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第1章

22. 食糧

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「アルマンディンのこと、本当に好きなんですね。」

思わず声を掛ける。

「それは勿論!アルマは私が育てたと言っても過言ではないですからね。彼の為に必要なものは全て揃え、何の苦労もなく暮らせるように用意したのに…。いつの間にかそれさえ抜け出しているなんて…。」

その途端に落ち込みだす。喜と哀の差が激しい人だ。

「しかし、まだ近年は良い方です。アルマの居場所も分かりましたし、こうやって何か起こせばアルマに構ってもらえる。きっともう少しすればアルマが来ますよ。」

「えっ…そうなんですか?」
 
じゃあ…これは…?

「はい、ですから貴方には人質になってもらいましたが…ただパフォーマンスに付き合ってもらっただけでもあります。…しかし、想定外なことが1つ…。」

そう言ってグロッシュラーはこちらを見つめると突然、僕に口付けた。

「んっ⁉︎んんっ…!」

何が起こったのか分からず、抵抗も出来ずにいると僕の唇を見せ付ける様にペロッと舐める。その手慣れた様子に唖然とするも顔が赤くなるのを止められない。

「…昨日、貴方に頂いた血が忘れられないのです…。また頂いても宜しいですか?」

その申し出に「えっ!」と思った瞬間、彼は僕の首に噛み付いた。

「い"っ!!!」



じゅる…じゅる…



抵抗しないといけないのに彼に血を吸われるとどうしても身体に力が入らなくなる。

「はぁ…あっ…あぁ…!」

力の抜けた身体はそのまま彼に押し倒されベッドに沈む。

「始めは…アルマが来るまでの人質として側に置いておくつもりでした。しかし貴方の魔力を含んだ血液は美味しすぎる…。この味を知ってしまってはもう他は飲めません。サトー様、このまま私の元へ居続けてくれませんか?」

彼の真剣な表情に一瞬ドキリとしたが、彼は僕自身が必要というよりは僕の血が必要なだけで、その想いはただ僕に食糧になってくれ、と言っているも同じ…。

そして彼は続け様にこう告げた。

「貴方が側にいてくれると言うならば、今後、魔王城を攻撃しないと約束します。アルマも私が考えを改めたら戻ってきてくれるはずでしょう。」

彼はアルマと僕が側にいてくれると思っているのだろう、僕をギュッと抱き締めた。

僕は少しばかりこの告白が僕自身を必要としているわけではないことに哀しく感じながら「…お断りします。」と答える。

「何故?」

「…ご自身の胸に手を当ててよく考えてみて下さい。そんな要求は受け入れられません。」

そんな僕の反応に彼は理解出来ないとばかりに首を傾けた。

「…人生で初めて欲した人物に拒否されるとは…。私は諦めませんよ、貴方を手に入れるまでは…ね。それに方法はいくらでもあります、先ずは身体から堕としていきましょうか。」

そう笑って僕に口付ける。
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