラー⁉︎」

咄嗟に倒れた彼を抱き留めたが僕の力じゃどうしようも出来ない。早くどうにかしなければと思い周りを見渡すもこんな時に限って人っ子一人通らない。

僕はグロッシュラーをベンチに寝かすと急いで誰かいないか探し始める。

すると大声を出したおかげか僕の声に気付いたネフライトが驚いた顔で駆け寄って来た。

詳しい事情は後回しに彼を運ぶのを手伝ってもらう。来客用のベッドにグロッシュラーを寝かせると僕も側で様子を見守ることにした。

そして数分すると彼の弟であるアルマンディンが訪ねてきた。

「ショウ様、兄がご迷惑お掛けしました。」

開口早々、アルマンディンが僕に謝る。彼は兄が倒れたというのに全く気にした様子もない。

「いや、全然!運んでくれたのはネフライトだし…。それよりグロッシュラーは大丈夫かな⁉︎陽に当たりすぎて倒れちゃった…。」

僕が心配そうにグロッシュラーを見るとアルマンディンはハァ~と溜息を吐く。

「…大丈夫です。日光で倒れた訳じゃありません、空腹です。」

「えっ…?」

空腹…?

キョトンとグロッシュラーを見つめる。

「きっとショウ様以外の血を飲まないように心掛けていたんでしょう…私からしたら自殺行為ですが。」

そう言って彼はグロッシュラーをジトッとした目で睨む。

えっ…でも僕、グロッシュラーとは恋人になれないって言ったのに…。

「全く血を飲まないのは流石にしてないと思いますが、どうせ家にストックしてたものでも飲んでたのでしょう…人騒がせな兄です…。」

そして再び溜息を吐いた。

「ごっ…ごめんなさい!僕が恋人になれないって言ったから…。」

「ショウ様は気にする必要はありません、一度断られたのに、こんなことをする兄が悪いのです。」

相変わらずアルマンディンはグロッシュラーに辛辣だ。

「でも…「もしここでショウ様が血を差し出したら兄は期待しますよ、それでも良いのですか?」

「………。」

アルマンディンの言うことは最もだ。その気がないのに可哀想だという理由だけで血を差し出したらグロッシュラーにも悪い。

「ショウ様…兄のことを想って下さりありがとうございます。しかし、ここで兄を甘えさせてはショウ様の身が危なくなります。もし今後、血を差し出すことがあれば、その時は兄の想いを受け入れた時だと思って下さい。」
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