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第2章

31. 第一次性徴

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僕は眠るモリオンを生命の樹木に預けると、ネフライトと共にその様子を眺める。

「ネフライト、これでいいんですか?」

「はい、魔王様の言った通りに行っております。本日はモリオン様が誕生して5度目の満月の日。ですから、もう少しこのまま様子を見ましょう。」

僕は彼の言葉に頷くと何か変化が起きるまで大人しく待ち続けた。








どれくらい経っただろう。
体感的に凄く時間が経った様に思える。

「…さま、ショウ様!」

「…ッ!はいっ!」

うとうとしていた僕はネフライトに言われ慌てて生命の樹木に目を向ける。すると少しだけ光っていたのが瞬く間に幹全体が明るくなり預けていたモリオンの姿が見えなくなってしまう。

「(モリオン…!)」

心配になり心の中で叫ぶ。

そして一際、眩しくなったその瞬間、思わず目を閉じると生命の樹木からパキッパキッと音が聞こえてくる。今まで聞いたことのない音に早くその様子を確認したいが、眩しくて目を開けられない。仕方なくその光が収まるのを待ちゆっくりと目を開けるとそこには今にも幹から脚を出そうとしている"男の子"の姿があった。

僕もネフライトも唖然とその姿を見つめ、言葉にならない。しかし、こちらに気付いた男の子は満面の笑みを浮かべながら「母様!」と一直線に駆けてくる。そのまま僕はギュッと抱き締められ、驚きに目を見張った。

「えぇっ⁉︎」
「ショウ様⁉︎」

「あぁ…母様、やっと貴方に触れることが出来た。」

その子は僕の存在を確かめるように僕の腰を撫でている。

「モリオン…?」

僕が不安げにその名を呼ぶと「はい!母様、モリオンです!5年間、お待たせしました!僕が全然成長しないので不安だったでしょう?」と気にした様子もなく微笑む。

その姿を単純に可愛いと思ったが、それ以上に彼の急激な変化に頭が追いついていかない。モリオンは生まれてからまだ5年しか経っていないにも関わらず見た目は10歳くらいの少年に成長している。

「そっ、そうだね…。でもどうしてこんな急に…?」

「成長のことですか?それは僕にも分かりません、父様に聞かないと…。」

その言葉でハッとした。魔王様は当たり前だがモリオンの父親だ、しかし僕はモリオンの母親ではない。

「…モリオン、成長については魔王様に聞きに行こうね?でも、僕はモリオンのお母さんじゃないから僕のことは母様じゃなくてショウって呼ぶんだよ。」

「えっ…?母様は母様じゃないのですか?」

モリオンは訳が分からないという風に首を傾けた。



…しかし、それよりも。

「モリオン、まず洋服を着ようか。」
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