次期魔王の教育係に任命された

第1章

29. 説教

「グロッシュラー…僕はさっきも言ったけど君の眷属にはなれない、僕はモリオンの為にここにいるんだ。それにモリオンが成人してから考える、なんて無責任なことは言えないし、だから、僕のことは忘れて早く跡継ぎを作って。」

僕はグロッシュラーの側にしゃがむと諭すように告げる。彼はショックを受けた様に黙ると下を向いてしまった。

「ショウ様、兄のことは放っておいて下さい。そして、そろそろモリオン様と共にお部屋にお戻り下さい。後はどうにかしておきますので。」

アルマンディンにそう言われ僕は部屋を後にした。






「(これで良かった…んだよね？グロッシュラーには悪いけど、今のグロッシュラーと僕がうまくいくとは思えない。)」

モリオンをベッドに寝かすと僕も横に滑り込んだ。






次の日、僕はインペリアルに怒られていた。

「俺の言うことを聞かないからこんなことになるんだ！」

「はい…すみませんでした…。」

彼の前に正座した僕は頭をぺこぺこしながら謝る。彼の言う通りなだけに何も言い返せない。

「まぁまぁ！ショウ様も反省していることだし、何もなくて良かったじゃない！」

アイオライトが援護してくれるがインペリアルの表情は相変わらず険しい。

「それは結果論であって魔王様やモリオン様が危険な目にあったことは変わりない。コイツにはもっと自分の立場の弁えてもらわなければ。そ・れ・に！グロッシュラーに気に入られるとはどうなってるんだ⁉︎」

「そんなこと言ったって～、ショウ様はモリオン様の大事な教育係だよ。それ以上でもそれ以下でもないんだからどうしろって言うのさ～。」

「用がない限り屋敷から出さない、とか出来るだろう。」

「え～そんなの窮屈だよ。もっと外に出て色んなことを経験しなくっちゃ。」

「それはお前だからだろ。おい、お前はどう思ってるんだ？」

突然話を振られドキリとする。

「えっ僕ですか？えーっと…モリオンにとってはインペリアルさんの言うことも一理あると思うので第一次成長を迎えるまでは極力、外に出なくてもいいですよ？」

「えぇ⁉︎ショウ様、それで良いの？屋敷に閉じこもってるってつまんないよ？」

「うーん…そうかもしれませんが、僕としてもモリオンを危険な目には合わせたくないので、その方がいいと思います。それにモリオンの日々の成長を魔王様にも見せてあげたいですし。」

僕がそう告げると彼らは黙った。魔王様の先が永くないことは皆知っている、僕はモリオンをギュッと抱き締め魔王様を想った。