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第1章

23. 帰還

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「んっ…やっやめ…!」

グロッシュラーの口付けから度々逃れつつ、拒絶の言葉を口にする。

「そんなことしても!僕は貴方のものにはなりません!」

そんなやり取りを何度か繰り返す内、とうとう彼は「クソッ!」とベッドを殴った。

「何故…!何故、何故⁉︎…貴方は私のことを拒否するんですか!」

彼はまだ僕の気持ちが分からないのか怒りと焦りを露わにしながら僕の衣類を破る。先程とは打って変わって豹変した彼に僕は恐怖しながら身を硬くする。

その瞬間、扉がガァンッッ!!!と音を立てて吹き飛んだ。

「…。」

彼は無言で僕の上から身体を起こすと扉を見つめる。

「…兄様、ショウ様から離れてもらおうか。」

そこに立っていたのはグロッシュラーの予想通りアルマンディンだった。

「ショウ様!ご無事ですか⁉︎」

後ろから慌てた様子でネフライトも駆け込んでくるが僕の破り捨てられた服を見て顔面蒼白になっている。

「貴様ぁぁぁ!!!」

ネフライトが立ち尽くすグロッシュラーの胸倉を掴み床に引き倒す。僕が「やめて下さい!」と叫んだことで殴ることは止められたが、怒りを露わにするネフライトの魔力が床一面を埋め尽くす。

床に倒れこんだグロッシュラーは「まったく…酷い扱いですね。」と自称気味に笑うと服装を正しながら立ち上がった。

ネフライトはそんな様子に構わず身に付けていた外装を僕に羽織らせるとそのまま僕を抱き上げる。

「後は頼みましたよ、アルマンディン。」

「はい、今回は私も腹が立ってますのでお任せ下さい。」

僕は「ちょっ…ちょっと待って!」と言ったが、ネフライトに「お話は後でじっくりと聞きますので。」と有無を言わせぬ様子に口を閉じるしかなかった。





それからネフライトと共に魔王城に戻ってきたが、僕はまだお姫様抱っこをされたままだ。途中、何度も下ろしてくれ、と頼んだが彼は頑なに下ろしてくれず結局、今に至る。

入り口でアイオライトやパパラチァが僕の帰還を喜んでくれたが、何故か僕のお姫様抱っこについては誰も突っ込まない。何か言ってくれたら「変だよね。」と下りれるのだが結局そのままスルーされた。



モリオンはどうしてるだろう…。

僕は魔王城に戻ってきたことで幾分、いつもの雰囲気に戻ったネフライトにモリオンのことを聞いてみた。

「ネフライト、モリオンは何処にいるんですか?」

「モリオン様は魔王様の部屋にいらっしゃいます。帰還後、すぐに向かおうと思いましたが、流石にこの服装では難しいので一先ず自室へ向かいます。一度着替えてから、魔王様の部屋へ向かいましょう。」

「(忘れてた…僕、グロッシュラーに服ボロボロにされたんだった…。かなり前も肌蹴てるし流石にこんなんじゃ何かありました、って言ってるようなもんだよね…。)」

僕は彼の気遣いに「ありがとう。」と伝えると自室まで運んでもらった。
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